うさぎさん、イルラたちと情報共有３
「成る程、ジョゼはシャコタン王国の闇を知っても向こうに着いたってことか」
「働き口もあるし、自由もあるし、自分に被害が及ばないのならむしろこの国に居た方が良いっとかって、私達は秘密を知ってしまっているから監禁した方がいいって」
あのジョゼがねぇ、いや、あのジョゼだからこそ、か。
アイツ勉強とかは独りで集中したいタイプだったから仕事に打ち込むのに邪魔になりそうな二人を監禁するつもりだったのかもしれない。
後はどうなろうと知ったことではない。なぜなら二人はジョゼにとってそこまで大切な存在ではないからだ。
クラスが同じだったから一緒に行動していたけどシャコタン王国に住むには邪魔になる存在。
ま、成るようにして成ったって奴だな。
ジョゼについては放置してしまっていいんだろう。
機会があるなら独りでこっそり行ってみよう。襲いたいからって訳じゃないぞ、ないからね。皆してなんでこういうこと考えただけでジト目を向けて来るの！？
って、あれ？ そう言えば今更だけど兎月が居なくね？
一体いつからいなかったんだっけ？
いや、最初からか！？
みなさんや、兎月の奴はどこかいね？
折角なので聞いてみた。
一人だけいないんだもん、なんかあるんじゃないかと心配になるっしょ？
「え？ 兎月さん？ そういえば……」
「ああ、彼女なら怪人なんかと一緒に居られるか、と出て行ったよ」
どっかの殺人事件の被害者候補かな？
探したら死体で発見とか普通にありそうだな。
―― 残念だがウサギよ、彼女ならば庭を散歩中だ ――
既にモニタリング済みですかディアリオさん。
―― それと、お前達の知り合いが町に来たのでそちらに合流させた方がいいか？ 一応連絡は取れているのだが ――
連絡取れてるって、え？ 俺達の仲間？
誰か居たっけか？
―― チーム元道らしい ――
「元道……真廣たちか」
「連絡取れるのなら取りたいですね」
―― では送ろう ――
と、ディアリオさんの念話が聞こえた次の瞬間、どさどさっと部屋に現れるクラスメイト達。
えーっと現れたのは……元道真廣、赤穂楓夏、真壁莱人、上田幸次、ルルジョパ、中浦沙希の六名だ。
スポーツ系ばっかだな。いや、中浦は違うか。っていうか、俺を殺した奴じゃねぇか！？
この野郎、どの面下げて俺に会いに来やがった！
犯すぞこの野郎、堕とすぞこの野郎。ウサギさん暴走バッチコイだぞ！
フシャーッ！
「なんでうさしゃんは威嚇してるんだ？」
「あ、中浦さんが磁石寺君殺した犯人なので」
―― うさしゃんを殺した犯人は、あんただ！ 中浦！ ――
ばばーんと指差すボルバーノス。
意味の分かっていない中浦がはぁ？ と怪訝な顔をした。
「あー。そのディアリオって奴からある程度は聞いたし、今回の会議っぽいの最初から聞いてたから大体のことは理解できるけどさ……そいつが、本当に磁石寺？」
代表するように真壁莱人が尋ねてくる。
よっすオラ磁石寺。交尾相手募集中です。
「ただのエロウサギになっちまったんだ。女性陣は近づくなよ、マジで襲ってくるから」
「そうは言うけど福田、戸塚の奴が滅茶苦茶抱きしめてるぞ？」
「意外と触り心地がいいんだ。触ったら虜になるぞ！」
なんだよ、人を危険物みたいに。
「それで、君たちはなんでディアリオさんに送られたんだ？」
話のレールを戻そうと、ヘンドリック君が話を促す。
「あ、そうそう。レッセン共和国に向かったらさ、突然空から声が聞こえてさ、ディアリオっていう町の守護者かな？ その人にいろいろ聞いてたら皆と合流した方が良さそうだと思ってさ。俺らもう追われるのとかこりごりだし」
追われるのがこりごり？
「ナリアガリッパーで奴隷にされかけてな。元道の機転でなんとか逃げだせたんだが……」
どうやら彼らもいろいろあったらしい。
途中でアンゴルモア教とかいう宗教にやられて町で宗教勧誘やっちまったんだと。
それで逃げるようにレッセン共和国にやって来たそうだ。
何してんのお前ら。いや、むしろレイシアたちだろ。何してんだあいつら。
レイシアが元気にしてるということがわかっただけでもよかった。
さて、とりあえず話は済んだかね？
んじゃ今後の方針についてお話ししようぜ。
「磁石寺、でいいんだよな。今後の方針？」
俺らは森の守護者巡りしてるんだ。
まだ一人行ってないし、その森に秘密結社のダンジョンっぽいのがあるらしいからそこに行くつもりなんだ。
行きたい人は着いてくればいいし、その間はここ、コロアで自由行動さ。
「なるほど。レッセンからこっち来たのは良いけど足止めは足止めになるのか。どうする皆？」
そして各所で個別会議が始まった。
え？ ダンジョン行くとか聞いてない？
お前らも相談すんの？ 王族組は待機でおっちゃんの講義受けとけよ。機械ダンジョン結構危険なんだぞ？
