うさぎさん、VSトロール
暴れるトロール、というか相田。
なんかもうトロールと区別するためにアイダトロールとでも呼ぶべきか。
長いな、なんかこうしっくりくる名前ないもんか。
まあいいか、とりあえず相田と呼んでおこう。
いや、もう、顔がおっさんだしおっさん呼びでもいい気がするな。
怒り狂っているせいで、力は強いし、かなり速いが単調になってるから楽に避けれる。
体格差による面の攻撃などは瞬間移動で回避するしかないが、これは良い戦闘訓練になるな。
じいちゃんを想定して少し遊んでやろう。
ほれ、こっちだ相田。
ほーれ、ほーれ。
お尻ぺんぺーん。
木の上に飛び退いた俺は尻を向けてぺしぺしっと叩いて挑発。
普通に人間状態でも激昂する行為をされて、青いおっさんが猛り狂う。
木に拳を打ちつけ、木を破壊。
倒れる木からとぅっと飛び上がり、迫り来る拳を瞬間移動。
背後に出現すると同時に蹴り付ける。
後頭部に一撃喰らったおっさんがげへぇっと呻く。
さらに怒り狂ってバーサーカーモード発動である。
蝶のように避け、蜂のように刺す。
そらそらー、でんぷしーでんぷしー、たまーにシェーざーんす。
ひらーりひらーりひらー○マントっと、マント持ってないからゴブリンの腰布使ったけど滅茶苦茶くっせぇ。
やるわこれ。
「げへぇ!?」
鼻面に投げつけてやるとなんか悶え苦しみだした。
ゴブリンの腰布すげぇ、トロールすらも悶絶してるし。
やっぱあいつら不衛生すぎるわ。
さすがにトロールもぶち切れモード。
しかし動きが荒過ぎるので避けるのが楽。
ゆえにさらにおちょくってしまう。
憤怒越えておちょくられたらどうなんだろうな?
血反吐吐いて憤死するとか?
でもトロールだから自己再生しちゃうとか?
あ。違った。
動き疲れて肩で息してやがる。
トロールの癖にウサギより体力ないとか終わってんな。
って、おい、なんでそっち見た?
そっちに居るのはエペだぞ、俺じゃないぞ?
あ、こら、走るなっ!?
げへへとおっさんがエロい顔したような声をだして走り出す。
向う先はエペ。ウサギさんを放置して得物を奪取して逃げるつもりか?
俺がエペを守ってたことに気付きやがったらしい。
相田の癖に、いや、ちょっと不良入ってた相田だからこそ、か。
戦場の感、みたいなものを感じ取ったらしい。
面倒な奴だよ本当に。
エペは、最初こそ驚き震えていたが、瞳がすぐさま決意に満ちる。
絶対に負けないという気概と共に立ち上がると、トロールを睨みつける。
逃げられるほどじゃないけどなんとかしたいという思いがそうさせたらしい。
でも、決意だけじゃダメなんだぜ?
と、言う訳で、アクセラレート、疾風怒涛、股潜り!
背後向いてて無防備なトロールを追いぬく勢いで走りだす。
ほいやトップスピード! 誰も俺の前を、走らせねぇぜ! なんつって。
トロールの股を潜り抜けエペに抱きつく。
唐突にトロールの股からやってきた俺に驚いたエペがひゃぁ!? と飛び上がる。
胸に抱きついたのはワザとだ。後悔はしてない。
「う、ウサギさん? 逃げないと……って、あれ?」
焦るエペ。でも大丈夫、すでに奴は死んでいる。
相田。お前の敗因は股潜りを知らなかったことだ。
まぁ、普通持ってないからなこんなスキル。
出直してきな、べいべー。
「え? え? か、勝っちゃった……?」
驚き呆然としながら俺の両脇抱えて引っぺがすと、顔の前へと持って来る。
「ウサギさん。本当に、あのウサギさんっ、助けに、来てくれたの? でも、なんで?」
ディアリオさんが緊急の助けを聞いたから、だな。
―― ウサギよ、お前と一緒に居たいという奴らが居たのでそっちに……おっと、また緊急救難信号発生だ ――
はい?
―― 仕方ない、他のメンバーもそちらに送っておこう。それじゃあ、挨拶だけしておきたまえこっちもそのくらいの時間は持ちそうだ ――
マジで?
呆然とする俺を抱き締め直し、涙を流して喜ぶエペ。
なんかすまん、俺これから移動しないと。
―― あー、っと、エペさんや。他にも緊急救難来てるんでそっち行かなきゃならんのだわ ――
「ふぇ!? あ、これ、ウサギ……さん?」
喋れることに気付いたエペが驚く。
「にゃーつ!」
「エペ!」
血だらけのにゃーつとランツェ君がやってきた。
むしろ戻ってきた?
トロールにやられたようで頭から血が出ている。
にゃーつなんてもう死にかけだ。ほれ、薬草をあげよう。
キャベツ猫が薬草を食べている……シュール。
「良かった、無事だったのね!」
「ああ、エペは!? なんか物凄い速度で何かが突っ込んで来たんだけど大丈夫だ……ああっ、ウサギっ!」
こいつ、トロールに襲われたこと気付いてなかったのか!? どんな不意打ち喰らったんだよ。




