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ウサギさん、と第三王女

 もんもんとしてます。

 理由はウサ耳が高性能過ぎて昨日の声を拾い過ぎたせいであります。

 ピスカさんが恋しいです。俺の元へ戻って来てください。


 本日、セレスティ―アからイリアーネへと引き継がれるウサギさん。

 イリアーネは邪魔になるので、と頭の上に俺を乗せる。

 肩に乗せるのが邪魔なのだそうだ。


 うぅ、やべぇ、昨日のせいで俺の状態が発情から欲情になっていた。

 さすがにちょっとヤバい気がする。

 イリアーネさん襲っちゃっていいんだろうか?

 さすがにソレはヤバいよね?


 イリアーネは自室に戻ると騎士団に寄せられた書類の整理を始める。

 その間俺は床に放置状態である。

 しばし暇しながら待つこと数時間。書類整理を終えた彼女はいくつかの書類を持って立ち上がる。

 行きますよ。と言われたので彼女の頭の上に移動した。


 やって来たのは騎士団が練習中の練習場。

 司令官に書類を渡し、全員を呼び集める。

 あ、リードリヒが居る。


「そういやぁ、今日がイリアーネか。またウサギが来たから驚いたぞ」


「それよりも兄上、申し訳ありませんが今回の討伐依頼、貴方も出てください」


「あ?」


「ゴロツキの討伐依頼ですが、ラドウィンの息がかかった存在が背後にいるようです。王族を持ちだして来る可能性がありますので貴方の威光で駆逐してください。手加減は不要です」


「またラドウィンか。アイツ本当にどうしようもないな」


「まぁ、ラドウィンですから。では詳しい話は指令官とお願いします」


 と、再び歩きだすイリアーネ。何処に行くかと言えば、門番している人たちに指令官に渡した書類内容の中で必要になる情報を伝えに来たようだ。

 それが終わると一度部屋に戻って武装を整える。

 街に繰り出すと貴族街のパトロールを始めた。


 お昼になったので戻るかと思えば、適当な店に入って外食するようだ。

 獣不可だったようで俺だけ外に放り出される。

 おい、せめて首輪で繋ぐとかないと野生生物野放しはヤバいだろ。

 仕方ないのでその場で招きウサギと化しておく。


 うーんお腹減った。

 薬草食べとこ。……あ、これ麻痺付きだ……まぁ耐性持ってるから問題な……

 俺は麻痺状態になった。耐性はあくまで耐性があるってだけだ。掛からないとは誰も言ってない。

 招き猫をまねる姿で麻痺した俺は、それから一時間程震えながらイリアーネを待つのであった。

 どんだけ食べたんだこいつ。食べ過ぎだろ!? 30分も掛からないだろ普通なら。


 戻ってきたイリアーネは俺を一瞥して何してるんですか? と怪訝な顔を浮かべていた。

 正直に麻痺した事を告げると馬鹿ですか? と呆れた顔で俺を持ち上げ、両手で抱きしめるようにして歩きだす。

 麻痺が解けるまでです。と告げられしばし抱きしめられる。


 うーん、顔が真顔のままだからもふもふの虜になってるように見えないなぁ。

 数分歩いた後、麻痺が解けたので頭の上に向かう。

 食事を終えた後は平民街へ。さらに三時頃には貧民街へと向かい警邏業務を行うイリアーネだった。


 戻ってくると夕方まで兵士に混じって訓練を行い、夕食を王族で終えると風呂の時間まで個人訓練を庭で行う。

 風呂に入った後は自室に戻って書類整理。

 かなり深夜まで書類と格闘していたので俺の方が先に眠ってしまった。

 起きる時はほぼ同時、寝る時間少な過ぎだろ、と思ったのだが、彼女にとってはいつも通りの日常だそうで、気にせず俺を頭に乗せて謁見の間へと向かう。


 次の王族に引き渡すためである。

 ただし、次の第四王子は今カルカトという街に遠征中。

 なのでラドウィンは放置して第五王子であるカルセットに受け渡されるのである。

 うん、ちょっとヤバいかも。そろそろ雌が必要です。欲情状態から狂乱入ったらもうヤバいよ。

 時間的にも今日の夜から明日に掛けて、仕方ない第四王女ペルセアちゃんを頂こう。

 いいよね? 仕方ないよね?

 あと一日の辛抱だ。頑張れ、俺!


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 ウサギを一日預かった日の翌日。

 イリアーネはいつものように日課を終えて部屋へと戻ってくる。

 本来はこの後いつもの書類整理を行うのであるが、彼女はベッドにぼふっと飛び込むと、枕を抱きしめごろんごろんと動きまわる。


「あのウサギ、抱きしめ感凄過ぎなのよっ、何あの柔らか触感。毛並み柔らかいしふわっふわだし陽だまりの匂いするしぃっ。あああもっと抱きしめとけばよかったぁっ」


 周囲に自分の弱みを見せたくない。

 だから必死にいつも通りに過ごしたのだ。

 ウサギも父からのスパイである可能性が高い以上自分の弱みを見せる訳には行かなかった。だから抱きしめた時も顔がニヤけそうになるのを必死に偽装していたのである。


 それから一時間程悶えたイリアーネは、その日書類整理を一時間遅れて終わらせ、いつもより一時間遅い就寝に就くのだった。

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