ウサギさん、ババァ若返りはロリババァと言っていいのだろうか?
魔女ルックの十代後半。
青い髪がくるんとカールしている後ろ髪。
適度に弾力のありそうな胸、張りのある肌。きらめく笑顔。
ニヤリと小悪魔的な笑みを浮かべる口元には八重歯が覗く。
「どうじゃーウサギよ。儂も若けりゃこんなに美人なんじゃぞー」
それがどうやったらあんな神隠しに出て来そうなババァになるんだよ。
鷲鼻になる要素どこだよ!?
鼻の上、なんかでっかいコブできてたじゃん。皺ッしわだったし、美少女要素ゼロだったでしょ!?
「凄い変化ね。私も驚いたわ」
「ひぇっひぇっひぇ。凄かろ? どうじゃウサギ……ん? どうしたウサギよ?」
ダメだ。アジールの美人さでウサギさんのウサギな感情がうさうさして爆発寸前なのに、また見た目美少女が現れてしまったらもうウサギさんはウサギっちゃうしかないんじゃないかな。
っと、いうことで突撃しますッ!
「お、おい、ウサギ!?」
「あ、この感覚見覚えあるわー。ちょっと店クローズにしてくるわね。お楽しみに」
「はぁ!? ちょ、待て、ウサギ待たんか。儂はもうそういうのは……ひぃぃっ!?」
―― うさしゃん は ババァ を おそった! ――
……
…………
……………………
って、ちょっと待てぇ!? 今のボルバーノスさんから念話入ったぞ!? どうなってんだ!?
って、な、な、なぁぁぁ!?
「んもぅ、情熱的なんじゃからぁ」
なんでババァに戻ってるぅっ!? ぎゃあああああっ、目が、目がつぶれるぅっ!?
ババァの裸なんざ見ても嬉しくも何ともねーんだよっ。
シナを作るな、気持ち悪いっ。
慌てて逃げだしアジールに抱きつく。
きゃっと驚きつつも胸に抱きしめてくれたアジールに包まれた。
うぅ。襲っちゃった。ババァ襲っちゃった。
俺の人生の黒歴史がまた一つ増えちまった。
やべぇ、思いかえそうとしたら濡れ場が全部ババァの顔にぃぃ、うげぇぇぇぇっ。
あかん、これはトラウマになりかねん恐ろしい光景だ。
脳内から完全消去しなきゃ。
「それで、何を買うの?」
あ、そうだったな。さっさと買おう。
えーっと、そこのイヤリングとペンダントと指輪、かな。
「なんか、適当に決めてない?」
はっはっは。まっさかぁ。そんなババァと居たくないからって速攻選んでさっさとお暇しようなんて考えてないって。
「そう、ならいいけど……」
「ひょっひょっひょ、欲情したらこれ使ってまた襲われに行こうかの」
味占めんなエロババァ。
っていうかそれ、一時間くらいしか持たないじゃん。何処が秘薬だよ。
「そりゃ一時間も若々しく成れるんじゃ。秘薬に決まっておろう。伝説じゃあ一生続く若返りの泉というのもあるらしいがの。そうじゃウサギよ、若返りの泉の水汲んで来てくれたらまた相手してやるぞえ」
いらんわっ。いや、でも一生続くってことならそれはそれであり?
いやいや、無しだろ。無し寄りの有りだろ。あれ? それだと有りになるのか?
じゃあ無し、絶対に無しっ。もうババァ襲わない。
―― ババァ は わかがえり の くすり を のんだ ――
や、やめろぉぉぉぉっ!?
―― うさしゃん は はつじょうした! ――
いやああああああああああああ!?
……
…………
……………………
しくしく、穢されちゃった。
アジール、俺、穢されちゃった……
「あー、はいはい。次行きましょうか。ディアリオ様の家でいいのよね?」
「ひょっひょっひょ。また来るがええ。ウサギよ、寝室ならいつでも開いとるからの」
誰が行くかーっ。畜生ばーろぉっ!
「ひょっひょっひょ。またのー」
ババァと顔を合わせたくなくて、ウサギさんは魔道具屋から逃げるように立ち去るのであった。
ああ、もうちょっとゆったり店内見回ろうと思ってたのにぃ、なんでこうなった!?
ま、まぁいい。とりあえず目的は達した。
これ以上は下手なことしてさらにトラウマ増えないようにさっさと帰ろう。
アジールと一緒にディアリオさんの家へと戻る。
まずは玄関先で執事さんが驚く。同一人物ですか!? と思わず声をあげていた。
そうそう、こういう反応が欲しいんだよ。
ディアリオさんところに皆を集めて貰い、新生アジールのお披露目である。
知らない人が多いって? まぁ、美人さんだなって思ってくれればいいんだよ。
目的はモテないブラザーズに見せびらかすだけだからな。
案の定、これがあのネクラ魔術師だと紹介すれば、ジョージと福田が血涙流しそうな勢いで嘘だッと叫んでいらっしゃった。
ふっ。崇めたてまつるがいい。これほどの美女をその目に見られるのだからなぁ!
なんか自身の神にでも祈るように祈り始めたな。
そこまで切羽詰まってるのかこの二人。
うーん。さすがになんか可哀想になってきたな。たまには他人の恋応援してやるか。どっかのおっさんとくっつければ泣いて喜ぶだろ。




