表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
713/981

うさぎさん、Sランク冒険者会議7

「では、最初の議題は終わったな。次は……アトエルト君か」


 アトエルトからの議題? なんだろうな。


「議題はあるんだが、先に報告から上げとくよ。しっかりと報告書にまとめておいた。後で見ておいてくれ」


 と、まずはアトエルトが二人に分かれ、一人は座ったまま話を始める。

 もう一人は書類の束を持ってガドウィンの元へ。なんでエスティカーナが受け取ったの?

 ガドウィンが受け取ろうとして空を切って何とも言えない顔してるじゃないか。


「まず、今回ウサギ君を襲撃した罰則により、私は各地のギルドで受け付けなどを行うことになりました。その関係で各ギルドの特色、困り事、変な客、怪しい動き、要注意人物、汚職などを調べて来ました。あと慢性的に人員不足だったかな。掃除用員に十人単位で必要とされるんだよ。各ギルドで」


 お前何人にでも増えるからそういう大人数必要な時はいいよな。

 対軍戦闘とか普通に重宝されるだろ。


「ええ。だからS級冒険者は一つの軍に従軍することは出来ない決まりになっています。戦争でどちらかに肩入れすればすぐに勝敗が付いてしまいますから」


 あれ? そうなるとボザークとシャコタンとの戦争、俺介入したのやばかったんじゃ?


「アレは第三勢力だったのを勝手にシャコタンが敵扱いしただけだからいいんじゃない?」


 なるほど、女王様がそういうなら問題ないか。

 でもさガドウィン、S級にだって故郷とかある訳じゃん? その辺りが戦火に巻き込まれてもスルーなの?


「HAHAHA、ウサギ君、我々とて人間さ。意に沿わぬ理不尽が襲って来るなら返り討ちにするに決まってるだろう? あくまで軍や国に従う従軍行為がダメなのさ」


 ああ、なるほど。一国の命令で軍に与するのがダメなのか。

 敵として軍と出会ったからもう一つの軍に肩入れして壊滅させるってのはアリなのね。


「出来ればその際は敵軍に対して前口上を言ってくれたまえ。どういう理由で敵対するのかを、毎回ね」


 えー、メンドイ。俺の女が戦争に巻き込まれそうだからーっとかの理由を大声で言っちゃうの? はずかちーっ。

 両手で顔を押さえてイヤンイヤンしてみる。


「アホか」


「えー、続けていいかな? ロビオンのギルドで聞いたんだが、どうにもシャコタンとボザークの闘いを聞き付けた国王がシャコタン王国の切り取りを狙っているらしい。軍を編成しているようだから戦争が始まるかもしれない。あとピーザラを通行している商人たちの安全を考えしばらく通行禁止にした方がいいかもしれないな。ピーザラを巻き込んだ大戦争が始まるかもしれない」


 呼び水は確実にジョゼだなぁー。ジョゼさん、何か言いぶんあります?


「天空城さえ出なければボザーク帝国を併吞してピーザラと同盟してロビオンを討つ手はずだったのよね。天空城さえでなければ」


「タイミングが悪かったのと、見知らぬ存在に対して攻撃を仕掛けた愚はいい訳できないと思うぞ」


 まさしくその通りだよ真壁、お前ホント空気読まないよな。ジョゼが凄く悔しそうな顔してる。


「うむ、ウサギ君、悪いがその天空城を手に入れた経緯と、シャコタン王国とボザークの戦争について分かっている事を報告書にまとめてくれないか」


 え? 面倒いんだけど?


「いいですよアナタ。私とジョゼさんでまとめておくわ。チェルロ、グレース、よろしくね」


 結局他人任せかーい。まぁいいけども。


「それとナリアガリッパー王国で国が勇者を奴隷にしているという噂が流れているんだが」


「それなら私達のことだろう。奴隷の首輪をされたがなんとか脱出した」


「おいおい、そりゃ重大発表ものだぜ。おいウサ公、それも報告書だ」


 えー、なんか俺だけ報告書多くね? なんか悪い事したっけ?


「自分の胸に聞いてみなさいな」


 パオさんや、俺の胸に聞いてみたが全く心当たりないそうだ。

 っつかわかるかーっ。

 自覚がねーから聞いてんだよっ、襲うぞっ。


「冗談に聞こえねーよっ!?」


「あー、報告いちいち中断しないでくれクロウ」


「え? 俺が悪いの?」


 クロウがなんか意外そうにしている。皆に頷かれてなんでだよっと打ちひしがれていた。

 それに構わずアトエルトが話を続ける。


「ラパト、サランザ―ド、ポーラン、あとピポトもかな。あの周辺で変な宗教が流行りだしているようですね。なんだったかな、アンゴルモア教、だったかな?」


 あー、あったなぁー。レイシアちゃん迎えに行かないとなー。


「よしウサ公、報告書追加な。これに関してもなんか知ってるだろ」


 う、鋭いっ。

 仕方ねぇな。で、他に報告書書く必要があるのはあるかね?


「そうそう、ロスタリス王国が勇者保護令を発布したようだ。あの国で勇者を見かけたら城に連れて来るようにと全国民に王命が下ってる」


「うわぁ……絶対保護されたらヤバいでしょ、それ」


 ―― 多分だが、田代康弘関連だろう。王女を拉致したとか王女と一緒に行動しているとかでこの機に各地で好き勝手している勇者を保護を名目に軟禁するつもりではないか? ――


 さすがディアリオさん、奴らの考えはまるっとお見通しですか! あ、これも報告書上げろってことね。面倒臭っ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ