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ウサギさん、それぞれの日常3

「じゃあとりあえず、行きたいところがある人挙手」


 天音が告げる。

 しかし誰も手をあげない。

 本当に行きたい所とか行ってみたいとこないんだねチミたち。


「誰もいねぇし」


「そりゃそうでしょ。基本その日暮らしで余裕なんかなかったし。行きたい場所って言われても……ねぇ?」


「じゃあウサギ、磁石寺と別行動したい人は?」


 すっと手をあげたのはヘンドリック。


「俺は一応彼女がいるんで、咲耶と二人で別行動するよ」


「あ……」


 凄く哀しそうな顔を一瞬だけする咲耶。

 君、すでにNTRれてますよ?


「あら、ヘンドリックはそうでも先生はそうでもないみたいよ?」


「え?」


「あ、えっと、その、天空城、見てみたいかな、って」


「あれ? 咲耶もそういうの好きだったっけ?」


「好きって訳じゃないけど、折角空飛ぶ城が見られるなら見てみたいかなー、なんて」


 本当は俺と離れるのが嫌なんだって。いやん照れちゃう。


「ま、まぁ確かに、城が空飛ぶ所は見ておいて損はない、か」


 むぅっと考えるヘンドリック。

 すっごく咲耶が怪しいんだけど、ヘンドリック君気付いてないぜ。

 他のメンバーは薄々気づいてるんじゃないか、凄く複雑そうな顔してるのが何人かいるぞ。


「他には居ないか?」


「逆に磁石寺はどうなんだ? 中浦とかお前殺した奴じゃん? 一緒に行動したくないとかねーの? あと雲浦は正義の味方で敵なんだろ?」


 福田よ。良く聞け。女の子なら許されるんだよ、どんな汚い事やる女性でも、恋愛対象になるなら許されるんだよ。揉み上げの長い怪盗さんだってふ~○こちゃーんとかに毎回騙されてるだろ。


「ああー、エロウサギに聞くんじゃなかった……」


「ダメだこのウサギ」


「真廣さん、あんなこと言ってますよ、本当に付いて行くんすか?」


「そ、そうだな。だが、城が空を飛ぶ所は見てみたい」


 皆そこが目的かよ!?

 イルラー、皆がオイラより城が空飛ぶところみたいってぇぇぇ!? イルラが宙浮いとるっ!?

 座禅組んでなんか神々しいオーラ纏ったイルラさんは瞑想しながら浮いていらっしゃった。


 なんかありがたい気がするから両手ぱんぱんして拝んどこう。

 ありがたやーありがたやー。

 おお、なんか運勢が上がった気がするぞ? たぶん気のせいだろうけどな。


「んじゃあクラスメイト組は全員天空城跡には同行するってことでいいか?」


「そう、だな。うん、僕と咲耶も同行するよ」


 少し、考え込んだヘンドリックが浮かない顔で告げる。

 あ、ちょっと、なんだいそのいぶかしむ様な眼は? ウサギさんは仏教に帰依している所なのだよ。

 なんか凄くありがたいのです。ナムアミダー。


 ―― うさしゃんやー、ちょっと困ったことが起こったのじゃー ――


 ぐぎゃーっ! 折角神秘を感じてたのにどこぞの神様から天の声がぁー!?

 あ、神だから別にいいのか。

 なんじゃい爺ちゃん?


 ―― ちょっと目を離した隙に駄女神がウサギの系統樹を弄りおったんじゃ! 変なウサギ種が増えとるが安全確認出来るまで絶対に進化するでないぞ! ――


 女神様何やったんだ?

 でも神様よ。どの兎かわからないと成ってしまった後でもわからんぜ?


 ―― いじくられた種族は六つじゃ。七欲魔王を種族で再現させよった。えーっと、傲慢は死を呼ぶ流体兎、飽食がブラックホールラビット、嫉妬がプラズマラビット、憤怒がマリスラビット、貪欲がアクアウェイタラビット、色欲がエロウサギうさしゃんじゃな ――


 最後ーっ! 最後どう聞いても俺じゃん!?

 なんで俺が固有種族扱いなんだよ!? 何してくれてんだ駄女神ぃっ!!

 そもそもなんで嫉妬にプラズマラビットなんだよ、いろいろと良く分からん組み合わせだな。


 系統樹も見てみるか……あー、あそこで繋がるのか。

 お、マジか、あの先があるのか。

 マリスラビットは特殊だな。向かうのだけでも一苦労しそうだぞ。


「どうしたのよエロウサギ」


 ふっ、一応新しい進化先が増えたらしいよ正義の味方。また差が付いちまうな。


「なっ!?」


 いいんだぜ? 俺から逃げてもー。ぬふふふふふ。


「煩いっ、絶対に悪事と止めてやるわ。ついでに息の根もね!」


 あ、そうだった。息の根で思いだした。

 皆まだ聞いてないだろ。俺らが死んだ時どうなるかについて話しとくぜ。


「僕らが、死んだ時?」


 まぁ、ない方がいいんだけどな。可能性があるだけに一応全員に伝えといた方がいいだろ。

 実はさ、ディアリオさんと話し合ってほぼ確信してるんだが、俺ら異世界組が死ぬとしばらくは記憶とスキル持ったまま転生繰り返すみたいなんだわ。


「それって、磁石寺君みたいに私が死んだら兎になったりするってこと?」


 ああ。天音の言う通り、転生先は人間だけじゃなくこの世界に生きる種族のどれか、何に転生するかは運次第。ただ一つ確定してるのがこの世界で転生するってことだけだ。別の世界で復活したりはしない。

 それと転生を繰り返すと、まだ確証はないけど魂がこの世界に定着してこの世界の住人になると思われる。これは神様に聞いた方が早そうだけどほぼ確定だろう。

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