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ウサギさん、アボガード共がいろいろおかしい

 ライゼンさんや、リアは放置しとくと何処行くか分からないみたいだな。


「う、むぅ……」


 なんなら俺が面倒見てやろうか? いや、さすがに俺の城に連れて行くのは家族と離れることになるから大変か。でも宿屋に骨を埋めるのはなぁ。

 誰か、宿屋でリアのこと見てくれる人が居ればいいんだけどなぁ。

 チラッ、チラッ。


「う、むぅ、貴様、それは儂に宿に残れと言っておるのか?」


 いやー、リアの保護者と言えばライゼン爺ちゃんっしょ?

 俺への復讐なんて止めてさぁ、余生はリアの幸せのためにとか、考えたりしないのかね?


「……余計な御世話じゃ」


「確かに、ウサギの言葉はライゼンさんに追われたくない一心だろうけど、リアちゃんのことを考えれば、お爺ちゃんが傍に居てくれるのは、とても嬉しいことだと思います。あ、御免なさい。差し出がましい真似を……」


 麗佳が俺をフォローするように告げる。

 彼女もリアについては思うことがあるのだろうか?

 まぁ、手伝ってくれるなら問題はない。


 そうこうしていると、噂を聞きつけて来たのだろう。リアちゃんがアウレリスに跨ってやってきた。

 気のせいかな? 彼女の周囲に四体のアボガードが、羽を生やして空飛んでんだけど?

 なんだあれ? 新種? アーボさん、どうなってんの?


 アーボは空飛ぶアボガード達を見て両手上げて驚いている。

 なんじゃありゃーって声が聞こえる気がするぜ。

 ほんと、なんだろうねアレ。


「おじいちゃんっ! うさしゃんっ!!」


 初めにライゼンさんに気付いたリア。

 アウレリスから降りて駆け寄ったところで影に隠れていた俺に気付く。

 ふっ。見ろライゼンさん、俺を見付けた時の方が嬉しそうだったぜ?


「何を言う、儂の方を速く見付けたんじゃぞ。貴様など視界にすら入っとらんかったわい」


「何を競い合ってるんですか、お二人は……」


 いや、麗佳、どう見てもリアは俺の方意識してたろ!


「いーや、儂の方を意識しとったろ」


「え? えー……」


 リアは駆け寄って来ると、張り合う俺達向かってジャンプ。

 両手を大きく広げて抱きしめてアピールしながら飛び込んできた。

 当然、俺には受け止めることなど出来る筈も無いのでライゼンさんが受け止める。

 そして、俺に視線を向けてニタリと笑みを浮かべた。


 う、ぐぐぐぐぐ。おのれぇ。

 今は、今だけはこのウサギの身体が憎いッ。


「いや、いろいろとおかしいでしょ。そもそもライゼンさんと張り合うこと自体間違ってるから」


 うるさい麗佳。

 男には、負けられない闘いというモノがあるんだよッ!

 とぅっとリアの胸元目掛けて飛び込む。


「わっ。うさしゃんっ! よかったぁ。お爺ちゃんとうさしゃん、仲直りしたんだ」


「!!?」

 !!?


 俺とライゼン爺ちゃんは咄嗟に視線を交わした。

 この村に居る間は休戦。

 リアの前では仲良く。よかろう、乗った!


「はっはっは。リアは元気しとったか?」


「うん。アウレリスさんにいろんな場所連れて行って貰ったよ。それにね、ほら、言葉もちゃんとしゃべれるの!」


 確かに、たまに変な言葉遣いになってたリアの舌ったらずな言葉がスムーズになってる。


「お爺ちゃんはウサギさんのこと、許してあげたの?」


「ふぉっふぉっふぉ、そうじゃのー。どうじゃなウサギよ」


 俺に聞くなよー。あはははは。


「儂らは仲がよいからのーははは」


 ふふふ。

「ははは」


 ……

 …………

 ……………


 ―― リアよ。そろそろ家に戻らないと親に怒られるわ ――


「あ。そうだった。じゃあお爺ちゃん、うさしゃん。宿で待ってるね。仲良く来てねー。絶対だよ?」


 そう言って俺達から離れるリア。

 アウレリスに跨り、何度か手を振りながら去っていった。


「はー。さすがだわ二人とも。リアちゃんの前では仲良く出来るなんて……って、ライゼンさん? ウサギ?」


「ごふっ」

 ごふっ


「ぎゃぁーっ!? 磁石寺君と爺さんが血を吐いたぁ!?」


 田代が慌てる声を聞きながら、俺は静かに倒れ伏す。

 あかん、やっぱ無理に仲良しアピールすんの無理。

 爺ちゃんも同じ気持ちだったらしく、同時に血を吐いてその場に倒れた。


 お互い、今までの経験からよっぽど仲良くするの嫌だったんだな。

 こりゃ無理っすわ。

 リアには悪いけどライゼン爺ちゃんと仲直りはフリですら出来そうになかった。


 二人そろって胃に穴が空きそうなストレスで吐血しちまったかんな。

 ピスカが物凄い慌てて俺を救出。

 リルハたちにより回復が行われて一命を取り留める。

 爺ちゃん共々仲良くしただけで死にかけるとは。こりゃ徹底抗戦しかないとライゼンさんも確信しちゃったみたいだ。


 視線を再び交わし合う。

 お前とは近々決着をつけねばなるまい。

 互いに、俺たちは決して戻れぬ道へと辿り付いてしまった。

 つまり、近いうち、激突は必至になるだろう。

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