うさぎさん、ランクアップ試験を受ける1
「とはいえ、倒した敵の中にコフィンオロチや邪神の勇者等がございますのでランクアップは可能です。Dランクへの昇格試験が受けられますが、いかがいたしますか?」
いきなり昇格試験か。でもソレを受ければDランクになってしばらく依頼受けなくても問題ない訳だ。
「それで、試験内容はなんですか?」
「あ、はい。えーっと、私達が用意したDランクパーティーとの試合か、指定素材の採取ですね」
手短に終わらせたいし、試合でいいかな。
―― じゃあ試合で ――
「はい。……え? 今の、誰?」
普通に手続きをしようとして、はっと顔を上げる受付嬢。
やっぱ俺が話しかけたとは気付かなかったようだ。
「どうしたの? 手続きは?」
「あ。は、はい。それで、パーティーメンバーは誰ですか?」
―― 俺だけで充分だ ――
「個人でですか、余程自信がないとパーティー戦は……あれ?」
思わず俺を見る。とりあえずよっすと手を上げてみた。
俺だよ俺。気付いてないようだが俺なんだって。
―― 意思疎通は出来るぞ ――
「え? え? う、ウサギの声……えええええっ!?」
思わず大声上げた受付嬢に、すわ、何事? とばかりに一斉に立ち上がる冒険者達。
何でもないから反応しないで。
「あ、し、失礼しました。皆さん何でもありませんので気にしないでください。あとDランクパーティーの方、昇格試験の相手を募集しますので受けてもいいパーティーの方お願いします。依頼内容は少しお時間頂きますがそちらに張らせていただきます」
「え、えーと、ですね、Dランクに上がる際、パーティーの皆さまのステータスを確認させていただくのですが、問題ありませんか」
―― え? マジで!? ちょっとヤバいかも ――
「え? ダメって、犯罪でも……?」
―― いや、犯罪というか、なんか凄いことなってそうで最近見てないんですが、大丈夫かな? 犯罪になるモノがあるのかどうか不安だぞ、俺野性児だし ――
「あ、そう、ですね。魔物ですしね。でも、大丈夫です。犯罪を犯したかどうかは神々が判別するものですので、カード確認の際赤く光っておりませんでしたし、問題は無いでしょう。ではギルド長が対応しますのでそちらのドアからギルド内部へと入っていただき、待合所の椅子に腰かけお待ちください」
「あの、わたくしたちもご一緒でよろしいかしら?」
「え? でも、個人情報が……」
―― 俺は構わんよ。妻だし ――
「妻っ!? っと、し、失礼しました。ステータスの詳細はギルド長しか知りえませんのでご安心ください。ギルド長は個人情報を保護致しますので誓約書をよく読んでサインしていただくことになります。ご了承くださいませ」
受付嬢に諸注意を受けた俺たちは三人揃ってカウンター横にあるドアを潜る。
関係者以外立ち入り禁止のドアの先には待合所が存在していて、ソファが四つ程置かれていた。
俺達は三人だけなので一つのソファにユーリンデとチェルロが座り、俺はユーリンデに抱きしめられた状態で待つ。
チェルロがいいなぁといった顔で見ていたので途中からチェルロに抱かれることにした。
ふっ、この二人は俺のマシュマロボディに首ったけだぜ。あ、これ死語か。
しばらく待っていると、名前が呼ばれたのでチェルロからユーリンデに手渡された俺はユーリンデ達と共に一つの部屋へと入る。
この部屋はステータス確認特有の部屋らしく、防音、防魔術の特殊な部屋らしい。
ランクアップ者が本来はギルド長と二人きりで会うのだとか。
俺達が入って来た場所とは違う場所から二人のおっさんが部屋に入って来る。
あれ? ギルド長だけじゃないのか?
「やぁ初めましてかな。私がレッセン王国支部ギルド長のタウロだ」
「私はAランクハンターのカイエン。ギルド付きのハンターだ」
「ギルド付き?」
まずはタウロが対面のソファに座り自己紹介。
机を挟んだ俺とタウロの間にカイエンさんが立つ。
「ようするに護衛だよ。私も一応ギルドを預かる長だからね。Dランク昇格の確認とはいえ、犯罪者などが混じっている場合があってね、私を殺そうとする者もいるんだ。各ギルドにも年間契約などで腕きき冒険者を雇っているんだよ。Dランク以上はどこかのギルドでステータスを確認して安全だと思う者だけが成れるからね」
「まぁ、そうでしたの。でも、随分早くに確認しますのね。Bランクとかからでも良いのでは?」
「前はね、それでよかったんだけど、随分前にBランク昇格試験を受けるためにこうして個室に入った瞬間、ギルド長を殺す事件があってね。実力もBランク相当だから大変だったらしい。そこからDランク以上に上がる際必ず確認することになってね。少しでも危険な気がある人物はその場でギルド証剥奪することもあるんだ。そうなると暴れるだろう? でもDランク試験前の実力者相手ならAランク以上の護衛がいれば直ぐに鎮圧出来るんだよ」
成る程、確認の際に低ランクの実力がない奴なら殺しに掛かられても逃げ切れるし鎮圧出来るからなるべくランクが低いうちに相手の人となりを確認することにしてるのか。
でも、それもそれで危険はあるよな?
「まぁ、気安めだがね。ギルド本部で決まったことだから私は決まりに従うだけさ」
中間管理職の辛いところだな。
そう言えば俺もインセクトワールド社居た頃中間管理の怪人たちが今の職業誰か代わってくんないかなとかぼやいてたな。ストレスで禿げ散らかしたんだ。とか言ってたけどあいつタコの怪人だったから最初から禿げてたんだよ。
あ、これどうでもいい話だな。




