うさぎさん、レパーナの反抗
皆さんから加護を頂く。
なんか知らん間にさまざまなスキルが増えたな。
確認するだけでも一苦労な気がする。
嬉しいスキルと言えば、タマさんとやらの硬化スキル。
一応硬化は持ってたけどさ、それをさらに堅く補えるスキル貰ったんだよ。
あとスラ子さんから触手スキル貰ったんだけどさ、使えないんだよね。
触手作る器官みたいなのが無いから無意味スキルになっちまってるようだ。
リキッドラビット系になったら使えるかもしれないけど、一度でも使ったらいろいろヤバいことになりそうだからここで使うのは止めよう。
狒狒爺さんから貰った魔法自動連射は滅茶苦茶重宝しそうだ。
直ぐ魔力枯渇しそうでもあるけども。
このスキル持ってたから広範囲魔法バカスカ撃ちまくって来たんだな。
ガルエルトさんからは病弱な俺の身体を心配されて疾病無効スキルを貰ってしまった。
これで病気にも罹らないぜ。
今までの不安が払拭された気分です。
皆が湖の畔でゆったりと会話をし始める。
疲れたから休憩を兼ねた軽い談笑らしい。
俺も適当な場所で草食んで一段落するまでぼーっとすることになった。
楽しみにしていたダンジョンアタック潰されたことに対する話し合いが思いの外長引いている。
俺のせいじゃないやい。
なのになんで俺をちょいちょい見るの!? 違うからね!
「おい、ウサギ」
しばしもっちゃもっちゃしていると、俺の直ぐ隣にやってくるレパーナ。
成る程、改めて見るとドルアグスの旦那の要素がそこいらに散見される。
娘さんなんだなぁって思えるよ。ああ、美人でちゅっちゅしたくなるのに手を出せないとは。
まぁ、頭の方がちょっと弱いので下手に襲ったらそのまま付いてきそうで怖くはあるから手は出さない方が良いタイプの女性だろう。
で? なんですかな?
「ちょっと聞きたいことがあるんだが、流石にここだとアレだし、こっち来い」
はぁ。言われるままにレパーナの身体によじ登る。
レパーナはそんな俺を両手で掴んで胸元に寄せると、むにむにと顔を刺激して来る。
ちょっとレパーナさん。頬とか引っ張らないでくれます?
「いくつか聞きたいことがあんだよ」
聞きたいこと、ねぇ、ドルアグスさん関連?
「まぁ、それもある」
他にもあるのか。
皆と離れて森の奥へ。
心配した魔物達に見守られながら……レパーナ気付いてないな。
多分彼女だけは二人きりになれたと思っているようだけど、皆しっかり周囲で聞き耳立ててるよ。
「この辺りでいいかな?」
一キロ程離れた場所に来た。
森の中なのでさすがにこれで会話を聞こうとしても聞こえないだろう。
まぁ、聞き耳立ててるのはむっちゃいるけど。
狒狒爺こそいないが他のメンバーはちゃっかり着いて来てやがる。
「まず聞きてぇのはテメェのことだ。親父とはどういう関係だ?」
ドルアグスの旦那と?
まぁいいか。隠す程の事でもないし。とりあえず怒るなよ? と一言告げた後、俺は自分が転生したことからドルアグスの旦那に出会うまでを説明する。
かなり端折ったよ。熊との闘いとかおやっさんが蛇に食われたとかは説明いらないと思ったから言わなかったし。
黙って聞いていたレパーナ。眉間に皺寄ってるよ? ちゃんと話し理解出来てる?
もしかして話しの半分も理解できてなかったりしないよな?
俺がドルアグスを旦那呼びした理由は自分より強いとすぐに見抜いたからだし、頼りになる魔物だと思ったからなんだが。
「今の話しの中、親父がお前を気に入る要素が見当たらなかったんだが?」
さすがにそれは俺に聞かれても。
ドルアグスさんから直接聞いた方が速くね?
俺だってドルアグスさんに気に入られた理由は聞かれたって分からないって。
―― 転生者なのは分かっていたからな。転生者は短い時間で上位魔物に成り上がることが多い。先物買いで加護を与えたのだ。我の森を管理するに相応しい実力になればいいな、とな。予想よりも早くその実力に近づいているようで何よりだ ――
うおぉ!? ドルアグスの旦那から念話が!?
「チッ、普通に見てやがるのか。まぁいい。次の質問だ。お前、女癖が悪いらしいな」
酷い!? ウサギに転生したせいで常時発情状態なだけですよ!?
「あたしと二人きりになったのに襲いかかって来ないのは何故だ? こんなシュチュエーションなら大喜びで襲ってくるんじゃねーのか?」
馬鹿なことを。レパーナ襲ったら俺ドルアグスさんに殺されるわ。じいちゃんのお孫さん襲ってめっちゃ追跡されてんだぞ!? これ以上敵増やしてどーすんの。
つかそもそも二人きりじゃねーし。
「ああ、まぁ親父が見てるもんな」
いや、そうじゃなくてな?
「つまり、よぉ。あたしを襲うと親父とテメェの間に亀裂が入る訳だ」
ニタリ、レパーナがあくどい笑みを浮かべる。
え? あの、レパーナさん?
あ、ちょっと、待って。それはヤバい、いろいろヤバいよ!?
あ、ちょ、逃げ場が……あーれーっ。
その日、俺は、初めて女性に……襲われた――――




