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うさぎさん、移住希望者

「……と、言う訳で、よろしくおねがいします」


 俺たちは皆、ただただ呆然としていた。

 邪神崇拝者共が装飾してしまった邪神召喚スペース。ハルコにどうしたらいいって聞いたら居候になるんだから掃除よろしく。部下貸すわ。っということで部屋の掃除をしていた俺達は、突然やってきた彼らに驚いていた。


 彼ら、邪神崇拝信者共とアンゴルモア君である。

 本国に戻った彼らは本国に居た信者たちまで引き連れてこの洞窟へとやって来たのだ。

 俺たちは手がある魔物達と共にトンボっぽいの使って地面成らしたりしていたところに、アンゴルモア君が来て、本国潰れたからここに信者たち住まわせて、てへぺろ。ってな感じでやって来たのである。


 意味不明過ぎて俺ら全員ぽかんである。

 とりあえずハルコさんに言ってよそういうことは。俺はここ掃除したらこの部屋自由に使っていいって言われてたんだぞ。ピスカとキャッキャウフフの毎日待ってたと思ってたんだぞ。

 仮にレイシアだけなら喜んで受け入れよう。

 なぜに数百人の野郎共と共同生活せにゃならん。しかも男同士できゃっきゃうふふしてる奴らもいるのにっ!!


「とりあえず、ここのダンジョンは私達の管轄ではないのであります。ハルコさんに聞いてほしいでありますよ」


 そういう問題じゃないよねピスカさんっ!?


「ハルコさん、ねぇ、俺は不幸だし、レイシア、サドラー、お前達で交渉してくれ」


「はっ!」


 他人に交渉任せる理由が不幸だからってのも凄い理由だな。


「では案内するでありますよ。ちょっと大きいので驚かないでほしいであります」


「ふん、巨大なだけなら問題は無い」


「フェンリルとだって会話したことあるから大丈夫だ」


 レイシアさんよ、無理にそんな強い女みたいに振る舞わなくてもいいと思うよ。

 きりっとした顔してるけど幼女体型なのでむしろ大人ぶった子供にしか見えません。可愛いねェ、可愛いねェ。


「きゃあぁ、ちょ、ウサギさん頭撫でないでぇ」


「ウサギに頭撫でられるロリババァ……なんだこのシュールな光景……」


 俺が撫でやすいように頭の上に乗った俺をレイシアの近くまで移動させて首を傾けるピスカ、以心伝心な部下がいて感謝感激であります。


「んじゃ、俺らは待ってるよ」


 アンゴルモアだけじゃなく信者達もここに居るつもりか。

 仕方ないのでハルコさんの元へレイシアとサドラーを連れて行くことになった。

 当然、どういう反応になるかは分かり切ってるけど折角だし二人の驚愕具合を隣で見させてもらうとしようじゃないか。


「おお、ボス部屋……」


「ダンジョンボス、ほ、本当に闘う必要、ないんですよね?」


 威厳どうしたレイシア。そこは本当に闘う必要ないんだよな。だろ? ちょっと男勝りっぽく喋るんじゃないのか、キャラブレブレだよ?

 まぁ、元々はですます口調だったけどアンゴルモア教の巫女になったから威厳ある言葉遣いをと考えてちょっと男っぽくしてるのかな。

 まぁ、どっちでも可愛いからいっか。


 扉を開いて入る。

 あれ? ハルコ何処行った?

 穴が地面に空いてるからどっか行ってるっぽい。


「大丈夫であります。人間が来たのを察知して出現位置に潜っただけでありますね」


 なるほど、本来のボスとしては人間達が入り切った後に穴から出現して戦闘開始する訳か。

 んじゃ念話送って出て来て貰おう。

 ぬーん。オイラの念波よ、届けぇ!!


『パンツ食べたい』


『パンツっ!?』


 あれ? なんか変な思念が飛んじまったらしい。

 想定外の念話に驚いたハルコが穴から飛び出した。


「ぎ、ぎゃああああああああああああああああああああああああっ!?」


「み、ミミズ嫌ぁああああああああああああああああああああああっ!?」


 あー、ミミズは嫌いかレイシアちゃん。

 ありゃ、サドラーの奴泡吹いて気絶しやがった。


『あら、ピスカちゃん、裏切り?』


「話がしたいそうなので連れて来たであります」


『まぁ珍しい、人間が私と交渉? ところでさっき念話送って来たの誰かしら? パンツが食べたいとか聞こえたんだけど』


 ジト目で俺を見るピスカ。

 知りません、俺は知りませんよ。誰だろうなパンツなんか食べようとしてる馬鹿は?


「実は先程……」


 ハルコの容姿に直立不動で震え始めたレイシアと気絶中のサドラーの代わりにピスカが説明を始める。


『なるほどねぇ、人間を住まわせろ、かぁ』


 追い出した奴が数倍に膨れ上がって移住を求めて来るとか、俺なら叩きだすけどな。レイシアだけ召し上げて。

 可愛い娘は俺の物、ムサい野郎は野宿しな!


「ご主人様、最低であります」


 ごふぅっ!?


『まぁ、ダンジョンの魔物達に危害を加えないのならいいけれど』


「ではソレを他の方々に教えて行くであります」


『折角だから私もご挨拶しようかしら』


 なんかハルコさんが気を利かせて挨拶のためにアンゴルモア達の元へ向うことになった。うん。なんか起こりそうな予感であります。

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