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うさぎさん、連絡を取る

 ギルド員のお兄さんに案内されたのは、水晶玉が一つだけ存在する部屋だった。

 ここで適当な場所に連絡できるらしい。

 念話の類似品かね?


 しっかし、たった一つ水晶玉が置かれただけの個室って、なんだろう、この個室、何かに似て……公衆電話だっ! 電話ボックスだよ!

 周囲が見えないけど広さ的にもそんな感じだ。

 説明書見たいのが置いてある棚はタウンなページが置かれた台座だ。その上に電話が置かれる代わりに水晶玉が座布団っぽいのに設置されている。


 結構デカイな。占いバ……げふんげふん。おばあさんが乗れるくらいのでっかい水晶玉だ。壁ぎりぎりに収まってるせいでなんとも圧迫感が酷い。奥行きはあるけど水晶のせいで人一人分しか使えないんだ。

 それだけ価値もあるので選ばれてギルドに信用された存在しかこの部屋に入ることはできないそうだ。

 つまり、勇者はそれなりに信用のある存在ってことか。

 勇者だってヤバい奴結構居るんだけどなぁ?


 相田とか相田とか相田とか。

 ああ、坂上も襲撃してたんだっけ、ギルドの総本山を。馬鹿だな。

 で、どうやって使うのこれ?


「向こうでも連絡付いたらしいから同じように個室で待機してる筈なんだけど……」


 どれどれ、説明書を開く天音の横から説明書を覗き込む。

 アーボ、わざわざお前も真似しなくていいんだよ?

 えーっと、見た感じこの水晶に魔力を流して目的のギルド名を思い浮かべればいいらしい。


 魔力ねぇ、あ、結構少量で済むみたいだ。

 んじゃ俺がやってやろう。

 魔力を流すとぼやぁっと水晶玉に人影が映る。


「ふぇぇ、こんな風に映るんだ」


 徐々に鮮明になって来る画像。

 おお、お懐かしい。


『ギルドに来たら丁度良いところにってここに通されたけど、えっと、誰……あ、夜霧さん!?』


 向こうもこちらの画像が鮮明になって来たようで、容姿を見て驚く。

 その人物は、件の高藤桃瀬だった。

 おおお、お変わりなく可愛いっ。


『私達に連絡取りたいってことだったけど、どうしたの?』


「うん、その、驚かないでね」


 そう言って、天音は頭の上に乗った俺を両手で掴み、水晶の前に見せつける。


「はい、お探しの磁石寺君見付けたよ」


『……へ?』


 どうも、ウサギに転生した磁石寺啓太っす。


『嘘、磁石寺君っ!? うわ、声聞こえた。なんでっ!?』


 姿を認識できたせいで念話も届いたようだ。


「今、ミリキアって国にいるの。高藤さんたちは?」


『え? あ、コーライ村だよ。ロスタリス王国の』


 あそこかぁ、なんとも運命的と言うか、あの村はどんだけ逃げても俺について回るなぁ。


『なんか、運命的だなぁ』


「高藤さん?」


『丁度磁石寺君の話してたの、ライゼンさんと』


 ぐほぅっ!?


『おお、本当に居るではないかうさしゃん』


 どうやら部屋の外に居たらしい。ライゼンじいちゃんが桃瀬の背後から水晶を覗いて来る。

 ぎゃあぁぁぁぁ!? これはもうリアたち襲ったのが桃瀬にバレてる!?


『聞いたよ啓太君。転生したからって異世界でいろんな女の子襲ってるんだって』


 ひぃっ!? ち、違うんです。これはウサギの生物的なアレであってほら、発情が毎日続いちゃうから嫌でも襲っちゃうって言うか、神が全て悪いっていうか……すんませんっした。

 天音の頭の上で土下座するウサギ。

 奇妙な物を見たライゼンと桃瀬がぽかんとした顔をしていた。


『ディアリオ君から何か危険があった場所に送ったと聞いたが、済んだのかの?』


 ああ、アレはウチのクラスの相田がトロール化して女の子襲ってたのと、桜坂が欲望のままに天音襲いかけてたから助けたんだよ。


『ふむ。そう言えば、天音君はゴブリンに襲われたとか言っていたな。それにしてはその後からウサギ好きになっていたかと……うさしゃんよ、襲ったな』


 ぎっくぅ!? あ、ちょ、天音、顔を赤らめて恥ずかしそうにすんなっ、桃瀬にバレるだろ!?



『大丈夫だよ啓太君。もう……知ってるから』


 ゾックゥ!? 何その笑顔。どす黒いオーラが見えてるんですが!?


『ライゼンさんのお孫さん、襲ったんだって?』


 ひぃぃ、ばれてーらっ!?

 どうしよう、どうしよう天音っ!? 


『帰ってきたらお説教だからね、必ず会いに行くから待っ・て・て・ね・啓太君』


「帰ってきたら? どこか行くの?」


『うん、ロスタリスでね、今大変なことが起こってるの。王女の影武者のメイドさんが魔族に攫われて、田代君が助けるために王城に行ったら王国に掴まって、今助けて来たから私達もロスタリス王国には居られないの。このまま魔族領に向かってメイドさん助けて来るよ』


『悔しいがうさしゃん。お前さんとは一時休戦じゃ。魔族の強さは儂もよく分かっておるでな。しばし手伝うことにした』


 マジか!? 素直に喜べないけど爺ちゃんに追われなくなるのか。

 これはコロアだったかに腰据えてゆったり出来そうだな。今のうちに魔王城並に堅牢な巣穴を見付けないとな。出来れば一緒に移動できるとじいちゃんから逃げやすい……移動要塞。天空の城か! いかん、脳内で大佐が笑ってる姿しか思い浮かばない。目が、目がぁってなりそうだ。死亡フラグじゃん!?

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