うさぎさん、大反省会を開かれる
「さて、クソ野郎、言い訳を聞こうか?」
翌日、両耳の付け根をむんずと掴み上げられたウサギさんはぷらーんと揺れていた。
円らな瞳を使って訴えてみるがキリトゥ君は許しちゃくれない。
あの、せめてこの持ち方止めてくんない?
思わず両手両足を縮めてぷらーんしてるんだけど?
ちょっと誰か助けて?
視線を他の皆に向けてみる。
ここは食堂。皆して椅子を円状に並べて座っている。といっても五人分だから小さな円だけど。
そして椅子に座ったキリトゥ君がウサギさんをぷらーんして、右隣には困惑気味のドガッサ。
そこから時計回りにレペスタ、ペレッタ、ピスカが座っている。
平常心のような顔なのはピスカだけで、レペスタとペレッタは困ったような気恥ずかしいような顔をしていた。
俺と視線が合うと、二人揃って顔を赤らめ視線を逸らす。
フッ、愛い奴らめ。
ぎゅっと俺の耳を持つ手が強く握られる。
ぎゃあぁぁぁっ!? やめろぉぉぉっ!?
「色眼を使うなエロウサギ」
待て、待ってくれ、今のは色眼じゃなくて助けを求める眼だよ!?
しかしキリトゥ君には伝わらなかった。
上下に揺らされ左右に揺らされ、ウサギさんはぷらんぷらん揺らされる。
「正直俺としてもやり過ぎたとは思ったよ。ドガッサがキスとかしてたしな。止めてやればよかったと思う、でもな、だからってペレッタとレペスタは関係なかっただろ」
なぁ? と上下に揺すられる俺。されるがままになってるのだが、その視界に自分の名前を呼ばれた二人がさらに顔を赤らめ縮こまるのが見えた。
「とにかく、幾らムカついたからって人間を性的に襲うウサギとかふざけんな羨まし……ゴホンッ、まぁ、なんだ。とりあえず反省しろ。こいつの本性を伝えてなかった俺も悪かったし、二人にも迷惑かけたな」
「え? ええ、まぁ……」
「あー。はは……」
ペレッタとレペスタはなんとも言えない顔で視線を逸らす。
一つだけ、勘違いしてるようだなキリトゥ君。ただウサギに襲われた乙女がこんな顔すると思ってるのか?
恋する乙女、否、既に惚れ切った女の顔をしてるだろう?
何しろ俺、テクニシャンだかぶみゅっ。
顎を掴まれぎゅうっと口元を狭められる。
自身の眼前に俺の顔を持って来たキリトゥ君がギロリと睨みつけて来る。
あ、あはは、冗談ですよ冗談。
「反省、してるのか?」
してます。してますよ? ほら、はんせーい。
近くに来たキリトゥ君の額に片手をぽんっと当てて猿の反省ポーズ。
「良し分かった。こうしてやる」
耳持ちから一点、片足を吊りあげられるウサギさん。
ぎゃー、逆さ磔にされちゃうのぉーっ。
「えーっと、キリトゥさん、ほ、ほら、ウサギさんも発情期だったんだろうし、その許してあげよ?」
「可哀想だろ、なぁ、ドガッサ」
「え? お、おう。だよな、ウサギ虐待だぞキリトゥ」
「って、なんで皆してこのエロウサギの肩持つんだよ!?」
フッ、そりゃもう可愛らしいウサギさんに皆夢中ってことさ。
「というかよぉ、俺は寝てたんでよく分からないんだが、本当にそのウサギがレペスタ達を襲ったのか?」
「え? えー、あー、な、ナニモナカッタヨ」
「そ、そうだね、なにも無かった、かな?」
目が泳いでるよ二人とも。
「嘘だろ、それ、どう見ても嘘だろ?」
「キリトゥ、当の二人がこう言ってんだぜ? お前の思い過ごしじゃねぇか。そもそも二人だってウサギに襲われたら反撃くらいすんだろ」
「いや、でも……」
「そ、そうですよ、私だって、ウサギさん一人なら、そうですよねレペスタさん」
「え、ええ、一人なら、ね」
うん、まぁ、ピスカに手伝って貰ったしねぇ。
追い打ちを行えなくなったキリトゥ君はどうしたらいいのか分からず押し黙る。
「そろそろ終わりでいいでありますか?」
「あー、そうだな。帰ろうか」
「そうですね、帰りましょう」
「え? あの……」
しかしキリトゥ君以外がそそくさと動き出した為に俺の断罪は行われることは無かった。
これも日頃の行いって奴よ。
唖然とするキリトゥ君を残し、準備を行いに向う面々、後にはウサギさんを掴んだままのキリトゥ君だけが残された。
あの、そろそろ血が頭に上って来たんで放してくれませんかね?
プリーズヘルプミィピスカぁー。
「おや、何か空耳が聞こえるであります」
ちょ、おま、ご主人様が助けを求めてるんですよ!?
「折角私というモノがありながら他の女にうつつを抜かすご主人様など知らないであります」
頬を膨らますメイドロボ。
どうやら相手にされなかったのがご不満のご様子。
いや、ピスカとはほら、いつでも出来るだろうから、落ち付いた場所でね?
「本当でありますか?」
くそぅ、可愛いなぁ。ご主人様に尽くすメイドロボ、最高じゃないか!
「ほぉう、つまり、やっぱりあの二人を襲ってたってことだよなぁ?」
あ……。
キリトゥ君に聞かせる話じゃなかった。
この後、キリトゥ君にむっちゃ怒られた。




