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うさぎさん、子猫拾ったんじゃないんだから捨てて来なさいはダメだと思う

「なんでちょっと目を離しただけで女の人連れて来るのよ! 捨てて来なさいっ」


「いや、嬢ちゃん、子供がネコ拾ったとかじゃねぇんだからよ……」


「というか、逆、だよね?」


「だなぁ。普通そっちのお姉さんがウサギ拾ってきて言われる台詞だよなぁ」


 ガロワの横でカルセットとシュリックが呆れている。

 仕方ないだろー、襲って来たから襲いかえしただけなんだよぅ。

 そしたらお持ち帰りが強制発生なんだよ。なんでこうなった?


 ほ、ほら、心入れ替えてまっとうな冒険者になるって言ってるし。

 えーっと、シーフ系能力って重宝するでしょ?

 そ、それからさ、お姉さんパーティー抜けたせいで今一人きりなんだよ、可哀想だろ?


「テメェが原因だろうがぁッ」


「どぅどぅ。お嬢ちゃんストップ」


 ガロワに羽交い締めされる兎月。なんか暴れ馬みたいになっている。

 なぜお前に怒られねばならんのか?

 そういやそうだな。俺、別に今まで通り自由に生きてるだけなのに、なんでこいつに怒られなきゃいけないんだろう?

 俺の彼女でも妻でもまして番でもないのに。


 ついでに言うなら妻であるユーリンデは俺を抱き上げお風呂に入りましょうと言ってくれている。

 チェルロは着いて来た女性から詳細を聞いているようだ。

 漏れ聞こえた話から、彼女の名前がカリエラという名前だってことが分かった。


 チェルロに連れられて皆で根掘り葉掘りいろいろ聞くらしい。

 その間に俺はユーリンデとしっぽり……え? ダメ? 臭いから丸洗いするだけ?

 いやん、ウサギさん臭くないよ!? メス臭い!? ぐほぁ!?


 ユーリンデによる楽しくもない丸洗いを受けながら、今回何をしてきたかを話させられた。

 妻の問い詰めなので俺としても言わざるをえず、なんか気付いたら全部吐かされてました。

 話術のプロか!? ちくしょう、クマやライオン襲った事ばれちまったじゃねーか。


 丸洗いが終わるとユーリンデ共々皆のいる会議室へと連れて行かれる。

 なんだろうね、この針のムシロ。あいつやっぱやりやがったと声が聞こえてきそうです。


「あー、なんだ。とりあえず今日は休んで明日からはエリスエールの森ってことでいいのか?」


「これ以上ウサギを問い詰めたところで無意味みたいだしね」


 ため息交じりに告げる兎月。

 なんだよぅ、皆が俺を放置して帰るから悪いんじゃないかー。

 さみしかったんだよぅ。

 そりゃ女性に癒しを求めるでしょう。雌だけど。


「んで、あんたボルバーノスの加護ってのは貰えたの?」


 一応ね。ほーれ。


「きゃっ!?」


 兎月向けて蜘蛛糸発射。

 顔面に糸を噴き付けられた兎月が可愛らしい悲鳴を上げる。

 ふっ、これぞ顔し……ぎゃあぁ!? 許してぇっ、今のは冗談だったんですぅっ!?


 当然切れた兎月改めクラウドバニーのクラウドラッシュが襲って来た。

 まさかのノーモーションからの雲召喚で速射してくるとか、スキルレベル上がってね?

 そうか、さっきのゴブリン戦。レイド戦闘か戦争での勝利になって物凄い経験値が入ったんだ。


 俺は経験値がストックされて行くから自動レベルアップはしないけど他の皆は一気にレベルアップしたはずだ。

 やべぇ、こいつの攻撃避け切れるだろうか?

 ぎゃあぁかすった。今耳に掠ったよ!?


「やっぱり殺す、殺してやるッ!」


「落ち付け、落ち付け嬢ちゃん、怒ったらウサギの思うつぼだ!」


 やっぱりガロワさんに羽交い締めされる兎月。

 ふー、野蛮なウサギ娘だなまったく。

 ちょっと蜘蛛糸掛けただけで大げさだよ全く。

 別にちょっとべとつくだけじゃないか。


「今のって、蜘蛛糸、ですよね?」


「ふむ、ボルバーノス自身蜘蛛だったし、糸を出せるようになった。というわけか」


「凄い、これってもしかしてスパイダーラビットできるんじゃ……」


 天音、悪いけどこれまったくくっつかないんだ。耐久力も全く無いし。


「あらぁ、身体くっつけるとかできないんじゃない。それって覚えた意味あるの?」


 美与煩い。俺だってショボいとは思ったけどもっ。


「とりあえず今日はもう疲れたしよ、そろそろ解散して寝ようぜ」


「ウサギも、今日は楽しんだだろ。女性陣の方に行って襲うんじゃないぞ。皆ゴブリン戦で疲れてんだし」


 ヘンドリックに溜息吐かれながら窘められる。

 いや、まぁ確かに皆頑張ってたから疲れてるだろうけども。

 じゃあカリエラさんと寝……ぎゃあ!? ちょ、ガロワさん首根っこ掴むのはやめてぇ。


「しゃーねぇから今日は俺と寝ようじゃねぇか」


 嫌だァっ、俺はそんな趣味はねぇ!


「俺だってねぇよ!?」


 ブツクサ言いながらガロワが俺を部屋へと拉致していく。

 ユーリンデ、チェルロ、助け……ああぁーっ。

 ぱたんっと扉が閉じられた。

 ちくしょう、俺の桃源郷がぁ……

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