ウサギさん、道具屋に居た奴ら
防具屋を後にする。イリアーネはあまり喜んでなかったけどプレゼントされた武装を大事そうに抱えて帰って行った。
他の二人はデートのようだ。
真壁は全く気づいてないようだが赤穂はどう見ても惚れてるぞ。
鈍感系スポーツ選手とか終わってんな。青春するのはいいけど、あんまり気付かないようならウサギさん、寝取っちゃうぞ?
赤穂楓夏は素朴な娘さんって感じだけど、不細工じゃないからな。
特徴的な容姿じゃなくても充分美少女だ。
フラれるようならいつでも慰める用意は出来てるぜ楓夏。
おっといきなり名前呼びはマズいか。警戒されかねないな。
ふふ。女性をオトすテクニックはきっとテクニシャンが仕事してくれるはず。ウサギさん、準備は万端なんだぜい。
なぁんてことを考えながらやって来たのは道具屋だ。
道具屋といっても日用雑貨が売ってる場所ではなく、冒険者が冒険用の道具を買うために存在する店だった。
平民が利用する日用雑貨は斜向かいである。
冒険者と平民が同じ場所を利用するとトラブルが起こるのでワザと区分けされているそうだ。
コーライ村はその辺り一緒こただったけど冒険者の素行はそこまで悪くなかったのでトラブルはほぼなかったようだけどな。
ここは武器屋同様シルクハットとスーツで英国貴族のように入店する。
偉そうに二足歩行で歩く兎に注目が集まる。
ふ、人気モノは辛いぜ。
この人々の耳目を集めてしまう罪な俺。
「何をしているんだキミは……」
「あはは、磁石寺君ちょっと滑稽だよ?」
「兎が二足歩行で偉そうに歩くって、ぷふ、ヤバいツボる」
また三人だよ。
なんだお前ら、三人で行動するの流行ってんのか?
一緒に居たのは中井出勧、瀬尾祷、戸塚葉桐の三人だ。
中井出と瀬尾は仲いいな。お前ら実はもう付き合ってるだろ。
戸塚、お邪魔虫になりそうだし、俺と一緒にお茶でもしねぇ?
「ば、馬鹿を言うな。なんで男同士で付き合うんだよっ」
「そ、そうだよ。な、中井出君とってそんな……」
「どさくさまぎれにナンパして来ないでよ。私は畜生に襲われたくないのよ」
ちぇーダメかー。
っていうか瀬尾の奴が中井出見て顔を赤らめるからちゃんとした否定になってないんだけど、マジあいつら大丈夫か? なんか本当にアブノーマルカップル成立しそうじゃね?
確かに瀬尾は女の子っぽい容姿だし、身体付きがなよなよしてるけど、そっちの世界は茨の道だぞ中井出。しかもちょっと互いに意識し始めてるじゃんか。俺が言ったせいか。すまん。
「そ、そうだ磁石寺君。今回の冒険に必要になりそうなポーションとか買いに来たんだけど、なんか必要なのってある?」
話を変えるために慌てて瀬尾が尋ねて来る。
必要な道具、なぁ。
MP回復薬は大量にあるし、問題無いかな。まぁ、前回のS級冒険者戦で一気に使ったから殆ど残ってないけど。まぁ、暇な時に増やしてるから問題はないな。
エリクサー辺り一つくらい買っといて。
「さすがに売ってないよ。全回復薬なんて高価過ぎるし。そもそも道具屋には中級ポーションまでだよ。上級は王国の宝物庫とかに入ってる奴だから」
へー、そうなのか。MP回復薬は特上っぽいぞ、一本飲むだけで普通に全快するし。
クロウのやついいもん持ってたんだな。エリクサーも持ってねーかな、あとでタカリに行ってやろう。
どーせコロアで会うみたいだし。
道具屋って結構品揃えいい筈なんだけど、回復薬揃ってる状態だと来る必要無いな。
他のはあんの?
ほれ、寝袋とか、キャンプ用品どうよ?
あっちはなんだ? 登山器具か。
異世界の登山ってザイルがないから素手がデフォルトなのか。
ロープはあるけど現代っぽい登山器具が殆どない。
飯盒すらないから食事の道具もフライパンとかしかない。
フライパンは存在するんだな。
あっちは海用か。
えーっと。なになに、銛あるじゃん。水中銃まで!? なんでこんな現代っぽいのが存在してんだ?
「それが気になるかい? なんでも数年前に黒髪の冒険者が海潜りたいってことで道具を買いに来たんだけど、必要な道具が全く無かったから鍛冶屋にカチコミ掛けていろいろ作らせたらしいんだ。その道具が使えるってことで他の冒険者も使い始めて各地の道具屋で取り扱い始めたんだって」
またあの女かぁっ!?
そこいら中であの女の足跡が。
なんであいつは世界各地で世界の技術を底上げしてんだよ。
絶対日本人だろ。水中銃とかマニアック過ぎだっての。
「私達は適当に道具屋ぶらついてるけど、あんたどうする? 一緒に見る?」
いや、別の場所向かうよ。道具屋はそこまで必要なのないしウインドウショッピングにも向かないって分かったし。
何よりあいつの足跡が見られるのがなんかムカつく。
俺より先に知識チートしてんじゃねーっ!




