ウサギさん、ラドウィンの罪状
「なぜ兎がいる?」
処刑場とやらにやってきた。
そこに居たのは国王ゾーゲル・フォン・レッセン。そして第一王子ガッパイ、第二王子リードリヒ、第三王子ビル。王族が勢ぞろいじゃね?
皆俺の姿を見て驚いている。
「お前、さっき死んだって天からの声が聞こえたんだが?」
―― 俺がワールドエネミーな筈がないじゃないっすかー。ワールドエネミーのうさしゃんは討伐されたけど名誉侯爵のうさしゃんは討伐されてないのだよ。悪いウサギさんじゃないよ、うさうさ? ――
「いや、どうみても悪側のウサギだからな?」
「で、なんでそのうさしゃんがセレスティ―アの頭の上に乗ってるんですかね?」
はぁっと頭を抱えるビル。
―― おぅ、なんか俺に助けを呼んだらしくてディアリオさんに転送させられたんだぜ。で、これどういう状況? ――
「知らんのに来たのか……」
「ウサギよ、俺がとやかく言うべきじゃないかもしれんが、お前は妹や姉上をコマしたんだぞ。この上まだセレスティ―アが欲しいのか? 犯罪者なんだが」
そういわれてもなぁ。
俺としてもセレスティ―アは御免こうむりたいんだけど、魅力的な女性であることは確かだし?
こうして壊れかけた目を見るとさすがに同情しますがな。
「ともかく、父上、ラドウィンから罪状を」
「そ、そうだな。ラドウィンよ、なぜここに呼ばれたかは理解できたか?」
おお、今気付いたけど隣に厳ついおっさんがいらっしゃった。
兵士二人に左右から肩を押さえつけられ、膝を折って座らされた状態。
未だに殺意にも似た目で王様たちを睨んでいる。
「俺が何したってぇんだよ! 姉貴ほどヤベェこたぁしてねぇだろ!」
「ほぅ、では罪状を読み上げよビル」
「はい、国王陛下。まず一つ目は我が弟カルセットの殺人未遂」
「はぁ!? あ、あれはあいつが洞窟のトラップに掛かっちまって、死んだと思ったから仕方なく見捨てただけだ。あのトラップは掛かったが最後脱出できねぇんだぞ!?」
「しかし事前にそんなトラップがあることをカルセットに教えてなかったよな? うさ公が現れなけりゃカルセットはそこで死んでいた。聞いた話じゃ上から覗いて笑いながら去っていったそうじゃないか。それが仕方なくか?」
ぎりりと歯を食いしばるラドウィン。あー、うん、こいつのこと思い出した。
俺はあったことないけどいろいろやらかしてた四男坊だ。どう見ても王族じゃなくてチンピラの顔をしてやがる。これが王族とか世も末だな。肩パッド装着してヒャッハー言ってる方が似合ってるよ?
「もう一つあるぞ。貴様が良くしている街のマフィア共だ。奴らを一斉検挙した際、お前の関わった罪科を洗いざらい吐いて貰った」
そんなのあったんだ。
そりゃ言い逃れできないな。
「知るかっ、俺にマフィアの知り合いなんざいねぇ、王族だぞ!」
マジで言ってんの!?
言い逃れとしては最低点を叩きだす台詞だった。
「ラドウィン、お前に選ばせてやる。幽閉の塔への監禁、あるいは服毒。好きな方を選べ」
もはやこれ以上罪状あげても意味は無いと溜息吐いた国王は諦めた顔でそう告げた。
「なっ!?」
驚き固まるラドウィン。幽閉の塔って初めて聞いたけどそんな場所ってあったっけ?
「幽閉の塔……塔とか言ってるけど、下よ。ここの最下層にある塔で地下に伸びてるの。兵士達の宿舎が塔の屋上部分ね」
うぉ!? 誰の声かと思ったらセレスティ―アじゃないか。意識あったのかい。
蚊が飛ぶような声で俺に呟く。瞳は今も壊れかけた様子で元気も全く無い。
にしても、最下層か。逆バベルの塔みたいなもんかね。
このレッセン王国って確か島にある地下に国造ってたよな。その地下って……海底?
「ええ。入ったが最後、二度と出られない凶悪犯罪者用の監獄よ……」
なるほど、監視者は上に登って来る奴だけを見とけばいいから下でどうなってようと監視の目を光らせる必要が無い監獄って奴か。
逃げだそうにも周りが海と岩盤なので結果的に上に登るしかない。でも上はまるまる兵士達の宿舎になっているらしいので脱出はほぼ不可能。インペ○ダウンかな?
未だかつて脱出出来た者はいないらしい。
でも、兵士達って基本雑魚じゃん? S級冒険者が居る訳でもないから犯罪者の実力次第じゃ脱出出来そうだよね?
それを聞いてみると、国王の代で凶悪犯罪者など出ていないので空なのだとか。いや、数千年生きるような生物がいたら地下で雌伏中なんだろうけども、兵士たちは基本犯罪者を最下層に送り届けるだけでさっさと居なくなる。最下層への送り方も滑り台っぽいのが螺旋状に中央についているので、そこに罪人を押し込み滑らせるだけ。
下に食料なども送ったりはしないため、実質死ぬのと一緒らしい。
つまり、塔の中で死ぬか、今死ぬか。どちらか選べ、ということらしい。
生存の目があるのは塔だよな。俺なら生還出来る気がしなくもないが、めぼしい女性もいないのにそんな場所居行く気にもならんな。
「ふざっけんなっ」
立ち上がろうとしたラドウィンだったが、兵士達に力づくで押さえつけられる。
「ラドウィン……」
「クソ、クソがァ! 俺がなんでこんな目にッ! あのジジイのせいかぁ!!」
―― ジジイ? ――
「ああ、ライゼンとかいう爺さんだよ。ラドウィンが絡んで即鎮圧させられたそうだ」
納得ですわ。絡む相手間違えたな。




