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勧、恋について聞いてみた

 中井出、瀬尾、はーぴーちゃんと一緒にいるのは咲耶である。

 中庭の一角で白いテーブルを囲んでお茶をしているのだが、なんでこんなことになったのか、咲耶としても困惑しかなかった。


「え、っと、ですね。先生は恋愛に関して彼氏がいるわけですし、ちょっと恋愛相談などできたらなぁって思うんです」


 中井出はハーピーちゃんと少し離れた場所で草原地帯に座って話し合いをしている。たまにちらちらとこちらを見ているのは何なのだろう?

 なんとなく嫌な予感を覚えなくもない。


「えーっと、恋愛相談、でいいのよね?」


「は、はい」


 対面で話を切り出してきたのは瀬尾祷。

 可愛らしい少年で線が細くなよっとした印象を持っている。

 品行方正で引っ込み思案。でもまっすぐな一本筋の通った頑固者、といった印象だった。

 引っ込み思案で他人に流されることも多い彼だけれど、こう、と決めた何かがあれば決して折れようとしないのだ。


「そっかぁ、ついに瀬尾君にも彼女ができるのかぁ」


 恋愛相談はあまりしたくはない。

 何しろ自分の恋愛が特殊過ぎる状況になっているのだ。

 元々生徒と教師での恋愛状態だったことに加え、寝取られてウサギの彼女になってしまっていてヘンドリックには秘密にしている状態。

 生まれてしまった子供達もフィールドに放つことで気付かれていない筈だ。

 

 ウサギを見るとつい自分が産んだ子供ではないかと焦りを覚えるのだが、さすがに親も居ない赤ん坊ウサギ数匹、数日のうちに自然淘汰されている確率が高い。

 それこそ、自分自身で忌み嫌っていた子を捨てる母親を自分が体験してしまっているのだ。

 若い頃は自分が親になったら絶対に子供は見捨てない、教師になるのも教え導くためなんだって言い聞かせていたのだが、いざ母親になってしまうと、特殊な状況過ぎて無理だった。


 寝取られ状態の彼氏の前でウサギ数匹を育てる訳にも行かず。産んだことすらバレたくないからこそ、泣く泣くフィールドに放したのだ。

 今では後悔している。育てたかったと心が叫んでいるのだ。

 でも、今更迎えに行くことは出来ない。というよりも何処にいるか、生存しているかすら分からない。


 ウサギに伝えたこともあるのだが、彼も諦めており、もしも生きていたなら既に繁殖して次世代に血を受け継がせてるだろ、というか既に親離れしてる頃だから問題無いって。子供が欲しいならいつでもハッスルするぜ? と、もはや下衆男な発言だったので咲耶としてもそれ以上ウサギに尋ねるのを諦めた。


 なので、恋愛相談と言われても、月並みなことしか言えそうにないのだ。

 何をいったところでおまいう状態なので咲耶は他に恋愛相談出来る人はいないのかと尋ねたりもしたが、瀬尾が相談したいのは咲耶だけだったらしい。

 人生の先輩だから、そして先生だからという理由で信頼しているのだろう。


「僕、その、好きな人がいるんです」


「ええ。どんな娘なの?」


「優しくて、何でも知ってて、頼りになるんです」


 優しいと言えば結構当てはまる。

 何でも知ってる? 知識担当ならジョゼさんかしら?

 頼りになるなら真廣さん?


「でも、問題があって」


「そう、どんな問題なの?」


「中井出君、なんです」


 ……ワッツ!?

 今、なんと?

 私の聞き間違い?

 中浦さんなのよね? そうよね? 聞き間違いよね?


「や、やっぱり、男同士って、間違ってるんでしょうか?」


 聞き間違いじゃなかった!?

 え? なに、どういうこと?

 えーっと、中井出君は男の子よね? 瀬尾君は、女の子っぽく見えるけど男の子よね?

 え? 男の子同士の恋愛なの!? わ、私以上にアブノーマルじゃないかしら!?


「どうしたら、いいんでしょうか?」


 どうしたらってソレを聞きたいのはこっちよ! それを相談されてどう返せばいいのよ!?




「……と、いった感じのやり取りが成されているようなのだが」


「まるで声聞こえてるかのような再現力だな中井出」


 瀬尾に相談されて狼狽している先生を見つめながら、中井出とハーピーちゃんは会話を行っていた。

 奇しくも、こちらでも話題は男同士の恋愛は成立するのか、という話題であった。

 ハーピーちゃんは元男、恋愛対象も元男なのでついつい相談してしまったのだ。

 コレの前世が鏡音だということは相談したあとで気付いたが既に遅かった。


「ま、いいんじゃねーの? 男同士だろうが、好きなんだろ? 俺に迷惑かかんねーなら好きにすりゃいいんじゃね?」


「そうか……お前に聞いた俺がバカだった」


 他人に興味の無いハーピーちゃんに相談すること自体が間違っていたのだ。

 しかも相思相愛みてぇだし、告っちまえば? 案外上手くいくんじゃね? とどうでも良さそうに言われたのだ。

 悩んでいる自分をないがしろにされるみたいで何とも言えない気分になった中井出だった。

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