うさぎさん、窮鼠の時2
結果をいえば、クロウの放った武器を全反射した攻撃は、マックスの絶対防御により完全に防がれた。
神剣の一撃すら防ぐとか、そのスキルヤバくね?
ただ、それ相応の何かは奪われるようで、マックスは盾を杖代わりにして片膝を付く。
「ぐぅ、思った以上のダメージだ」
「すまん、神剣が混じってるせいだ」
「届いたぞ、ウサギぃっ!」
剣を弾く間に迫っていたマイケルがアトエルト達を踏み台にして飛び上がって来る。
当然雷光撃で迎撃だ。
チッ、なんか雷喰らっても平気になってやがる。耐性補助魔法か?
仕方ない。お前相手にゃもったいねぇが、くらえ!
聖槍流星群!!
既に空中に身を躍らせていたマイケル。当然ながらよける訳も無く、無数の槍に貫かれ、その生涯を終える。
真下のアトエルトも数体巻き添えで串刺しになっていたが、いかんせん数が多い。お、爆発した。ちゅどーんっとガイコツ雲がでそうな大爆発だ。
アトエルト対策に風魔法で竜巻を四方に配置。
擂り潰すように移動させるが、ローエンがせっせと魔法を砕いて来るので魔力回復がかかせない。
自動使用で魔法使いまくってるから魔力残量に気を付けないとすぐ底をついてしまう。
「クソ、マイケルがやられたッ!」
「気にするな、奴ならまた戻って来るさ」
「ぐふっ、いや、槍、槍刺さってる。誰か抜いて?」
マイケルが涙目で訴えているが、皆スルーして俺に向かって来る。
ドランクとマージェスの魔法と毒攻撃が地味に辛いな。
何気に爆風やら毒霧が視界を妨げてアトエルトの接近を気付かせなくしてくれるのだ。
「空中は得意、言ったネ!」
またか!?
あのチートスキルが来る。
だが、来ると分かっていれば対処は可能だ。
と、いうわけで瞬間移動!
「アイヤーっ!? 逃げられたカ!?」
何も無い空間を掴み取ったパオが思わず叫ぶ。
悔しげな彼女の声に、俺へと向かっていたストナ達が動きを止めて周囲を索敵。
俺をいち早く見付けたガイが動き出し、それに気付いたコルトエアが走りだす。
さらに出現した俺にクロウがロンギヌスを投げて来る。
貫通しまーすでロンギヌスをやりすごし、近づいて来たガイに意識を盗む。
触らないと発動しないのが面倒だけど、近接型だと分かり切っているガイ相手なら充分に使えるスキルだ。
「あの胸毛野郎気絶しやがった!?」
「飛べ、斬撃ッ!」
はぁ!?
ストナがなんか斬撃飛ばして来た。
ぎりぎりで避けたらそこへ突撃してくるコルトエア。
拳を握り、渾身の一撃を俺に見舞う。
当然逃げ……
「今度は掴んだヨ」
マジ?
空間ごと固定される。
当然動けない。
そこへ迫り来るコルトエアの一撃。
クソッ、この攻撃受けてる間集中が上手くいかないのか透過スキルも使えないんだよ。
なら行うべきは、進化、タングステンラビット!
「やばっ」
「来たァっ! 俺にやらせろコルトエア!」
寸止めするコルトエア。逆に襲いかかって来るローエン。
タングステンを割り砕くべく迫る災厄から逃げたいものの、俺には逃げる術が……
どうする? 固体じゃ抜けれねぇ、液体も無理、何か、何か方法は……
「殺ったァ!」
進化……アトモスフィアラビット!
ローエンの脚による斬撃が俺の身体を素通りする。
そうだ、スキルがだめでも奴らの知らない特殊スキルがある。
それは種族特性。
俺が今まで進化して来た兎達の能力がまだ使える。
アトモスフィアラビットは正直進化するのに気が引ける種族だ。
何しろ進化と同時に身体が霧散していくんだからな。
大気兎というだけあって身体が大気で出来ているせいで霧散してしまうのだ。
霧散したらどうなるか、想像するだに恐ろしい。
ただ、空間ごと固定中の今は大気化しても霧散はしない。
でも斬撃を受けてもダメージにはならない。だって身体は大気でできているから。
パオが再び固定した空間を地面にたたきつける。
俺はダメージを受けたものの、即座にヴォルパーティンガーに戻って体力回復。
あっぶね。
危うく思考まで大気に混ざって行く所だった。
あんなウサギ絶対長生きできないだろ。幻のウサギだよ絶対。
「クソ、何だ今の兎!?」
「スキルじゃないな、進化退化ってスキルだな。今まで進化した種族に瞬時に成れる能力だ」
「そうか、ヴォルパーティンガーからタングステンラビットへの切り替わりが不思議だったが、そのスキルのせいか」
マックスの言葉に納得するストナ。
そんな彼らが話しをしているうちに、俺に向かって来るのはドランクの魔法とべルクレア。
ワイヤー付きのナイフを俺に向かって投げつけて来る。
低空飛行でナイフを躱し、続く魔法連弾を避けて行く。
千列のアトエルトたちが障害物のように迫り来るが、時に避け、時に金的、時に暗殺して逃げて行く。
逃げると見せかけローエンの後頭部に蹴り入れたり、迫り来たコルトエアの胸にパイタッチしてぶっ殺すと言われたり、ちょっと余裕が出てきた気がするが必死に逃げる俺だった。




