ウサギさん、王族を知る2
第二王子はリードリヒ。肉食系の筋肉質な男だ。野性味溢れる野心感が滲みでた男である。
第三王子はビル。イケメン白馬の王子というのが似合う男だ。
ただ、顔が良すぎるせいで高慢な感じがひしひし伝わってくる。
ビルとリードリヒは年が近く、大体30代前後だろうか。ビルは若作り過ぎて10代だと言われてもしっくりきてしまう。イケメン爆死しろ。
第四王子はラドウィン。残念ながら本日はカルカトという離れ島にある街に向かっているらしいのでここには居ない。
一応、俺が見た感じだとリードリヒよりは一回り小さいくらいの筋肉質な男だったと思う。角刈りで嫌味そうな顔をしていたのが印象に残っている。
弟を暗殺しようとしてるんだし、性格はかなりアウトだろう。
第五王子はカルセット。
母親に似たらしくとても綺麗な顔をしている男である。
体つきもなよっとしている撫で肩なので余計女性に見えるのだ。多分女性ものの服を着ていれば俺は間違えて襲っていただろう。それくらい女顔なのである。
なんでツイいてんだよぉ、王女として生まれてりゃよかったのによぉ。
王女も四人となかなか子沢山である。
第一王女はリベラローズ。今年32歳のおばさまなのだが未だに夫はいないらしい。
それというのも第一王女ということで父親に愛情貰い過ぎて我儘になってしまい、拗らせたせいで嫁の貰い手がないのである。
皆恐れ多いとか言って辞退してしまうのだ。
逆にそれを見ていたせいか第二王女のセレスティ―アはその容姿に見合う程のドエロ娘に育ってしまった。
女性の武器を存分に使い、そこいらじゅうの男性を食い散らかしているらしい。
胸はデカいし、動きが扇情的なのでカルセットに説明されなくてもなんとなく性格が理解出来る女である。
そのせいで次期王となる王子たちは彼女の顔色を伺いながら王位を争っているらしい。
何しろ彼女に貢ぎまくる男性貴族が彼女を味方に付けるだけで全て味方になるのだ。逆を言えば彼女に嫌われれば凶悪な敵の群れが出現してしまうのである。
さらに姉たちを見て育った第三王女イリアーネは勉学に打ち込み軍部顔負けの軍師が出来るくらいの知識量になったのだとか。
インテリ顔になってるのがなんとも。なんでも若い娘なのに軍部に混じって戦闘訓練も行っているらしい。
本日はポニーテールにしてのスポーティーな恰好である。王女なのに鎧着てるし。他の王女がドレスなためかちょっと浮いて見える。
そしてカルセットの妹に当る第四王女ペルセア。
生意気ざかりの彼女は一番下の妹だからか我儘放題である。多分だけどリベラローズが面倒見させられてその姿を見て育ったから生意気になってるんだろう。そのままだとリベラローズみたいになりかねないので王様がどうしたものかと困っているらしい。
もう少し我儘言っても誰も助けない、みたいな感じにしといた方が良いぞ、癇癪持ちになって夫が出来なくなるだろうし。出来ても殆ど会わないとかになりそうだ。
政略結婚だからそれでもいいのかもしれないけど。
どうだい王様? 俺っちに任せてくれりゃそりゃもう品行方正にしてやるぜ? ちょっとウサギが好き過ぎる女の子になっちまうけどなぁ。
「ほぅ、これが守護者なのか」
「あらん、可愛いウサギさん。ふふ、抱っこしてもいいかしら」
「ちょっとセレス姉様、ウサギは私が貰ったのよ」
「いやいやペルセ、お前にやった訳じゃないからな」
「ふん、ウサギの魔物なんて汚らわしい。そこいら辺を駆けまわっていたのでしょう。どうでもいいけど私の近くには持って来ないでくださいまし」
「カールともどもひ弱そうだなぁオイ。片手で捻りつぶせそうだ」
「止めなよ兄さん。一応魔物らしいし、冗談でも攻撃すると襲ってくるかもしれないよ」
「守護者……ですか。情報が余りありませんから騎士団としてもそのウサギに付いては調べたいですね。カルセット、後で貸してください」
うん、まぁ。なんだ。こいつ等あまりにも濃いキャラだな。
正直お近づきになりたくない奴らだ。
でも、顔はいいんだよなぁ。顔は。
カルセットが無駄に可愛らしかったから期待はしていた。
少し年老いているがリベラローズは俺のストライクゾーンに入っている。
他の王女は? 言わずもがなという奴だ。
そうだな、お爺ちゃんが来ない間に四人の王女、頂いちゃいますか。
「ちなみに母さんは後宮だから出てくることは無いんだよ」
後宮にも行きたいなぁ。
あ、そうか、お爺ちゃんが来たら後宮に逃げ込めばいいのでは!?
くはは。これはいい案思いついた。
後宮ならばおじいちゃんは男だから手出し不能。
そもそもライゼンじいちゃんはレッセン王ゾーゲルさんとは知り合いでもあるまい。
つまりどんなに頑張っても王様に眼通りすることすら不可能。
この城にさえいれば、お爺ちゃんは手出しできない。
くく、ははは、これはもう俺の勝ち逃げなんじゃないのか?
すまんなライゼン爺ちゃん。諦めて余生をリアの元で過ごすが良い。




