うさぎさん、ロボと闘う
結局俺はペレッタに抱きあげられる形で移動させられることになった。
取り合えず大人しく護送されておく。
下手に暴れるとキリトゥ君に兎鍋にされかねないしな。
しっかし、回復役が居ないけどちゃんと回るのかねこのメンバー?
とりあえずシーフのレペスタさんがいるから索敵は問題ないし、タンクが居るから防御も優秀。魔法使いがいるから遠距離も完備。攻撃面はキリトゥ君か。やっぱ後一人ほしいところだね。
残念ながらこの周囲には予備人員はいない。
ウサギさんは回復魔法使えないからね。ヒールラビットとか癒しウサギとか居そうなもんだけどまだ見掛けないからなぁ。
「気を付けて、そっちから音が聞こえるわ」
あー聞こえるね。ウサギの方が耳いいみたいだ。めっちゃ前から聞こえてたよ。ガションガションって近づく機械音がな。
なんかヤバそうなの近づいてきてるぞ。どうすんだ?
「全員戦闘態勢! ドガッサ、頼むぞ!」
「おうよっ!!」
あ、待ちたまえ君たち、アレどう見てもレーザーとか発射するタイプだぞ。
曲がり角から近づいてきているのは逆間接の膝を持ったダチョウタイプの機械だ。
胴体部分の下側に砲塔を持っており、いかにもそこからヤバい一撃出しますよと威嚇する容貌をしている。
そいつもこちらを認識した。
ぶぅぅんっと前面を赤く光らせる。
アラート機能とでもいうべきか?
盾を構えて飛び出して来たドガッサ向け、砲塔が光を放つ。
オルァッ!
ペレッタの拘束を解いた俺は即座にドガッサにドロップキック。
横合いからの一撃にドガッサが吹っ飛んだ。
「ハァッ!?」
「ちょ!?」
「ウサギさんっ!?」
驚く面々、ドガッサがあいたぁっと起き上がったその瞬間、ピュンッと俺達とドガッサの間に赤い線が走った。
なんだ? と皆が線を眼で追う。
通路にそこの見えない線が走り通路を二つに引き裂いていた。
思わず視線を光が来た方向へと向ける。
ロボットさんが再び赤く光りはじめていた。
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
ドガッサが青い顔で咆え猛りながら俺たちの方へと飛び込み転がる。
鎧着たまま前転しやがったよ。
遅れて赤い光が通路を破砕する。
「な、何だあれッ! 聞いてねぇぞ!」
「あんなもん受けたら真っ二つになって死んでたな。良く避けれたなドガッサ」
避けるも何も俺がドロップキックかましてやったからだろうが。
ったくしかたねぇ。
「あっ、ウサギさんっ」
俺が突然曲がり角向って走りだしたので慌てて後を追おうとするペレッタ。即座にレペスタが彼女を押しとどめる。
「馬鹿ッ、死ぬ気!?」
「で、でもウサギさんが」
「今ので驚いて逃げたんだろ。あいつには悪いけど、機械が後ろを向いたら一斉攻撃で潰すぞ。ウサギの犠牲を無駄にするなよ!」
キリトゥ君は非情だね。でも大丈夫!
俺は死ぬ気は無いんでね。
赤く光り出すロボット。
電光石火、遅延時空、大ジャンプ! からのぉ……帯電!
ひしっとロボットに抱きつくように飛び付いた俺の身体から電気が迸る。
それが数十秒。真っ赤になったロボットは点滅を始めてボンッと煙を吐きだした。
「はぁッ!?」
驚くキリトゥ君。まさか抱きついただけで相手を倒せるとは思わなかったよう……
「ピカ○ュウかよ!?」
ちょっ!? 待て、テメェあんな帯電ネズミと一緒にすんな! 俺の方が可愛いだろ。ほら、この瞳を見ろ!
「なんか……あざといんだよなこいつ。しかも強いし、さっきのドロップキックもどう見てもドガッサ助けようとしたように思えるし。もしかして……意思持ち? でもウサギだし……」
キリトゥ君には潤んだ瞳効果が表れなかったようだ。チッ、俺の可愛さがわからんとは。このもふもふでつぶらな瞳でウサ耳なぷにぽよんウサギさんなんざめったに居ないんだぞ。
煙噴き出した機械を蹴り倒して地面に着地。
あ、アイテム入手ボックスでてきた。
なんだそりゃ、こいつにも生命力みたいなのがあるのかね?
まぁアイテム貰えるならいいか。
俺がアイテムを入手していると、安全を確認した人間共が俺の傍へとやってくる。
「いや、すまん、なんか結果的に助けられた形になるのか。よくやるなァウサギの癖に」
ドガッサが上から目線のありがとうを告げて来る。
結果的っつかわざわざ助けてやったんだっちゅーに。
しかし、こいつ等ロボットに対する知識が全く無さ過ぎだろ。
キリトゥ君、今が君の腕の見せ所だろ。知識チートで全員無事に生還させろよ。今のドガッサ即殺パターンだったぞ。
俺はキリトゥの身体をよじ登り肩に飛び乗る。
重いっとよろめくキリトゥ。こらこら、俺程度でよろめくな。
ドガッサなんか頭の上に乗っても微動だにしなかったぞ?




