うさぎさん、ぱくんちょされる
名前:
種族:植物・即死草 ♂♀
Lv:1
HP:10/10
MP:0/0
TP:0/0
状態:通常
スキル:
常時回復 /自身のHPを1回復する。
種族スキル:
即死 /食べられると食した生物のHPを0にする。
光合成(Lv2) /光を取り込み二酸化炭素から酸素を作り出す能力。
雑草魂(Lv4) /どんな堅い地面からでも生える生命力。ちぎられて根から離されても4日は自身の鮮度を保つ。
ぶふぅっ!? 食べた瞬間コロリかよ!?
でも、数枚頂き。アイテムボックスに入れておこう。
いつか役立ちそうだし、とりあえず20個くらい?
ぷちぷちと草を摘んでいると、興味を覚えたらしいにっちゃうが二匹寄って来た。
何してるの? みたいな円らな瞳で左右に揺れる。
もっふもふだ。癒され具合がハンパない。
このにっちゃうという魔物。雪達磨体型で、ウサギみたいな丸い尻尾とウサ耳を持つ白い毛玉である。
排泄器官も口も無く、ウサ耳の耳穴も空いていないという不思議生物。
円らな瞳を持つウサ達磨は、いろんな魔物を見てきた俺が言うのもアレだけど、最弱な魔物だ。
両手両足が無いので飛び跳ねるしか出来ないし、ぷにぽよんな身体と攻撃力の無さからダメージすら喰らわない。
グリーンマンティスにすら狩られる雑魚さなのだから泣けてくる。兎じゃ無くこいつ等に転生しなかっただけ俺はまだツイてるのかもしれない。
なんだいボウズども。こいつはただの草摘みさ。
興味本位で近づいちゃ怪我するぜ?
あ、おいコラ。近づきす……ぷぎゃーっ!?
「にっ」
「にっ」
近づいて来た二匹は突然俺に体当たりしてきた。
ぷにんっ。ぽよんっ。
いや、普通に柔らか感触でダメージないんだけどさ、なにこれ? 体当たりされてるの? それとも求愛かなにかされてるの?
二匹の攻撃は止まらない。というか、これ、攻撃? それとも構って攻撃?
俺は思わず周囲を見る。
どの動物たちもこっちに視線すら向けてない。
おい、誰か助けてくれ。何かよくわからんが親父狩りみたいに兎達磨に集られてるんですっ。
ぷにんっ。ぽよんっ。
ぷにんっ。ぽよんっ。
ぷにんっ。ぽよんっ。
ぷにんっ。ぽよんっ。
あの、何なの一体?
あれか、ウオ○チューやってんのかお前ら?
ええい、邪魔じゃー!
しかし下手に攻撃すると死ぬからなこいつ等。
名前:
種族:にっちゃう -
Lv:1
HP:10/10
MP:10/10
TP:10/10
状態:普通 ∞s
スキル:
飛び跳ねる /ただ飛び跳ねたいあなたのためのスキル。追加効果なし。
体当たり /自身自らを使い敵にダメージを与える技。スキル後硬直あり。
種族スキル:
ぷにぽよん /ぷにんと柔らかくぽよんとした抱き心地。人肌温度で冬もあったか。
これはやっべぇわ。
マジ死ぬわ。一撃死案件ですわ。
下手に振り払えない。ダメージないから別にいいんだけど、正直ウザいです。
ぷにんっ。ぽよんっ。
ぷにんっ。ぽよんっ。
ぷにんっ。ぽよんっ。
ぷにんっ。ぽよんっ。
ええい、やめろ。やめてくれっ。
堪らず俺は湖へと飛び込んだ。弧を描いたそれはもう綺麗な着水である。
ふっ、水泳を覚えた俺は湖でも普通に移動できるんだぜ。見ろ、この華麗な泳ぎを!!
兎だけどクロールしちゃうぜ。見るがいいヒヨッコども。貴様等には出来ない水の中を移動出来る兎さんだぜ!
後ろを見れば、にっちゃう共が畔で飛び跳ねていらっしゃる。ふっ、勝った!
何やら焦った顔で飛び跳ねているが何がしたいのか全く分からんな。
ふはははは、お前達の猛攻など俺には効かんのだ、強くなってからアタックして来なヒヨコど……も?
兎さんは気付かなかった。
なぜにっちゃうたちが飛び跳ねているのかを、もしも、何か違和感を覚え、危険を知らせてくれていると気付いたならば、その悲劇も回避できたかもしれない。
しかしそれは叶わなかった。そして、危機察知君も居眠りしてしまっていたらしい。
そいつは湖の対岸にやってくると、大きな口を開いて水を飲み始めた。
後を向いて泳ぎ来る哀れな兎さん、気付くことなく一気に水を吸い込むソイツ。
そして二人の距離が近づく。悲劇は、起こるべくして起こった。
ぱくんちょ
あれ? 急に暗くなった?
どうなった? え? あれ?
何が起こった? どうなってんの?
と、とりあえず、光、えっと、ステータス表示!
ダイアログボックスが出現し、俺のステータスを見せてくれる。
白線が見えるっちゃ見えるんだけど、流石に周囲を照らす程の光じゃ……待て。
こ、これはまさかっ!?




