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天音、レパーナ親衛隊13

 タマがジグザグに移動しながら独楽のように迫り来る。

 素早さはかなり速い。でも避けられない程じゃない。

 問題は不規則に移動するせいで避けた先にこられたら結局激突することになるって所が問題だろう。


「Oh、ノーッ!? あの殻弾ハジきやがりまーシタ!?」


 クラウドバニー向けて突撃して来たタマに鉄甲弾を発射したジョージ君、残念なことに弾かれたようだ。

 あの殻、アダマンタイトとかオリハルコンとか向こうに存在しなかった硬い材質なんじゃないかな?

 ジョージ君から貰った銃でヘンドリック君も狙撃を始めるが、その全てがチュインチュインと地面や木に流れ弾として弾かれて行く。


「ダメか、雲浦さん、逃げ……ああもう、好きにしてくれ」


 逃げろと言いかけて、彼は諦める。

 何しろタマを受け止めて投げ飛ばそうとしている姿を見付けてしまったからだ。

 クラウドバニーは自身が正義の味方だからってところにまだこだわっているようだ。

 むしろ、そこに縋るしかない状態なんだろう。


 自分は弱いと分かっていながらも、近くに居るのは自分が倒すべき怪人。ソイツが好き勝手やっている。

 なら倒せるのは正義の味方である自分だけ。

 他の皆はか弱い人間だから正義の味方である自分が率先して守らないといけない。


 他の皆が聞いたらはぁ? っと小首を傾げる意見だろうけど、多分彼女はそんな気持ちなのだろう。

 だから、率先して前に出て、誰よりも敵に近い位置で必死に闘う。

 例え自分が弱いと分かっていても、である。

 それがわかったからヘンドリック君も溜息吐いて好きにしろと言うのだろう。


 そしてタマを掴もうとするクラウドバニー。皆の予想通り、弾かれ、どてっ腹に直撃されて吹っ飛んだ。

 うん、まぁ、分かってた。

 それでも気絶してない所が凄いな。


 ―― おいおい、まだやろうってか? まぁ、折角だし付き合ってやんぜ。ぶっとべや! ――


 よろめきながらも立ち向かう姿のクラウドバニーにタマも仕方ねぇな、と付き合ってやることにしたらしい。

 再びクラウドバニー目指して接近するタマ。

 その動きはやっぱりふらふらしていて竜巻が迫って来るかのよう。


 今度こそ、と気合を入れるクラウドバニー。しかし、手こそ掛けられたものの、弾かれ吹っ飛ばされる。

 それを繰り返すこと数回。

 次に喰らえばHP無くなると気付いた狒狒爺によりドクターストップがかかった。


 悔しそうにしている兎月さんを観戦に回し、結局四人での闘いとなったヘンドリック君。

 今のうちに対策も済んだようで、ジョージ君と揃ってロケットランチャーを装備、その背後では咲耶先生が変わった銃を構えている。何だあれ。はい? 人間抹消銃? なんか凄いデカい設置型の銃らしい。良くわかんないけど映画やら何やらで見たから内部の仕組みは良く分かってないけど性能だけはちゃんと再現出来たんだと。ジョージ君のスキル、そんなのでいいのか。チートだな。


 信管とか言うのが電動式になっていて、全ての銃口から一斉発射できる鉄甲弾、2000発だそうだ。

 しかもジョージ君が改造というか変化させてガトリング式らしい。

 ロケットランチャーと人間抹消銃が一斉に火を噴く。

 殻に閉じ籠ったタマが殻ごと撃たれ、なんか凄い音を響かせながら右に左に踊りだす。


 無数の銃弾が地面を穿ち、まるで鋼の雨に撃たれたかのように穴ぼこを沢山作っていく。

 危ないってことで私達には狒狒爺さんが障壁を作りだし守ってくれる。

 うわ、普通に障壁に流れ弾飛んで来た。

 今のはボルバーノスさんの額に風穴開く角度だったよ。


「ふむ。攻撃速度は問題ないんじゃがなぁ」


「さすがに、アレを破壊する威力は叩きだせないみたいです」


 ―― あれ、ちょっと変わってるけど僕外国ドラマで見た気がする。十字型ならほぼ確実なのに、なんでドーナツ型なの? なんでガトリングガンなの? 時計回りに発射され続けるの凄い怖いんだけど? ――


「弾幕シューティングゲーでも無理ゲーにする連撃だよね?」


 ―― とりあえず僕には向けないでね? ――


「磁石寺君には向きそうだなぁ」


 とくに先生襲った事バレたらアレで抹消されちゃうんじゃないかな?

 あれ? そういえば福田君何処行った?

 皆射撃してると思ったら彼だけいつの間にか居なくなっていた。


 そう言えばいっつも福田君は戦闘してるの見たことないんだけど、なんか必殺的なスキルとかあるのかな?

 あ、居た。

 木の陰に隠れながら銃弾の流れ弾が来ないように祈ってる。

 一応何らかの魔法を唱えて待機中みたいだけど。


「今だ! ピットフォール!!」


 魔法発動?

 あっ!?

 福田君、何か狙ってると思ったら、安全地帯からタマの進行方向に穴トラップしかけるタイミングを計っていたようだ。

 見事タマの貝殻部分がぎりぎり入らない穴が出現し、すぽっと頭から嵌ったタマは独楽としての役目を見事に封殺され、地面の中に突き立った。

 これ、詰んだんじゃない?

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