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うさぎさん、正義と悪3

「マグネス・コピオォォォッ!!」


 ガロワ達に気を取られた一瞬、クラウドバニーが俺に向けて飛びかかっていた。

 強烈な飛び蹴り。

 はっと気付いた俺の顔面に、靴底がめりこ……むことなく空を切る。

 当然瞬間移動で避けた。


「ラビットキックッ」


 地面に足を付けた瞬間、反発するように地面を蹴りつけ後ろに出現した俺に飛び回し蹴り。

 物質透過でやり過ごす。クールタイムが地味に面倒だな。

 あ。連撃来た、貫通しまーす。


「当たれぇぇぇッ!!」


 蹴りが喰らわないと見るや棒の一撃、これも回避した俺を掴みかかる。

 物質透過と貫通しまーすがクールタイム。瞬間移動もクールタイム入った。連続使用し過ぎたようだ。

 掴まれたら多分投げ潰されるだろう。首輪落としくらいやりかねない。

 と言うわけで、存在進化、リキッドラビット。


 ばしゃんっと液体を掴み取ろうとして何もつかめずに終わるクラウドバニー。

 ウサギが水になった瞬間、え? っと驚いた顔をしたが、直ぐに真下に流れた水がウサギの姿を取ったことで逃げられたことに気付く。


「何なのよあんたはッ!!」


 行くぜ必殺。人体切断!


「喰らうか!」


 魔剣クリップを使った一撃は棒にいなされてしまった。

 くぅぅ、攻撃は翻弄できるけど、こっちの攻撃も潰されてしまうようだ。

 さすがは正義の味方怪人相手の闘いを何度も潜り抜けてないってことか。


 こっちの世界ではスキルの御蔭で俺は避けられるが、攻撃は当てられない。

 クラウドバニーはこっちの世界にまだ慣れてないのでスキル回避により俺に攻撃を当てられないが、今までの経験則から俺の攻撃は避けられる。

 つまり千日手である。

 決着が付かない。


「すごい……あれが、ウサギさんの実力……」


 カルセットが思わず呟く。ちょ、ガロワさん、なんで武器に手を掛けようとしてんだよ。あんた関係ない……もしかして止めに入ろうとしてるのか?

 だったら早めに頼むぜ。そろそろ……あっ!?

 怒りに任せていたクラウドバニーもようやく皆に気付いたらしい。ギャラリーがいると気付いて少し冷静になったようで、クラウドに再び飛び乗る。


「近接戦闘じゃ決着が付かない、なら、必殺の一撃を叩き込んであげるッ」


 空へと飛び上がるクラウドバニー。これはちょっとマズいかもしれない。

 念話で全員に距離を取るように告げる。

 空へと上がったクラウドバニーを見上げると、何やら棒を回しまくって上空へと竜巻を出現させていた。


 竜巻は天高く渦巻き空気を掻きまぜ周囲の雲を密集させ始める。

 うわぁ。これ嫌な予感しかしねぇや。

 雲が黒く染まって行きやがる。


 これはマズい。何がマズいって地上に居る状況だと逃げ場がない。

 そして雷属性の一撃が来る。

 だってぱりぱり言ってんだよあの集まってる雲!


「喰らえ! 集積暗雲雷電撃エレクトロン・バスター――――ッ!!」


 棒を振り下ろす動作で地上向けて雷が襲いかかる。

 空を見上げていた俺に向け、いや、この広場全てを巻き込むかのように。

 さすがに仲間たちに被害が出るような攻撃を正義の味方様がやったりはしないだろうけど、俺は回避不可能だ。

 地上だけなら……な。


 黄金の光が駆け抜ける。

 地上へ向けて、空気を裂いて。

 大地を穿ち轟音響かせ落雷する。


「っ!?」


 仕留めた。と思ったのだろうか?

 一瞬口をニタリと歪めたクラウドバニー。

 しかし、その顔が強張る。


 黄金の光を切り裂いて、青き弾丸が飛び上がる。

 地より飛翔し雷光纏い、角を光らせ大空へ。

 翼をはためかす蒼きウサギに目を見張る。


「なによ……それ?」


 クラウドバニーの必殺を一部頂戴し、今、必殺のぉ、雷・光・撃! 正式名称募集中ぅ!

 角に集まった雷撃を、クラウドバニー向けて打ち放つ。

 焦るクラウドバニー。

 慌てて雲を動かそうとするが、光の速さで近づく雷球から逃れる術は無かった。


「き、ゃあああああああああああああああああああああ!?」


 放電が起こる。

 やべぇな、これ殺っちまったかもしれん。

 クラウドが爆散し、クラウドバニーが自然落下を始める。


 変身が解け、雲浦兎月へと戻ったクラウドバニー。ガロワが即座に動き出す。

 落下して来た兎月をぎりぎりで受け止め、そっと地面に置いた。

 どうだおっちゃん、生きてるか?


「ああ、虫の息だが、な。回復魔法使える奴、悪りぃが頼む」


 ガロワの大声で皆が我に返る。必殺の応酬で呆気にとられていたようだ。

 兎月が緊急搬送されて行き、この場には俺、ガロワ、そしてアーボを抱き抱えた天音とその天音を抱きしめる美与、カルセットだけが残る。他のメンバーはガロワが散らすように城に戻してしまった。


「さて、うさ公」


 なんだねおっちゃん。


「一応聞いとく、嬢ちゃんを殺す気だったか?」


 いやぁ、殺すつもりはなかったよ。まぁ全力出さないと殺されてたから? これで死んじまっても仕方ないとは思ったが。


「そうか」


 あら、なんで斧を構えるのおっちゃん。

 ……マジかよ。連戦ってか?


「ちょっとなぁ、お前さんが悪行三昧って所が気に入らねぇ。こいつ等と一緒にさせとくのがちょっと、なぁ」


 あー、この人完全な保護者だよ。

 女の子に取りつこうとする悪い虫扱いだ俺。

 ……なら、やるしかねぇか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最近、兎さんは柔らかくなっていたから(まさか液状になるとは)ガロワを遠慮なくぶちのめして欲しいかも。
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