うさぎさん、VSグリズリー3
「ぎゃがあぁぁぁぁぁっ!?」
鼻面に喰らったグリズリーが再び攻撃に移る。
しかし、今回の木は突進で倒せる物ではなかった。
怒り狂ったグリズリーは表皮を切り裂く。四つ爪の痕が付くものの、俺も木も倒せない。
そして鼻面に舞い降りるゴブリンの腰布。
ひゃっほぅ、悶絶しまくりなっ。
のたうつ熊が俺を睨む。
ふっ。睨んだところで貴様は俺に届かないぜ!
「グガアァァァァァ――――ッ!!」
「キ――――ッ!!」
咆哮を行って来るが、勝利の雄たけびで対抗。どうやら叫ぶ事で相殺できるようだ。
咆哮持ってる奴には叫び返すのがいいらしい。
悔しげにベアクローを叩きつけるグリズリー。だがこの太い木を叩き折る事は出来ない。
そして降り下りてくるゴブリンの下着。
悶絶するグリズリーは涙目で俺を睨むがどうにもならない。
そして、これで、ラストじゃぁっ!!
降り下りた臭い腰布がグリズリーの鼻先に落下。その瞬間、雄たけびを上げながら背中から倒れるグリズリー。
ずぅぅんと倒れたグリズリーが泡を噴き出した。
名前:
種族:ベア・グリズリー
Lv:16
HP:77/183
MP:0/0
TP:0/70
状態:気絶
スキル:
突進 /特攻の上位版。
切り裂く /爪で切り裂く攻撃。通常攻撃より威力が高い。
咆哮 /叫ぶ能力。周囲に状態異常・恐怖の付加。
種族スキル:
毛皮の鎧 /毛皮と分厚い筋肉と脂肪による防壁。斬撃、打撃攻撃に耐性あり。
気絶? TPが無くなると気絶するのか。
しかし、77……俺が攻撃する間に気絶治ったりしないよな。
いや、待て、俺よりも攻撃力がある奴が居るぞ!
俺は即座に木を掛け降り、呆然と熊を見つめていたマールちゃんに辿りつく。
ぽんぽんっと腰元を叩くが無反応。身体を駆けあがりとりあえずパイタッチ。
おお、むにょんと柔らかい。これは、いいものだ。
っと、今はそんな状況じゃない。
肩に飛び乗ると頬を叩く。
ここでようやく我に返ったマール。
俺は即座に飛び降り杖を拾ってマールの元へ。
いつの間にか手放してやがるし。
俺から杖を渡されたマールはまだ分かっていないようなので、腕を使って倒れたままの熊を指す。
ほら、急いで!
急かされてるのに気付いたマールは慌てて魔法を唱え出す。
「シェ・ズルガ!」
やや噛み噛みながらも呪文を唱え終えたマールの魔法がグリズリーを切り刻む。
どうだ! 倒せたか!?
―― ステータス表示 のレベルが上がった! ――
名前:
種族:ベア・グリズリー ♂
Lv:16
HP:14/183
MP:0/0
TP:0/70
状態:気絶:残り30s
スキル:
突進 /特攻の上位版。
切り裂く /爪で切り裂く攻撃。通常攻撃より威力が高い。
咆哮 /叫ぶ能力。周囲に状態異常・恐怖の付加。
種族スキル:
毛皮の鎧 /毛皮と分厚い筋肉と脂肪による防壁。斬撃、打撃攻撃に耐性あり。
おお、ステータス表示のレベルが上がった。そのせいか性別と気絶の残り時間が表示されました。
って、あと30秒? 祝詞がそれくらい掛かってたからもう一度魔法はムリだ。
残りHPは14。戦えば……7発。いっけえぇぇぇぇッ!!
まさに疾風怒濤の超加速。
駆け抜ける白き獣が眼を開こうとしているグリズリーへと到達する。
拳を振り抜き一撃二撃。
グリズリーの目が開く。
「グオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
煩わしいとばかりにベアクローが振るわれる。
しかし、既に五発目。残り二発。
疾風怒濤で加速した脚力で即座に避ける。
起き上がるグリズリーに飛び蹴り。
威嚇するグリズリーが両手を打ち降ろす凶悪な一撃。
割り砕かれる地面を足場にグリズリーの顎めがけて渾身のドロップキックッ!
「ガアァァァァァァァ――――ッ!!?」
再び倒れるグリズリー。大木を背にして一休みでもするように座り込む。
そのまま顔を俯かせ動かなくなった。
名前:
種族:ベア・グリズリー ♂
Lv:16
HP:0/183
MP:0/0
TP:1/70
状態:死亡
スキル:
突進 /特攻の上位版。
切り裂く /爪で切り裂く攻撃。通常攻撃より威力が高い。
咆哮 /叫ぶ能力。周囲に状態異常・恐怖の付加。
種族スキル:
毛皮の鎧 /毛皮と分厚い筋肉と脂肪による防壁。斬撃、打撃攻撃に耐性あり。
死亡……死んだ? 倒した?
お、俺が、兎が、熊を倒した?
おお、うおおお、うおおおおおおおおッ!!
「キ――――ッ!!」
思わず出てしまった勝利の雄たけび。
聞いたマールちゃんがびくっと驚いていた。




