ウサギさん、神との取引1
リアと二人、神に引き上げられるように別の世界へと連れて行かれた。
神様の謎スキルで俺のゾンビ化スキルは封じられ、シロウサギに進化しても問題無くなったので今はシロウサギ状態でリアに抱きしめられてる格好だ。
しかし、コーライ村でゆったりしていたリアを引っ張りだすのはどういうことだ?
その辺りもしっかり聞いておかないと。
今回のことも、神からディアリオさん介入禁止宣言が無ければ俺はディアリオさんに転移して貰って安全地帯に飛べたはず。
そこならレパーナ親衛隊はいないのでS級冒険者だけ。
病気脆弱による危険はあるがディアリオさんなら何とかしてくれたはずだ。
俺の中ではディアリオさん最強説が最有力だからな。ディアリオさんに任せればなんでも安心だぜぃ。
「すまんすまん、準備に手間取ったわい」
一面真っ白な世界にソイツは現れた。
リアと二人待っていた俺達の前に、綺麗な純白の翼を持つ禿げ散らかした老人が舞い降りる。
「わぁ、天使様? きれーっ」
こんな天使は嫌だ。
なんで老人なんだよ。禿げてんだよ。せめて女性か中世的な両性無具な存在だろっ!?
なんで一升瓶持ったジジイなんだよ。鼻のあたり赤いなオイ、絶対飲んでたろ、つか既に出来あがってんだろ!?
「天使ではなくてのお嬢ちゃん、儂はこの世界、ヘリザレクシアの創造神じゃ」
―― その創造神が何の用だよ、ディアリオさん介入禁止までして俺を追い詰めたんじゃなかったのか!? 転生させたのもあんただろ! ――
「ふぉっふぉっふぉ、いやすまんの。儂としてはお前さんがちと可哀想だったから魂を拾い上げ望み通りにハーレム展開可能なウサギに転生させたんじゃが? 好きじゃろ、ウサギ?」
好きだよっ、好きなんだよっ! バニーガールさんがなっ! 俺自身がウサギになってどーすんだ!?
「えー、ウサギさん可愛いよ?」
いや、違うの、そうじゃなくてねリア。えーっと、どう言ったらいいんだ!?
「なんじゃ、人間の娘がウサギの恰好しとるのが好きじゃったんか、ならそう言えい」
強制だったよね!?
こっちは童貞で死んだと思ったのに生き返って感謝はしたよ。ウサギじゃなければなァ!
喧嘩腰に告げるのだがリアに撫でられてるせいでなんかつっかかりづらいな。
御蔭で神を名乗る存在もこっちがそこまで怒ってないように見えてるらしい。
クソ、これがリアを連れて来た策略か。見事に俺に有効だよっ。
この世界に来て初めて俺がウサギでも構わないと言ってくれた人間の女の子だぞ。この子の前で怒り狂うなんてできるかっ。
「と、とにかくじゃ、儂としてのお主の動向には注目しておってな。どういうウサギとしての人生を送るかと、いや兎生かの。まぁワクワクしとったんじゃ」
つまり、俺を酒の肴に盛り上がってた、と?
「そりゃぁもう、クマとの闘いやらブラックコボルトとの闘いは酒が進んだわいっ」
最悪だこの蟒爺っ。蟒と書いてウワバミと読む。つまり飲んだくれだ。
「おっと失敬。つまり、今回もじゃな、追い詰められとるお前さんが起死回生の一手で逃げるだろうと、チートなディアリッチオ、ああ今はディアリオじゃったか。彼の介入を禁止したんじゃ」
俺はディアリオさんに助け求めたとこで既に限界ぎりぎりだったんだけどな。アレ以上は逃げれんぜ? だって真祖兎に成って死亡から急速再生までする奥の手切らされたんだぞ!
もはやディアリオさんに頼むしかなかったんだって。
だが、それも潰された。この神の道楽のせいで、だ。
そして最後の最後、負けを認めて条件もだした。
俺にとっても厳しいがこれから一生、新しい雌には襲いかからないと誓うとまで言ったのだ。俺が、だぞ。これかなりの譲歩だろ!?
残念ながらクロウたちはこの降伏条件を思い切り蹴り飛ばしやがったからな。
そりゃ封印指定の奥の手使うしかねーだろ。
そもそも俺、悪の怪人だし。起死回生無理だと分かったらもう周囲諸共自爆っきゃねーじゃん。
とくに病気脆弱のせいで全身病に侵され……そういえば今大丈夫だな。どうなった状態異常?
「ああ、うむ。これからは邪魔になると思っての、病気脆弱スキルと状態異常は全て無くしておいたぞい」
あんたは神かっ!?
「さっきまで親の仇のような眼で見とらんかったかお主?」
って、そうだった。この病気脆弱スキル俺に付けたのもこいつだった。
あんたやっぱり神じゃなくて悪魔か何かだろッ!
そもそもなんか人間っぽいんだよな。
「そりゃそうじゃ。儂この世界創造しただけの一般人じゃもん」
はぁ?
「まぁ、儂らの世界じゃ裁判長みたいなことやっとるが、この世界で言えば他の奴らとそこまで変わらん一般人という奴じゃ。お主らとは見えとる次元が違うから神のような振る舞いが出来とるがの。そういう訳で人間っぽい感情のある神と言われれば否定出来んわい。全知全能という訳ではないでの」
「……??? うさしゃん。この天使様何言ってるの?」
リアにはまだ難しい話しだったようだ。
とりあえず話に参加しなくていいから俺の背中でも撫でときなさい。




