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うさぎさん、正義と悪2

 クラウドバニーはウサギ娘型の怪人だ。

 怪人だけど正義の味方である。

 元々は秘密結社の一つに改造を受けたいたいけな女学生だった彼女は、改造後に洗脳される前、別の正義の味方に助け出され、共に正義の味方として秘密結社を壊滅させる側になったのである。


 バニーガールな赤いハイレグスーツにウサギの手足を誇張したようなもふもふな四肢。お尻の上に生えたまぁるい尻尾。目が赤くなっていて全体的に白い毛並みが生え揃う。顔も結構ウサギよりだ。これは人間形態の美少女と相まって二度可愛い。

 人間としての耳は機能を失い、頭部に生えたウサ耳による聴覚強調。

 もふもふ足による脚力強化。

 ついでに毛深くなった手は掌部分だけ毛が生えてなくて普通に人間の掌になっている。これはウサギの手だと武器が持てないので仕方なくドクターがこんな改造にしたらしい。


 呼び出した雲に飛び乗り、武器の如意棒っぽいのを持って完全に戦闘形態だ。

 どう見てもただのウサギに対する対峙の仕方じゃない。

 こりゃ出し惜しみしたらこっちが負けるな。変身も視野に全力全開だ。


「クラウドラッシュ!」


 雲から生み出された小さな雲の群れが襲いかかって来る。

 ビットとかそんな感じだろうか? いや、真っ直ぐしか飛んで来ないからガトリングガンみたいなものだろう。誘導弾じゃなくてよかった。

 当たったらどうなるは他の怪人たちが既に証明している。

 この雲は一つ一つが雷雲なのだ。

 つまり、触れれば極悪な雷撃を受けて感電。さらに雲で視界が隠される。


 この一撃だけでどれ程の怪人が屠られたことか。

 しかもこれがクラウドバニーにとっては通常攻撃だというからやってられない。

 何度でも幾らでも使える攻撃法なのである。


 とはいえ、雷耐性はそれなりにあるから雲に当って困るのは視界が塞がれることなんだけどな。

 ほいほいっと避けながら風圧操作で直撃コースの雲を受け流して行く。

 しかし、こう遠距離が続くとこちらの攻撃ができないな。さすがにロンギヌスぶっぱする訳にも……あ、そうだ。


 アイテムを装備して思いっきり投擲。

 まさかの反撃に驚くクラウドバニーの額にすこーんっと棍棒が直撃した。

 ゴブリンからぶんどったやつがしこたま余ってたんだよ。

 折角だし在庫処分だ。出血大サービスだぜ。


「いったぁ……このっ」


 額を押さえ、怒りのクラウドバニーが雲のガトリングを増加させる。

 うわ、めんどくさいっ、避けるのが面倒臭い。でも避けちゃうっ。


「あたれぇっての!!」


 そらそらそら、当たるか当たるか、こっちは当たるけどなァ!!

 避けながら投擲、飛び跳ねながら投擲、地団太踏んで投擲。クイックターンしながら投擲、デンプシーロールしながら投擲、ジョ○ョ立ちしながら投擲、全てテクニシャンが必中に変えてくれるんだぜ。


「くぅぅ、ムカつくっ!」


 額を押さえながら涙目で雲にしがみつくクラウドバニー。その額に更なる追撃。

 手で隠した部分を的確に避けてのクリティカルヒットである。


「なんなのよその正確な投擲はッ」


 怒り狂ったクラウドバニーは遠距離戦は不利と接近して来る。

 それでも雲に乗ってるので天と地の攻撃特性は向こうに有利である。

 まぁ、それでもこっちでの戦闘に慣れてない正義の味方に負ける気はしないんだけどな。


「クタバレッ!」


 伸びる棒の一撃。

 先程までの雲に比べりゃ楽勝だ。

 避けて飛んで跳ねて、棒に飛び乗りお尻ぺんぺーん。


「ぶっ殺」


 雲から飛び上がったクラウドバニーが俺に向けてラビットキック。

 この威力が半端無いのだ。

 直撃喰らえば怪人だとしても胴に穴空いて爆散の一撃である。

 硬い装甲の虫型怪人は耐えたものの、吹っ飛んだ衝撃で爆散してしまった。

 ウサギの脚力はそれくらい脅威らしい。


「せいや!」


 気合い一撃、ウサギさんに渾身のキックが突き刺さる。

 当然、物質透過済みであります。

 地面が抉れ飛び、俺の身体をクラウドバニーが突き抜ける。

 ウサギさんはぴょいんと軽く跳ねて飛び散った大地から脱出。


 ぶっ殺した。と喜色を浮かべたクラウドバニーは全く無傷で動いた俺を見て悔しがる。

 行けるな。正義の味方相手でも充分おちょくれる。

 俺はいつの間にかかなり強い魔物になっていたようだ。

 耐久力は相変わらず紙装甲だけどな。ウサギさんは回避特化だからそれでいいのだ。


「今のを避けるの!?」


 避けるっつか無効化? 物理攻撃は効かんのよ。


「なら、これでっ!」


 お次は棒術。俺に反撃の隙を与えないようにと物凄い連撃が襲ってくる。

 ステップで回避しつつたまに物質透過。

 そして近づいて来た蹴り攻撃を避けると同時にアイテム召喚臭い腰布。


「うわっぷ!? うごげぇっ!?」


 ふっ、ゴブリンさんの洗ってない腰布はどうだい? 凄いだろう、臭いが。

 ふぁさぁっと顔面にかぶせられたせいで、慌ててはぎ取っても鼻の周囲に残ってしまう臭素。

 ウサギの嗅覚人より敏感だからなぁ、鼻を押さえて涙目になっている。


 さすがに野性動物みたいに悶え狂ったりはしないらしい。

 涙目だけど俺の動きをしっかりと観察してやがる。

 今の一撃で懐に潜り込んでテクニシャンで脇こしょしてやろうかと思ったのにな。鼻水噴出モノの大笑い確定だぜ? くっくっく。皆の目の前で痴態を見せてくれるわ。


 って、なんでお前らここに来てんの!? つか助けろよ!?

 いつの間にか中庭に来て戦闘を見ていたガロワたち御一行に気付いた俺は、思わずツッコミ入れるのだった。しまった、ウサギ語だから伝わってねェ!?

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