表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
729/981

うさぎさん、下っ端ギョギョン君

 あ、そうだ。

 俺は良い事思いついたぞ。

 ギョギョン君、そこまで言うならゲスターとタイマン張ったらどうよ?


「タイマン? どちらが怠けられるかって競うのか?」


 怠慢じゃねぇよ!? 1対1で闘うことだよっ!?

 なんでわざわざ互いの自堕落さ競わなきゃならねぇんだよ? なぁゲスター。


 ―― ぼへぇー……あ、なんか言った? ――


 怠慢してんじゃねぇーっ!? どんだけ液状化してんだよ!? やる気なさ過ぎて溶けましたってか!?


「ゲスターと一騎打ち? ソレをして俺に何かあるのか?」


 ―― 勝った方が森を統べる、でよいのではないか? ――


「おお、俄然やる気がでた!」


 ―― ちょっとぉ!? 僕の森なんですけど!? ――


 ―― 面白そうだからタイマンに一票! ――


 ボルバーノスさんが悪ノリし始めた。

 ゲスター君以外が乗り気なので強制的にタイマン張らされるゲスター君。

 あ、ちなみに負けた方は勝った方の下僕として森で働いてね。

 ギョギョン君は守護者になれなくなったらしいから勝ったらゲスター君は守護者のままギョギョン君のお世話係だね。


「ははっ、俺が負ける訳ねーだろ。ヘドロ野郎、俺の下僕として使ってやるから楽しみにしてろ」


 ―― もー、皆酷いなー。僕に何の恨みがあるのさー。いいよいいよー、本気出すもんね ――


 ボルバーノスさんが審判となり、互い対面に移動して合図を待つ。

 俺はリクゥーのもとへと向かい、抱き上げて貰うと、完全に観戦モードへと入るのだった。


 ―― んじゃ、開始ー ――


 ほんわかとしたボルバーノスさんの念話が告げられる。

 同時に、ギョギョン君がファイヤーボールを三つ同時に撃ち放った。


 ―― ずっこ!? 開始と同時とか絶対詠唱してたでしょ!? おかーさんに言ってやろーっ ――


「親なんざ居るかァ!」


 いや、自然発生じゃないんだから親はいるっしょ。死んでるかどうかは別として。


「死ね!」


 ゲスターがファイヤーボールを回避している隙に走り込むギョギョン君。

 その姿がすぅっと薄くなる。

 どうやら隠蔽持ちのようだ。


 ―― うわ、消えた!? ――


 無言で近づくギョギョン君。どうやらゲスターは完全に見失ったようだ。


 (死ね!)

 ―― こっちかな? ――


 ギョギョン君が飛びかかる。

 その刹那。ゲスターが適当に突き出した拳型の土がギョギョン君の顔面を打ち抜いた。


「ごばっ!?」


 ―― あれ? あたった? ――


 もんどりうって転がるギョギョン君。今の完全にカウンター入ったな。

 鼻を押さえて涙目になっているのが可哀想だ。

 でも不用意に近づいたのは彼なので自業自得とも言える。


「こ、殺すッ!」


 マーダーピエロのギョギョン君。種族名通り、暗殺特化型のようなのだが、おかしいな?

 さっきから突撃するたびにこっちかな? とゲスターが適当に出した拳に激突している。

 まるでゲスターが攻撃したところへ自分から当たりに向かっているようにすら見えて来る。


 でもギョギョン君はゲスターの死角を狙って……ん? 死角を狙う?

 ふむ……死角を狙うってことは相手が認識していない場所を積極的に狙うってことだよな?

 でも俺やディアリオさん、ボルバーノスクラスになればむしろ死角に来るのは分かってるからそこに罠を張ったり、見ずに迎撃したり出来る訳だが……ゲスター君もその域の人ですか?


「があぁ!?」


 ―― おお、また当たった ――


「畜生っ、なんでだ!? なんで俺の居場所がっ!?」


 ギョギョン君には可哀想だがゲスターの方が個人能力は強そうだ。

 必死に立ち向かうギョギョン君。ゲスターは全く本気モードになることなく適当に拳を突き出すだけで圧倒している。


 ―― 役者が違うねー ――


 ―― 実力的にもゲスターの方が数段上だからな。赤子と大人の闘いになるのは仕方あるまい ――


 え? ディアリオさん、ゲスターってそんな強いの? どう見てもヘドロのボルバーノスさんなのに!?


 ―― なにその例え!? ヘドロな僕ってなにさーっ! ってか僕強いんだぞーぅ ――


 結局、ゲスターの実力が強過ぎたようでギョギョン君、必死の抵抗空しくゲスターをその場から動かすことすら出来ずに敗北した。

 うん、弱っぇーっ。


「て、テメェ、ちが、俺は、俺は弱くなんて……」


 立ち上がったギョギョン君、思わず蔑んでしまった俺にビシッと指を突き付ける。


「て、テメェ、勝負だ! さっきから弱い弱いと言いやがって! 守護者でもねぇテメェーが守護者である俺に無礼なんだよッ! ぶっ倒して俺の強さを刻み込んでやるッ!」


 えー。守護者さんが大人気おとなげねー。

 って、ボルバーノスさん、ゲスターさん、ディアリオさんまで!? なんで闘ってやれ。みたいな顔で頷いてんの?


「お? 身体が回復した?」


 ―― 疲れた体で闘って負けたなどと言い訳せんように全力を出せるようにしておいたぞ。やるなら本気で倒して見せろ ――


 ちょぉい!? ディアリオ先生、何敵に塩送ってんすか!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ