ウサギさん、と第一王女
第一王子ガッパイの夜は妻と息子と川の時で寝るというまさに夫婦の見本を見せつけられる家族であった。
ちくしょう、めっちゃほっこりしてしまった。
女性を襲うとか考えにすら及ばなかったよ。というか、この人が王になったらいいんじゃね? って思っちゃったんだよなぁ。
さて、それはとにかく置いといて、本日は第一王女リベラローズさんである。
32歳だっけ? 本人も結構焦っているらしく、そのせいで余計周囲への当たりが強くなっているらしい。
御蔭でメイドさんや執事さん、リベラローズ付きの人々の顔が軒並み暗くて怯えを孕んでいる。
朝の謁見でガッパイからリベラローズに渡されたウサギさん。
リベラローズとしても俺の抱き心地は良いらしく、上機嫌で俺を抱きしめ謁見の間を後にする。
自室へと戻ってくると、メイドを呼び出し服を着かえる。
どうやらこの後誰かと会うらしい。
俺は一度メイドさんの一人に手渡される。
むほほ、今までがおっさんだらけだっただけにこれはこれでありだな。
リベラローズのヒステリックな怒声が何度も飛んでるけど。
なんでできないのっ!?
とか言われてもどうしてほしいとか言わないからメイドさん達は平謝りするしかできない。
しかも少しのミスであんたダメね。とか言われて執事にコレ別のに変えなさい。
とかメイドさんを物扱いである。
これは何人も何人も変えさせられてるなぁ。
ふーむ。何かいい案あるかいなーっと。
それからしばらく、衣装とメイクを整えたリベラローズは別室へと向かう。
どうやら外から来た商人などと会談するための部屋らしい。
既に来ていた恰幅の良すぎるおじさんが、リベラローズが来た瞬間からモミ手をし始めた。
「やあやあ本日もお綺麗であらせられますなリベラローズ様」
「あらありがとう。貴方はいつも太いわね。そろそろ痩せなさいな見苦しい」
「はっは、これは手厳しいですな。しかしながら恰幅の良さは商人としての格でありますでな。信用を得る上でも太っていた方が都合がよいのですよ。それよりも、本日もリベラローズ様のお眼鏡に適う物をお持ちいたしました」
「ふふ、本当にいいモノがあるのかしらね」
そこから商談が始まる。
主に紹介されるのはドレス。
どれも煌びやかだけど、使われてる宝石類はそこまで金が掛かってないようだ。
というかイミテーションが結構ある。
うん、こりゃ価値の分からないリベラローズをいいカモとして使ってるなぁ。
バレたら王族侮辱罪とかで死刑じゃねぇかこの商人?
しかも高額吹っかけてるし。そりゃ国庫圧迫されるわな。
しかもリベラローズは商談する訳も無くじゃあ買うわ。っと言い値で買っている。
そこは少しくらい交渉して値下げするべきだろ。
チョロい相手だ。とか思ってるんだろうなぁ。商人さん、多少我儘言われたところで儲かる相手だからってことで笑顔にモミ手を止める気は無いらしい。
リベラローズは全く気づくことなくお金を払って紛い品のドレスを買い取る。
うん、こりゃダメだわ。王様に報告。ついでにふふふ、いい方法考えたーっと。
商人との会談が終わると、昼食までは衣装合わせ。
正直メイドさん達のゲンナリ具合がよく分かる。
可哀想だけどもうちょっとの辛抱だからね。
しかし、凄い我がままだな。この年でこれは致命的だろ。
嫁の貰い手がないのも分かるってものである。
下手に功績上げたら嫁にくるかもしれないから手柄のたらい回しも起こっているらしい。
本来手柄ってのは皆が欲しがるものなのにな。罰ゲーム扱いとか……
昼食が終わるとお茶会が開かれる。
何人かの女性がやって来てリベラローズの用意した茶会の席に座りだす。
なんだかんだで来る人は多いのな。
とはいえ皆リベラローズを蔑んだ目で見ていらっしゃるが。
王女だからっていう理由で仕方なく来ている人が多いようだ。
結構厚化粧の人が多く、俺としてはちょっと遠慮したいおばさまたちのお茶会。
どうにも同年代同士らしいので彼女達の殆どがおばさんだ。しかも何人かは子供のいるお母様たちである。
そのため未だに一人身のリベラローズを影で嘲笑っているようだ。
可哀想ではあるが性格がアレだしな。
むしろ同じ穴の狢同士か。女って怖い。
散々リベラローズを褒め称えた夫人たちは蔭でボロクソなことを言いながらリベラローズを小馬鹿にしている。
まぁ、結婚して子供が生まれてるから未だ一人身のリベラローズを下に見てるのは仕方無いっちゃ仕方無いのか。
こいつらにとっちゃ自分たちより格下に見えてるんだろうし。
こういう世界だと王族といえども蔑んでしまうんだろう。
結論から言えば、リベラローズは孤独な我儘娘ということが分かった。
これを何とかするには、まぁ性格矯正するしかないだろうな。




