ウサギさん、魔王対七つの大罪5
ぬおぉ!? なんか俺の周囲が凍り始めとる!?
しかもそのスピードはかなり速く、すでにマイケルが囚われている触手の元へ届き始めていた。
「な、なんだ? 氷? バカな、我が身体が、氷結耐性を持つ我が身体が、凍っている!?」
おおっ、すげぇ、触手が凍りだした。マイケルも凍りだしてるけど、まぁいっか。あいつは死んでも生き返りそうだし。
「待て、待ってぇ、俺もさすがに凍結死は初めてだからッ。しかもこの氷、凍結耐性無視してるだろ!?」
多分だけど氷結貫通属性でも付いてんじゃねーかな、さすがワールドエネミー級、超チートだな。
パンデミックラビットは居るだけで世界を滅ぼすウサギだった。
つまり、このウサギも怠惰の七大罪である以上能力的には似通ってるはずだ。
うさぎさんは動くことなく周囲を滅ぼしに掛かる。
そう、この自動襲撃機能付きの氷がそれなんだろう。
パンデミックの時はウイルスが蔓延して世界を覆い尽くす危機、タルタロスは存在するだけで周囲を凍て付かせていく、このまま放置してたら世界中が永久凍土になるのかもしれない。
って、これ作ったの駄女神だっけ、絶対悪ノリしただろ!
―― うさしゃんや。魔王戦終わったらそれ封印指定じゃ。使ったらペナルティじゃ ――
何気に酷いな!?
しかも封印自体出来なくなってるから俺が成った時点でペナルティだそうだ。ムチャぶりだろ。でも良くわかった。神よ、あんたをぶったおーす。後で戻ってきたディアリオさんに告げ口してやるーっ。
―― ディアリオに言っても意味ないと思うがのぉ ――
畜生、足元見やがってぇ。いつか必ず一泡吹かせてやるからなぁっ!!
―― ふぉっふぉ、楽しみにしておるよ ――
「ぬおおおおおおおっ! この、ウサギがァッ!!」
来たッ!
触手が物凄い速度で襲いかかって来る。
電光石火と危機察知で手早く避ける。
しかも俺に近づくほど凍る御蔭で相手の動きが鈍り動きが読みやすくなっている。
いいな。タルタロスラビット! ネックなのはタルタロスラビットで居るだけで周囲がどんどん凍っていくことか、これ、何処まで凍って行くんだ? 多分だが際限なく全てを凍らせていくんだと思うけど。
ほんと、この戦闘終わったらタルタロスラビットにはならない方が良いかもな。
七大罪の名に恥じないチート性能なのは確定だ。
しかも、凍った触手は殴れば砕けるッ! 凍れ魔王ッ!!
「舐めるなァッ!!」
刹那、世界が灼熱した。
一瞬で自身のHPが減ったのを理解する。
あぶねッ、咄嗟に風圧操作とディスターバンスで魔法の威力を拡散させた御蔭で即死は防げたものの、氷属性なせいで火炎攻撃にはめっぽう弱いぞタルタロスラビット!?
向こうもそれに気付いたようで、ニヤリと笑みを浮かべる。
あかん、このままだと確実に殺される。
炎、炎、憎悪? 進化先変更、マリスラビットッ!!
―― ワールドミッションが発動されました。デビル地方魔王城にて、ワールドエネミー・うさしゃんが出現しました。種族名はマリス・ラビット。世界中の勇者たちに次ぐ、世界を守るため早急に駆除してください ――
いちいち流れんのかよッ!?
世界中の人がまたかよってツッコミ入れてねーか? つか種族変更するたびにこのアナウンス出現するのか?
黒い毛並に赤き炎が映えるような体毛のウサギへと進化する。
お、予想通りだ火耐性が物凄く高い。
あ、でもこのウサギ、にく、憎い、やば、精神が怒りに飲まれそ……ガアァッ!!
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唐突にウサギが走りだす。
先程までとは違い、まるで意思を失ったように触手に喰らいつく。
早い、しかも攻撃力が高い。突破力がきつい。
無数の触手を躱し、喰らい突き、消し飛ばす。
身体が壊れるのも構わず攻撃していく姿に、さすがにマズいと思ったのだろう。
神は慌てて自身の空間へとウサギを引き上げた。
理性無いウサギを拘束して強制的にシロウサギへと退化させる。
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あ、あれ?
―― バカもん、狂化してどうする! ――
お、おお? え? マジか? 今意識なかった!?
おおウサギよ、死んでしまうとは情けない……って訳じゃないか。ギリギリで神が引き上げたってところだな。
―― 儂が見ておったからよかったものの、あのままなら確実に殺されておったぞ! おそらく魔王を死にながら喰らって共倒れじゃ! マリスラビットは禁止じゃ! ――
言われなくても二度と成るかッ! 強制永久狂化ってどういうことだよ!? 聞いてねぇよ!!
全て殺し尽くすまで止まらないってか! しかも死亡したあともしばらく移動可能とか無駄機能付けてんじゃねーよ!? ぜってぇ二度とならねぇ!!
―― ウサギよ、やはり駄女神が遊びで作ったような種族は止めておいた方がいいのではないか? ――
でもディアリオさんいねぇし、これしか試す方法がねーだろ? 魔王相手だぞ。並の種族で対応できるか? アストラル特化攻撃されたら死ぬのも分かってんだし。
とにかく、今回は礼を言っとくよ神様、七大罪、どれかはきっと効いてくれるって信じてみるよ。
―― そう、か。死なんことを祈っとるぞ ――
俺も祈りっとくよ。イルラ様に。
―― 儂じゃないんかーいっ!? ――




