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カルセット、男子会1

 天音たちが女子会を開いていた頃、コロアギルド会議室に残っていた男性達もまた、寄り集まって会議を開いていた。

 進行役はガロワだ。

 高ランク冒険者であり、人と話すことにも慣れているので誰ともなしに彼が率先して話し始めたのでそのまま進行役を任されたようだ。


 参加するのはヘンドリック、ジョージ、孝明、ガドウィン、ダグラス、ブライアン、シュリック、カルセット、ガロワだ。

 若干、男ではなくオスが混じっているが、そこは男で問題は無いだろう。


「さて、男子だけになりましたし、落ち付いたところで今後どうするかを決めましょう」


「目的地だったコロアには着いたし、クライスラーたちは既に帰還準備だ。俺らはアテネポリスに戻る必要はねぇし、何処行くかっつー話だな」


「ふむ。僕らも合流した訳だし、大人数になってるみたいだしね」


「シュリックさんは別に行動共にしなくてもいいんですよ?」


「つれないじゃないかカルセット。僕と君等の仲じゃないか」


「ちょ、いきなり近づいて来てアゴクイとか止めてください。僕女の子じゃないんで!」


「おっと失礼。男だったね」


 そのまま放置していたらキスして来そうな気がしたので慌てて振り払うカルセット。

 なんで僕ばっかり男なのに襲われそうになるんだ。と人知れず憤慨するのだった。


 ―― しばらくここにいるのではないのか? ――


「その点についても話し合うつもりだ。女性陣の意見もあるだろうが、先に男達だけである程度決めておいて尋ねた方がよかろう」


「向こうに明確な目的がなければこちら優先、だろうしね」


「あー、でも、ウサギさん次第だと思うよ」


 折角なのでカルセットも意見を告げる。


「磁石寺デースか?」


「たぶんだけど、守護者巡するみたいだし、女性陣は殆どそれについてくんじゃないかな」


 ―― しばらくはコロアに滞在ということだな。ならば我等はそろそろ森に帰るぞ。あまり留守にし過ぎるのも良くないのでな ――


 話に付き合う意味は無い、とダグラスがブライアンに抱えられて去っていく。

 カメのために鈍いのだが、六手熊であるブライアンが運べば最高時速は80kmくらいだ。

 近場の森なら直ぐに帰りつくだろう。


「まぁ、いいか。んで、あのウサギ、磁石寺だったか? 知り合い、でいいのかヘンドリック」


 頭を掻きながら尋ねるガロワ。

 魔物に転生した勇者という状況に困惑気味のようだ。


「それ、俺も思ったんだけど、あいつって確か一度会ったよな? あの空飛ぶ女の頭に乗ってたの、あのウサギだろ。うさしゃんってさ」


「……あぁ! あのウサギか! え? じゃあ僕らは既に磁石寺君に会ってたってことか」


「Oh。それならあのウサギ、オークゴブリン共同討伐の時天音さん助けたっていうウサギじゃないか」


 そしてヘンドリックは辿りつく。


「そうか、咲耶を助けたのはあいつが磁石寺だったからか」


「ヘンリー、どういうことだい?」


「元クラスメイトだ。先生が死に掛けていたのを不憫に思ってくれたんじゃないかって思ってさ」


「でもさヘンドリック、あいつ確か交渉したんだよな。ライゼンさんに自分たちを追わないようにするために先生のこと利用したんだぜ?」


 結果的には助かったが、考え方によっては磁石寺の行動が180度変わって見える。

 感謝すればいいのか、利己的な事のために死にかけていた先生を利用したのか。


「どの道助けてくれたことには感謝した方が良いな」


 とはいえ、実際は感謝されるべきではなく抹殺すべき存在なのだが、決定打を知らないヘンドリックはウサギに感謝するつもりらしい。NTRされているとは露とも思っていないようである。


「ところでカルセットとシュリックだっけ? あんたらは結局なんなんだ? ウサギとの関係も良く分かってないし」


 自己紹介自体が無かったからだ。


「えーっと、シュリックさんはミリキアでなんか付いて来たBランク冒険者です」


「なんかとはなんだい。僕は君たちが心配だから仕方なく、そう、仕方なく着いて来てあげたのさ。魔物退治などはBランク冒険者に任せたまえ」


 実際にはトレイン行為してきただけで大して役にはたっていない。

 それが事実だったのだが、カルセットはこれをあえて声に出さないであげることにした。

 シュリックに話を振ってもキザに返されてなんかイラッと来るだけだからである。


「そう言えばウサギは何処行った?」


「せっかくだから今のうちに連絡取っとくって、アーボ連れて中庭辺りを探索するようだ」


「城がめずらしいんだろ。なんか、ただのウサギじゃないってのはわかるんだけど、ウサギと会話できるってすごいよな。」


「福田は磁石寺云々はどうでもいいらしいですネ」


「そりゃ、ジョージだってどうでもいいだろ? 男が転生してようがして無かろうがどうでもいい訳だし」


 福田の正論に思わず頷くジョージ、男同士の認識などこんなものなのであった。

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