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ウサギさん、レパーナの森1

 さぁって、ようやく最後の森への準備が整った。

 結局ダンジョン探検アリってことで皆立候補したので出発までの期間が伸びたのだ。

 その間にガロワによるダンジョンでの注意点などを新米冒険者と勇者たちが勉強を始め、俺は暇だったのでディアリオさんを背中に乗せてコロア中を駆け回ってました。


 どっかの女性襲おうと思ったらディアリオさんが唐突にやって来て行くぞウサギよ! ハイヤーっと指を前に差し出すのだ。

 だから仕方無かったんだよ。毎日のようにやって来るからずっと街中走り回されてたんだ。

 ちくしょう、御蔭でメス個体とキャッキャウフフなんてあんまり出来なかったよ。


「ああ、こんな所にいたのね」


 皆の準備風景をぼーっと眺めていた俺に、声が掛かった。

 視線を向けようとすれば、俺の隣にやってきた中浦沙希が中腰に座る。

 俺には視線を合わせず俺が見ていた準備風景に視線を向ける。


「なんやかんやで結局謝れてなかったでしょ。あなたは許してくれないかもしれないけど、一応、謝っておきたくて……刺殺してしまって、ごめんなさい」


 気の無い謝罪だなオイ。


「ええ、正直、あなたに申し訳ないというよりも桃瀬さんを悲しませてしまったことへの申し訳なさが強いの。男ってさ、ほら、クズばっかじゃない。私、好きだった男に二股された訳だし、あんただって死んだ後はその姿で油断させて女の子襲いまくってるんでしょ」


 やべぇ、反論できねぇ。


「別にだから謝らないって訳じゃないの。私もさ、ずっと殺したこと後悔してたんだけど、ずっと考えに考えても、殺したことは後悔してるけどあなたを殺したことについては後悔してなかったのよね。クズな男に騙される前に桃瀬さんを救えて良かったとすら思ったし」


 最悪かよ。犯すぞテメェ。


「ほら、またすぐそうやって女性襲おうとする。そんなだから桃瀬さんと付き合う前に殺せて良かったって思うのよ」


 ぐふぅっ!?


「でも……殺してしまって、本当にごめんなさい。あなたを殺すつもりはほんとになかったの」


 それは知ってる。

 元々殺そうとしていたのは坂上博樹だろ。

 そういや知ってるか? その坂上死んだらしいぞ。


「ええ。そうらしいわね。でも、生まれ変わっただけでしょ。あいつのことだし、またやらかすわよ」


 やっぱりそう思うか……

 ディアリオさんと考えた見解があるんだが、お前もちょっと考察してくれや。俺を殺したことすまないと思ってんならさ、これ以上死んで転生するクソ共が出て来ないように手を打ちたい。


「転生を止めるってこと? いいわ。私で良ければ手伝うわよ。考えるのあんまり得意じゃないけど。あと、あなたの転生も止めるの? ウサギのままでいい?」


 なんかもうこの姿で過ごすの慣れたし、これからまた死んで次の生を得るって思うとなぁ。

 ミジンコとかゾウリムシに転生したら即死案件だし?

 死ねば死ぬほど大切な何かを失うなら、俺はウサギのままでいい。幸い魔物化したことで半永久的に生存出来るらしいし?


「そう。で、桃瀬さんとのことはどうするの? まさかウサギのまま付き合うとか言わないわよね?」


 それは桃瀬と会ってからだな。彼女が俺に何を求めてるかにもよるし、既に何度も女性を襲ってる以上言い訳はしない。

 ってもさぁ、本当は桃瀬一筋貫く予定だったんだぞ。

 なぜか刺殺されて性欲過多なウサギさんに転生させられたせいでそれも不可能になったけども。


「うっ、だから、それはごめんなさいっていってるじゃない」


 こっちは殺された側だからな。事あるごとに弄ってやるぜ。それくらいは許容しろよ殺人者め。くっくっく。


「本当にクズよねあなた」


 クズで結構。どうせもう人間じゃねーから人間のクズじゃないし? ウサギさんだから畜生風情の精神でいいのさ。


「やばい、これって一度死んだせいでやけになった感じなのかしら。私、だいぶ責任感じて来たわ。桃瀬さんにあったら謝らないと」


 あれ? なんで俺の言動で責任感じるの? 俺飼いウサギじゃないよ? 飼い主責任とか違うんだよ? 違うよね?


「旦那様ー、そろそろ皆さん準備できましたよー」


 お、そろそろ出発開始か。おい中浦、おまえ俺を殺したこと本当に申し訳ないと思ってんなら頭の乗せろ。しばらくお前が俺の足になるのだー。


「何よソレ……もしかしてそれで殺されたこと水に流してやるってこと? ……随分甘いのね」


 お、今笑ったか? 珍しい、中浦ってば大体ヒステリックに叫ぶか怒り狂ってる記憶しかなかったのに、笑うと可愛いじゃないか。


「ばっ!? 馬鹿なこと言ってないで行きますよっ。まったく、女性への口説き文句ばっかり上手くなって、ウサギの癖に生意気ですよ」


 顔を赤くして怒りながらも俺を頭の上に乗せる中浦。

 恨みはあるが貴重な笑顔が見えたのでまぁ良しとしよう。少しくらいは許してやってもいいぜ。なんつって。

 そういやさ中浦。


「なんですか?」


 ウチの姐さん。俺と一緒に生まれたウサギなんだけどな。

 人の頭の上に乗ると必ず粗相するらし……ぬおわっ!?


「あ、あなた、私の頭の上でおしっことかしたら捻り潰しますよッ!?」


 話の途中で慌てた中浦によって無理矢理頭から降ろされたウサギさん。

 止めて、両耳纏めて掴んで葉物野菜持つみたいにしないでっ。

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