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ウサギさん、ウサギの誓約

「そ、それは分かりますが、女性がウサギさんに夢中になる。それがどうS級冒険者全員出動で抹消ということになるんです?」


 おお、カリエラもこっち飛んで来てたのか。

 コロアに居るはずだから一瞬驚いたよ。


「ウサギは女性を襲う、襲われた女はウサギに夢中になる。おそらく他の男に抱かれたりは欠片すら思うまい? だからこそ、世界的危機が待ってんだ」


「世界的危機、ですか?」


 ガロワの言葉に小首を傾げるエリスエール。

 そう言えばこの守護者もこっちに連れて来たって言ってたな。

 森は大丈夫かねエリスエールさん? え? すぐ帰る? あっそう。


「つまり、こいつが手を出せば手を出す程、男があぶれんだ。要するに独身男が今でも多いのにさらに多くなる。しかもウサギは美醜を問わず、手当たり次第、魔物や動物にも手を出す始末だ。雄ばっか余っていろいろ面倒臭ぇことになる。しかも一度堕ちた女性はウサギが死んだ瞬間自決したりするだろ。つまりウサギを殺したからって女性陣が他の男と結婚する、なんてこともなくなっちまう」


「さすがに杞憂すぎるのでは? 確かに私達は磁石寺君以外とは寝たくないとは思いますけど、かと言ってもウサギですよ? そこまで寿命が……」


 ちょぉい、天音、俺早死にするつもりはねぇぞ!?


「このうさ公は魔物だからな。寿命は無く何千年だって生きる。ゆえに際限なく女性に手を出せば女性の方が先に尽きることになりかねない。つまり、こいつが今、Sランク冒険者が群れることで殺せる状態の時に殺しておかねぇと、手が付けられなくなったら人類が滅亡しちまうのさ」


 大げさだよ!?


「だぁう」


 ―― いや、あながち間違いとも言えんぞ? ――


 ディアリオさん!?


 ―― 彼の心配は今ではなくこれから数十、数百、数千年先のことだ。うさしゃんがこれからも女性を襲い続けていけば、それだけ女性と男性が結婚して子を産むなんてことはなくなる。ウサギは地に溢れるだろうし、ハーフはそれなりに生まれるかもしれん。しかし、女性が少なくなれば男が番う相手を失う。相手が居ないので子が生まれなくなる。子が生まれなくなれば次代が育たぬ。これを繰り返し先細っていけば、男しか居ない人間が衰退し滅亡する可能性は無くは無い ――


 だいぶ先の話しですね。しかも俺がマジで世界中の女襲うつもりで動いた場合ですよね?

 さすがにそれは……大丈夫じゃね?


 ―― まぁ、大げさすぎる妄想だよねー。でもうさしゃん、何事もほどほどに、だよ。じゃないと本当に滅亡させかねないし。人間って結構バカだから、自分から自滅しに来る時もあるんだよ。適度に逃してあげないと普通に滅亡するからね。これ、体験談だから ――


 ボルバーノスさんがそんな事を言う。マジで? 自滅しにくんの?

 まぁ、女性を片っ端から襲ってればガロワみたいに心配性な勇者様が大国率いて攻め行ってくるかもしれないね。そこにパンデミックラビット。あー、滅びるわ世界。


 ―― うさしゃんよ、折角だ、神前契約中なのだから契約してやったらどうだ。自分はそこまで女性を襲ったりはしない、と ――


 うぉ、誰かと思ったらドルアグスさんか、念話だけの参加ですか?


 ―― 今自分の森に戻っているところだ。危機は脱したようなのでな。参加はできるし、問題はあるまい? ――


 問題は確かにないか。

 でも、誓約ねぇ。

 あ、神様まだ見てるー?


 ―― 見とるぞい。なんぞ誓約するのかの。構わんぞい? ――


 んではでは、今生、人間の女性を全て襲うなんてことはいたしません。むしろ人間達が繁栄できるように影ながら支援いたします。でも気に入った女の子は襲います。


「それ、誓約になるの?」


 シュリック君、そこは気にしちゃ負けなんだぜ?


 ―― 穴だらけじゃのぅ。まぁよいか。人間を滅亡させないという誓約にしとこうかの ――


「これで満足できたガロワさん?」


「いや、疑念しか残らねぇよ。だが、もうS級冒険者でも勝てねぇのは理解した。つまり俺ら人間はウサギの気分次第ってこった。まぁ、これ以上無数の街に女漁りに向かうつもりなら俺は敵対させて貰うがな」


「ガロワさん……」


「これは俺がモテねぇからって訳じゃなくな、男たちからすりゃ女性を次々に奪っていくウサギは脅威でしかねぇんだ。だから俺は、ウサギに敵対する。まぁ、ウサギのこれからの指針次第か」


「だ、そうだけど、うさしゃん、これからどうするつもり?」


 ―― S級冒険者は出会い次第復讐! あとは自宅をそろそろ手に入れようと思うのですよ。なんか良い場所ない? 自由に移動できる移動要塞みたいな家。レッセン王国の自宅はちょっと地下過ぎるしさ。あそこ老人ホームになってるし ――


「確かに、世界を見て回ったあとですとレッセンに戻るのはちょっと遠慮したいですわね」


 だよねユーリンデ。

 だから……あ、セレスティ―ア紹介すんの忘れてた。後ろでカルセットたちがめっちゃ驚いてるじゃん。ちょうどいいから紹介しとこう。危険人物だよってな。

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