うさぎさん、助けてくれないから犠牲者がでたんだぜ?
カントロノアにやってきた。
ここは五つの国に囲まれた内陸国で、ロビオンとはぎりぎり接していないせいか凄く素朴でおおらかな、田舎町みたいな国である。
国なのに農村が多い。というか、城壁の中殆ど田んぼと畑である。
道は牛舎が闊歩しており、たまぁにぼたりと牛糞が落とされる。それを後続の牛が踏みしめ、馬車で押し固め、なんかもうすっごい道になっていた。
さすがにここは馬車の出番だな。靴であっても通りたくないぜ。
北にコロア、東にピーザラ。ピーザラの国ってTの字を左側に倒したような国境になってるせいで南部分が丁度カントロノアをロビオンから守る形になっているのだ。
さらに南をヘクルポリスがカバーしていてロビオン帝国の侵略を防いでくれている。
キューロンは西側にあるんだけど、物凄い小さな国らしい、カントロノアとヘクルポリス、北にあるはとぽっぽぽっぽ、西にあるハトカブリに囲まれてるそうだ。
なんかバチカン市国を思わせる国土だったよ。
とりあえず、このカントロノアの国は農村が寄り集まった国と思っていいだろう。
城だけは普通に西洋城で物凄く違和感しかなかった。
なんでここを西洋城にしちゃったの? せめて日本の名城にしとけば違和感全然無かったのに。
あ、でも城の周りはブドウ畑とかだ。
これなら充分西洋風だな。城があっても問題は……
やっぱなんか間抜けな感じが否めない。
で、そんな風土なもんで、ウサギは主食としてよく食べられているそうである。
おい、俺の前でウサギを食べる話すんじゃねーよ。
民家が密集した地域にやって来ると、馬車覗く俺に美味しそうっていう声がよく聞こえるようになる。
やめて、このウサギさんは食用じゃないんだよ!?
愛玩はいいけど物理的に食べるのはダメぇっ。
おいコラクロウッ、いくらなら買う? とか冗談でも言うんじゃねーよ。
俺たちは馬車に揺られながら冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドも風景に合わせたのか、なんかお役目処って感じの広いお屋敷になっていた。
お役所にしか見えない屋敷にやってきた俺たちは、ギルドで目撃情報その他の情報を集めて行く。
Sランク冒険者が群れでやってきたので情報集めはすぐに終わった。
ただ、一部冒険者がクロウ達に気付いてサイン会と握手会が始まったせいで無駄に時間を費やされたよ。
俺だってSランクなんだぞ? なんで誰も来ないのさ。
って、おい、止めろおっさん。タコ頭に髭面のおっさんがデレ顔しながら触って来るんじゃねーよ!?
ぎゃあぁ!? 止めろ、抱きしめるなっ。
ひぃぃ、無理、キスは無理じゃぁーっ。転移ッ。
あっぶねぇ、危うくトラウマになる所だったぜ。
あのおっさん、空気とキスしてやんの。やっふー。バーカ。
って、おぉ? なんか首根っこ掴まれた?
「こら、エロウサギ、私の胸に転移してくるなっ」
あ、ここパオの谷間だったか、失敬失敬。緊急転移だから許しておくれ。
「おお、ウサギはそんな場所に?」
「欲しければくれてやるネ」
ぽーいとおっさんに投げ渡されるウサギさん。
またむちゅーっとやってきたから速攻で転移。
ええい、マイケル助けろッ、お前不死身だろ!
「いや、ウサギに近づくとか無理だから」
お前どんだけトラウマ受けてんの!?
「ってかウサ公、なんでべルクレアの胸元に転移して来た?」
「い、何時の間に!? この、変態っ」
一瞬何が起こったか理解できていなかったべルクレアの谷間に転移。俺が座れるような場所は無かったのでしがみ付こうとしたらクロウに首根っこ掴まれた。
そして嫌そうな顔をするべルクレア。
ウサギ好きにしてやろうかぁッ。
「止めろバカモノ」
だったらクロウ、助けてくれ。
このままじゃあのおっさんの熱いヴェーゼを受け取る嵌めになっちまう。
「いいんじゃねーか? お前もたまにはそういう辛さを味わったら?」
つまり、助けてくれないと。
よかろう、どうなっても知らんからなーっ。
「へぇへぇ。やれるもんならやってみ、ろっ」
ぶぅんっとクロウに投げられる。
投擲の先にいたのは、スキンヘッドのおっさん。乙女な顔で唇をタコみたいにして両手を広げる。
私の胸に飛び込んでいらっしゃーい。とでもいうような顔だ。
当然、転移。いや、シルクハット投擲ぃっ。中の人消えまーすっ!
「うわっ!?」
からのぉ、何処からでも出まーすっ。
俺の前方にソイツを出し、俺自身は身体を回転させて、ドロップキック。
くらえっ。
無慈悲に押し出す。
だって。誰も助けてくれなかったから。
マージェスを犠牲にするしかないんだよっ。
「ひ、ひぃぃぃぃっ」
「ウサギちゃーん、むちゅーっ」
「ぎぃゃあああああああああああ―――――――――――――――――――っ……」
すまぬ。お前の犠牲、無駄にはせんよ、多分。




