うさぎさん、お別れの前に
ボルバーノスたちの乱入で二人きりの悪行が行えなかったので仕方なく解散となった。
ジョゼとしてもスキルが使えて確認が出来れば問題なかったようなので、スキルは再封印させて貰って、俺はボルバーノスさんとエントランスへと向かうことにした。
コロアに着いたらしく、コロア手前で城を降ろすらしい。
一応、リクゥーには伝えたらしいので、後は俺自身が出て行けば問題は……魔物にしか見えそうにないな。誰か人を呼んでくるか。
天音辺りでいいかな。
ボルバーノスさん、ちょっと天音呼んでくるっす。
―― あいよー ――
ボルバーノスさんと分かれ、再度城の奥へと向かう。
天音はどこかいなーっと。
まずは、風呂っ!
ハーピーちゃんが湯浴みしてたのでとりあえずハッスルした。
風呂にはいなかったか。
じゃあ自室かな?
天音の自室では美与が布団に顔埋めて悶えていたのでハッスルした。
ここにもいない、と。
じゃあ庭かいなっと。
中庭に出るとリベラローズ、セレスティ―ア、イリアーネ、ペルセアの四人が居たのでハッスルした。
って、なんて俺は行く場所行く場所でサカってんですかね。
天音が居ないのが悪い。っていうか人なら誰でも交渉できそうだから天音である必要ないのか。
んじゃ次出会った人にお願いするかな。
謁見の間へとやって来る。
謁見の間には……ルアネさんが玉座に座って待っていた。
「クックック。よく来たなウサギよ」
なん、だと!? 姐さん。あんたは一体!?
「いやー、なんかこの椅子見てたらついやってみたくなってさー。一度でいいから魔王っぽいことやってみたいじゃない。守護者として?」
姐さーんっ!?
「それに、あたいは守護する森があるからね。何時までもこの城にいる訳にもいかんのさ」
物憂げに微笑み椅子から立ち上がる。
本当は、結構ここの空気が気に入ってくれていたのだろうか?
でも、森の守護者だから森に戻らなきゃいけない。
あのさ、姐さん。森に戻ったとしても守護者引き継ぎ済ませれば一緒にいられるんじゃ?
そんなことを聞いてみたが、ルアネはゆっくりと首を振った。
了承、ではなく否定の意味だ。
「あたいの森はなかなか特殊でね。あたいが守護しなけりゃウサギ共の居場所がなくなっちまうのさ」
ああ、そうか。
あの遺跡の周辺で兎達が普通に暮らしてたのは、あの一帯にいるウサギを襲うな、とルアネが森の魔物達に告げていたのか。
だから、あそこはウッドラビットたちにとっての楽園になっていたのだ。
もしかしたら見てなかっただけでもっと多種の兎達が居たのかもしれない。
「ま、そういう訳であたいは森からでられないのさ。いや、まぁ出れるっちゃ出れるけど、あたいの意思で出ないのさ」
そういうことなら、仕方ねぇっすね。
俺も諦めます。
「おや、何を諦めるんだい?」
そりゃもう、姐さんとウサウサすることを……って、姐さん?
ルアネの姐さんは小首を傾げ、俺の元へとやって来る。
しゃがんで視線を合わせ、両手で俺を持ち上げた。
「おや、諦めちまうのかい? てっきりまだ狙ってると思ったんだけどねぇ」
そりゃまぁ、狙ってはいるけども。姐さんも忙しいみたいだし、俺だって誰彼構わず襲うわけじゃーないんだぜ。
「そりゃ笑えるな。ここに来るまで何人か襲われたみたいだけどねぇ」
HAHAHAなんのことやらわかりませんなっ。
「ところでさぁ、ウサギって性欲強いってなぁ知ってたかい」
そりゃもう、ウサギですから。
それが何か?
あの、姐さん?
「性欲強いのはオスだけじゃないんだよ。ちょいと、部屋行こうじゃないか」
あれ? 毎回襲ってる側だった俺。今回襲われる側だったりします?
あの、ルアネの姐さん?
持ち方、俺の持ち方っ! ちょっと雑過ぎません? 首根っこ持ってぷらーんってなってるんですけど!?
「まぁ、折角だ。森に帰る前にちょっと後継者でもいただいとこうかね。自分で産めば安心して任せられるしねぇ」
あれー。なんか目的は達成できそうだけど俺の意図した結果とちょっと違う気がするぞー?
……
…………
……………………
あかんて。
なんであの人も絶倫とテクニシャン持ってんのさっ!?
俺初めて完全敗北したわっ。なんでセレスティ―アよりやべぇ実力者が居るんだよ!?
こっちは俺無双じゃなかったの? 姐さんマジパネェよ!?
笑顔でディアリオさんに送って貰い転移して行ったルアネの姐さんは、皆には挨拶せずに帰っちまった。
湿っぽいのが嫌いだかららしい。
多分照れ隠しだろうなぁ。
数年してお子さんが守護者になったらこの城に遊びに来るとか言われたから約束したよ。
そしたら絆が増えたんだ。
ところでさ、絆システムって前からあったけど、アレって一体どういうシステム?




