うさぎさん、アホの子の最後を見る
俺達が茂みに隠れた一瞬後、六体のゴブリンが出現。
おー、またゴブリンだよ。
結構頻繁に会うよな。何かこの辺に集落あるんだろうか? でも結構広範囲に出没してるから遠くから来てんのかな?
ん? 逆方向から他のが来た?
グルグルと声が聞こえる。
何が来るのかと思っていれば、犬だ。
二足歩行の犬が三体、北側からやってきた。
二つのチームは俺達の目の前で相対する。
「ゴブ……」
「ワンッ」
威嚇とも思える声一つ。互いに武器を構える。
ゴブリン達は剣や棍棒。二足歩行の犬は槍を構える。
おお、なんかあの動きカッコイイ。犬のくせにやるじゃないか。
「アオンッ」
犬……っていうかアレってコボルトか。今ステータス見たらやっぱりコボルトだってよ。
コボルトの一体は足元向って槍を振るう。
足払いを掛けられたゴブリン達は面白いくらいに倒れた。
アホだ。避けろよ。
体勢を立て直す前に二体のゴブリンが突かれて死亡。
残り四体が立ち上がった頃にはコボルトたちも体勢を整え一人が再び足払い。
運良く一人が倒れず、コボルトと打ち合う。その間に一体のゴブリンが突かれて逝った。
ゴブリンの一体が頑張るが、その背後で一人、また一人討ち取られて逝くゴブリン達。
そして、そいつ以外が居なくなった瞬間、三匹のコボルトはゴブリンを囲んで一斉に突きを放った。
ほぼ無傷でゴブリン六匹倒したぞこいつ等。
名前:シバ
種族:犬頭人・ノーマルコボルト ♂
Lv:2
HP:73/82
MP:1/1
TP:18/21
状態:普通 ∞s
スキル:
咆哮:TP1 /叫ぶ能力。周囲に状態異常・恐怖の付加。
足払い:TP1 /敵パーティー全体に足払いを仕掛ける槍技。相手の体勢を崩す。
疾風突き:TP3 /疾風の速さで突き出す槍技。
回し蹴り /足技の武技の一つ。基本的な攻撃の一つ。
身代わり /仲間の代わりにダメージを受ける。あるいは敵と闘う事が出来る。
不退転 /逃げる事が出来なくなる代わりに攻撃力、防御力、素早さが1.2倍になる。クリティカルヒット率が20%増加。
種族スキル:
忠義の心得 /主と認めたモノに対する絶対的忠誠心。主が主ではなくなるまで絶対に裏切ることはない。
仲間を呼ぶ /嘶きで助けを呼びます。
コボルトの鼻 /索敵、捜索等に+補正。
異種間性交・可 /異種族との間で子供を授かることができる。
絶対忠誠 /主人クロに絶対の忠誠を誓っている。
一匹鑑定してみました。
コボルト強いな。
しかもなんだこの忠義の心得と絶対忠誠。ヤバいだろ。これ、コボルトの雌に忠誠されたら子作り放題じゃね?
いや、コボルト相手にどうなのとは思うかもしれないが、俺、今兎だし。異種間とかもはやなんでもいいんだ。だって常時発情持って……あれ? そう言えば俺状態異常:発情とかになってないよな。なぜだ? 発情期はあるはずなんだけど? もしかして兎の発情はいつも通りだからカウントされないとか? それとも何かしらの理由が……はっ! まさか、まだ俺が子供だってことか!? 子供過ぎるから、発情しない、と?
どうしようリス君! もしかしたら俺はまだお子様だったのかもしれ……あれ? リス君?
横を見れば既にリス君が居ない。
逃げたか? 周囲を見回せば、背後に気配。
なんだよ。ちょっと下がってただけ……か?
そいつはリスじゃなかった。
黒い毛並みの足が俺の視界に入る。
二足歩行の人型大の魔物。コボルト。
黒い、コボルト?
名前:クロ
種族:犬頭人・ブラックコボルト ♂
Lv:3
HP:362/362
MP:72/72
TP:77/77
状態:普通 ∞s
スキル:
咆哮:TP1 /叫ぶ能力。周囲に状態異常・恐怖の付加。
足払い:TP1 /敵パーティー全体に足払いを仕掛ける槍技。相手の体勢を崩す。
疾風突き:TP3 /疾風の速さで突き出す槍技。
回し蹴り /足技の武技の一つ。基本的な攻撃の一つ。
身代わり /仲間の代わりにダメージを受ける。あるいは敵と闘う事が出来る。
不退転 /逃げる事が出来なくなる代わりに攻撃力、防御力、素早さが1.2倍になる。クリティカルヒット率が20%増加。
くいしばり /HPが0になる攻撃を受けても一度だけHP1で生き残る。
種族スキル:
忠義の心得 /主と認めたモノに対する絶対的忠誠心。主が主ではなくなるまで絶対に裏切ることはない。
仲間を呼ぶ /嘶きで助けを呼びます。
コボルトの鼻 /索敵、捜索等に+補正。
異種間性交・可 /異種族との間で子供を授かることができる。
指揮Lv1 /軍団を指揮する能力。
ちょぉっ!? HPおかしい。しかも忠誠心を感じてる奴が居ない!? クロって名前だし、こいつがあのコボルトたちの主人ってことか。
ブラックコボルト? 上位存在ってことか。いや、それよりも……
俺は視線を上に向け、そいつの口元を見る。
だらんと命を失った瞳でドングリを撒き散らすリスが、咥えられていた。
リス君喰われとるっ!?




