ウサギさん、コーライ村にて、華麗なる解決法
「あー、やっとついたぁ……」
コーライ村入口へと戻ってきた俺たちは、街の入り口前で力尽きたように座り込む。
全員へとへとだ。
半日説教が思いの外皆にダメージ与えたようだ。
何故か知らないけど皆が謎の罪悪感を覚えて俺だけのお説教の筈なのに他の皆まで説教されてる気分だったそうだ。
そんな皆で強行軍敷いて夜中の内に魔族領を抜けた。
麗佳の増幅スキルで速度を高めた御蔭で魔族が気付くことなく魔族領から逃げられたのだが、魔族領は混乱するだろうな。
魔王城半壊して魔王倒されてるし、魔王軍もかなり崩壊してしまっている。
しばらくは領内の動乱が続くだろうし、人族側にちょっかい掛ける暇はなくなるだろう。
魔族領に対する心残りはアイツが記憶持ったまま転生しちまったことくらいか。
きっと、次に会う時はあいつとの最終戦だろうな。
次は転生出来ないように徹底的にぶっ潰してやるからな、坂上。
というか、皆ここで休んでないで村入らね? すぐそこだよ入口。
いくらドルアグスさんの森が安全だからって気を抜いていい訳じゃないからね?
もうちょっと休憩? 仕方ねェな。
桃瀬さんや、もふもふタイムどうですかな?
え? 違うよ。怒られたからってポイント稼ぎしようとしてるんじゃないよ!?
変な事言うなよ九重。お前さっきから俺に突っかかってきてね?
「んなわけないでしょ。あんたがいろんな意味でダメだからダメだししてるだけ」
「でも、磁石寺君も災難っちゃ災難だったよね。私も現場に居たけど、中浦さんに刺されて死んじゃった訳だし」
河井稲葉が何とも言えない顔で言う。
そういえばお前さんも居たんだっけあの現場に。
お互い大変だったな。お前って二股された後、異世界転生であいつらに奴隷化されそうになったんだろ?
「ええ、まぁ。いや、奴隷化についてはあんまし関係ない、かな。私は高藤さんたちと冒険にでてたし。郁乃さんから話を聞いただけ。そもそもついさっきの現場にあいつがいたことすら磁石寺君に聞いて知ったくらいだし」
マジかよ。ニアミスし過ぎだろ。
まぁ、下手に出会ってトラウマになるよりはマシか。
ただ、もう一回出会う可能性はあるからそれは伝えとこう。あいつ転生したからまた別の種族で出会うかもな。
「転生、ねぇ、あいつが転生とか正直未だに実感湧かないわね。でも磁石寺君がこんな可愛らしいウサギになってる訳だし、あいつも転生してるのも事実なんでしょうね」
「可愛らしいのは認めるけど、ド変態よ河井さん」
「そりゃ桃瀬さんの説教聞いたら分かるけども。この毛触りはつい触っちゃうのよね」
「ほんと、ふわもこよね。磁石寺君」
そうだぜぇ、桃瀬、さぁ、もふるが良い。幾らでももふっていいんだよぉ。
「ご主人様、誰か来たであります」
ん? 誰かって誰……
「ウサギがいるって聞いたから来てみれば。やっぱりうさしゃんだ」
おお!? 誰かと思えばお前らここにいたのかよ。
俺達がたむろしていた村の入り口にやって来たのは、五人の男女。
ドランク、ナイス・ガイ、コルトエア、エフィカ、リルハの五人がやってきた。
そういえばなんかロスタリス行くって言ってたな。
なんでコーライ村に来てんの?
ロスタリスのギルドで情報集めるんじゃねぇの?
「ロスタリスのギルドの方でリアちゃんと会ったから一緒にこっちに来たの」
「ぬぅ? リアがギルド? まだそんな年じゃないだろう。いや、そもそもなぜロスタリスに!?」
お爺ちゃんが過剰反応だ。
俺としても少し気が気じゃない。
リア、無事だったんだよな!?
「大丈夫も何もアウレリスと一緒に来てたから問題ないわ」
アウレリスと? ってことはリアの奴森に行ったな。
「馬鹿な!? リアはまだ子供だぞ!? 森に行くじゃと!?」
「アウレリスと会ってからうさしゃん仲間として結構会ってるらしいよ」
おい、口噤め! なんか爺ちゃんが噴火五分前みたいな顔になってるからっ!
リアの奴さすがに無茶し過ぎだよ!
目を離したら何処行くか……
爺ちゃんをリアダシにしてコーライ村にくくり付けちまうか……
お爺ちゃんも孫と一緒に居れるから嬉しい。
お爺ちゃんと一緒に居れるからリアも嬉しい。
おじいちゃに追われないからウサギさんも嬉しい。
一挙両得、否、一挙三得だよ!
これはもう進言しちゃうっきゃねぇな。
そうすりゃ俺も安全、爺ちゃんも俺を追わなくて済むことになるんだ。
桃瀬とも会えたしピスカも帰ってきた。
あとはまぁ、ディアリオさんが戻って来るのを待つくらいだ。
もう、大団円といっていいんじゃね?
ああ、坂上がいたな。
もう終わった気になっちまうのがヤバいな。気を引きしてめておかないと。




