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うさぎさん、超強力ベイビー

 お邪魔しますよ、っと。

 俺は見知らぬお屋敷に足を踏み入れる。

 謎の人物に導かれ、やってきた先には一つの部屋。

 空いていた窓から侵入した俺は、窓枠に腰かけ両手足の汚れをしっかりと取り除く。


 風圧操作使ってこびり付いていた砂を落としたら、窓枠から室内へと入り込む。

 さて、この部屋に居るらしいんだけど、何処だ?

 簡素な造りながらどこか豪奢な気配のある小部屋。

 ザッ・貴族といったような煌びやかな部屋。赤い絨毯に綺麗な白い壁。上に付いているのはシャンデリアかな?

 魔石を使って光を発しているようで、優しい明るさを灯している。


 部屋にあるのは一つのベッドだけ。

 そのベッドはベビーベッドらしく柵が付いている。

 俺が室内に入り込むと、その柵からじぃっと俺を見つめる視線が一つ。

 見上げるようにそちらに視線を向けると、目があった。


 ベビーベッドから覗く二つの眼。

 まさかと思い唖然としていると、脳内に声が響く。


 ―― 初めまして、といっておこう。我が名はディアリオ ――


 うおおっ!? マジか!? マジで赤ん坊が語りかけてんのか!?


 ―― 然り。そちらこそ意思を持つウサギではないか。驚くほどのことではない ――


「だぁ」


 ベイビーだ。普通にベイビーだ。

 なのになんか不自然だ。

 なぜかと考えて気付いた。

 体つきだ。


 あの体つき、どう見ても生後数日。

 普通の赤ちゃんは首が座ってないので立ち上がることはおろか起き上がるのも困難な時期ではなかろうか?


「だぁーぅ」


 ―― そうなのか? 魔法で身体を浮かせているから気にも留めていなかったが。ふむ、人間の赤ん坊を演じなければならんのだ。丁度良いから不自然にならないように普通の赤子について教えてくれたまえ ――


 ええぇ!? 赤ん坊から赤ん坊の生態教えてくれって頼まれたんだけど俺どうすればいいの!?

 なにこの子。赤ちゃんなのに赤ちゃんしてないところが怖すぎる。

 そうこうしていると、俺と会話する為だろう。赤ん坊が空中へと浮かびあがる。

 これが本当のフライングベイビー……え? 何ソレ怖い。

 というか魔力濃密過ぎて危険じゃないのに危機察知がびんびんに働いてます。


 ―― 我が名はディアリオ。前世は魔神であった者だ ――


 魔神!? え? 魔神が滅ぼされて人になったの!?

 それ、物凄くやべぇんじゃね? ディアリオさんなら魔人として再出発出来るってことだろ。油断した勇者殺しちゃったり世界征服しちゃったり……


 ―― するかばかもの。我は自ら勇者に討たれた。女神サンニ・ヤカーに操られていたのでな。なので勇者は恩人だ。生まれ変わったら一緒に異世界を回ろうと約束したのだ ――


 魔神と仲良い勇者様。うん、意味不明っすわ。

 まぁいいや。それはどうでもいいけど、ディアリオさんは結局何するために転生を?


 ―― 人間として生活すること、そして感情を得ること、が目的か ――


 ディアリオとしばし会話して分かったことは、彼が求めているのは魔神時代に滅びる直前に手に入れた感情の欠片をこの生で伸ばすことらしい。

 恋愛とか、人を愛し愛される喜びを享受するのだそうだ。

 うん、まぁ、要するにやりたいように生きるってことなんだろう。


 その過程で赤ちゃんとして普通に生活し、人間の親にこの子ちょっと変。怖い。と思われないようにしたいんだそうだ。

 その為に俺を呼び寄せたらしい。


 ところでサンニ・ヤカーってどっかで聞いた名前だよね。

 ああ、あの雑魚勇者三人組の信望する侵略して来た女神だ。


 ―― 勇者、か。そういえばここにも一人来たぞ。母に手を出そうとしたので魔木化してやったら父が薪にしてしまったよ。今は多分冬用の薪束の一部になっているはずだ ―― 


 え? 何ソレ怖い。魔木化? ってなんすか?


 ―― 魔木化魔法だ。知らんか? 限りなく成功率は低いが魔力抵抗が我より格下であれば相手を木にすることが出来る魔法なのだが ――


 知らねぇよ!? 怖いよ。お願いだから俺には使わないでくださいッ!!

 何も悪いことはしてないけどウサギさんは土下座した。

 それはもう見事な土下座であった。


 ―― 我が敵とならねば問題はない ――


 俺は絶対この赤ん坊とは敵対しないようにしよう。敵対した瞬間うさ木にされて死ぬ運命しか見えない。


 ―― では、赤ん坊について教えて貰おうか ――


 はぁ、まぁそのくらいならいいっすけど、とりあえずいつ人が来るかわからないし、部屋の真ん中で浮いてる赤ちゃんなんぞ見ちまったら卒倒するだろうからベビーベッドに戻りやしょう。とりあえず講義はそこで、オイラもちょっとゆったり休みたいのでベッド供用させてください。


 ―― まぁ、よいか。ではよろしく頼む ――


 こうして俺は安全地帯を手に入れた。

 とりあえずはおじいちゃんがこの町で探索し出すだろうから屋敷内から出ないようにおとなしくしてよっと。

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