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???、侵入者を確認

 ……?


 不意に、ソレは眼を覚ました。

 主の住居向け、何かがやってくる。

 数体の生命体。防衛機構を突破し、遺跡内部に入り込んでいる。


 今までなら防衛機構が処理していた筈だが、今回はどうも勝手が違う。

 ソレはしばし考える。

 主の命はなんだった?

 そう、我が研究の邪魔をする者全ての排除。

 あるいは、もしもココに来たのが同類であった場合、主の後を継ぐよう伝えること。

 あとは……


 ソレはゆっくりと稼働を始める。

 主の命を守るため、主の研究を保護するため。邪魔な異物を排除するため。


「PS2037-K……起動」




 ……

 …………

 ……………………


 あ、あれ? どこだここ?


 眼を開くと、ウサギさんは見知らぬ場所に出現していた。

 つい先ほどまで居た草木生い茂るドルアグスの森ではない。

 冷たい地面に光ささぬ岩で出来た天井。

 壁は鍾乳洞のような、しかしながら青く薄い発光をしている不思議な壁だ。


 洞窟内部? しかし少し前に向った先にはドアが存在している。

 ドアノブが無いがドアである以上何かしら通じる先があるのだ。

 鍾乳洞のような場所は小部屋くらいの大きさで、ドア以外に向える場所が無い。


 こりゃあ物質透過するっきゃなさそうだ。

 兎は即座に判断して歩きだす。

 ドアをすり抜けると、整備された通路が現れた。

 

 中の人消えますで逃げた以上、ドルアグスの森からそこまで離れていないはずなのだが、果たしてここは何処だろうか?

 通路にしか見えないが床も壁も天井も青っぽい。天井の至るところにあるのは埋め込み式のブルーライト。


 なんだろう、懐かしい。

 ん? 懐かしい? こんな通路が、なぜだ?

 兎さんは小首を傾げる。


 必死に思い出す。このような場所に覚えはあっただろうか?

 否、あった。ない筈が無かった。

 ここの地下通路は秘密結社時代に存在したインセクトワールド社の地下通路と同じ作りなのだ。


 気付いてしまえばいろいろと不思議な類似点がある。

 等間隔に設置されたブルーライト。

 壁と壁の合間に時折存在する眼と指紋認証方式のドア。

 枝分かれした通路をゆっくりと進んでいけば、防衛機構なのだろうか?

 廊下を移動している機械が数体。


 キャタピラ式の足と機銃を腕に持つロボットや、車のフロント部分を顔にしたような人型機械、逆間接型の足を持つダチョウ型の機械は胴体の真下にレーザー銃のようなモノを設置されている。

 正直同じ世界なのかと疑ってしまいたくなる場所だ。

 でもスキルは普通に使えるし、ステータス表示で相手を見ればps0なんとかとかいろいろとステータスを確認できる。


 つまり、ステータスが確認出来る以上俺のいる世界はリア達のいる世界と同じだと思っていいのだろう。

 しかもドルアグスの森近くという訳だし、おそらくだけどドルアグスの森地下に存在する遺跡か何かだと思われる。


 機械が跳梁跋扈する遺跡……か。

 これってもしかして古代遺跡とかそんな奴かな?

 でも古代にしては秘密結社みたいな作りだし電気は通ってるし……はっ! そうか、闇ギルドの地下だなここ。あそこに繋がっていて奴らが秘密裏に何かを研究してるんだ。きっとそうだ。

 奴ら、この世界を征服するつもりなのか!?


 どうでもいい事を考えていると、広間を見付けた。

 しかも何か声が聞こえる。

 まさか研究員がいるのか?


 見付からないようにゆっくりと近づいて行く。

 気分はスパイ映画の主人公兎だ。

 そーっとそーっと、物陰から覗き込む。

 こんなところで焚き火してやがる!?


「いやー、しかし新しく発見した古代遺跡、なんかすげぇな」


「お宝、嫌でも期待しちゃうわね」


「でも、なぜ古代遺跡なのに、機械? 電気も通ってるし、なんだか……」


「電気ってなんですキリトゥさん」


「え? いや、あはは。なんでもないよペレッタそれよりレペスタ、敵は大丈夫?」


「ええ。この周辺には寄って来ないみたい」


 ……どうやらこいつ等は研究員ではなく冒険者らしい。

 話を聞くにやっぱ古代遺跡みたいだな。新しく発見ッてことだし今までは発見されていなかったのか。

 しかし、キリトゥって、しかも容姿が黒髪に黒い装備、黒マントとかどう見てもアニメを意識してるよなこいつ。もしかして転生者か?

 武器は両手持ちの双剣らしいし、どう見てもなり切り君にしか見えない。顔……似てないけどな。


 自分が主人公になってるとか勘違いしちゃってるタイプだな。御愁傷さまです。

 しっかし、そうなるとこの遺跡とやらが気になるな。

 整備された秘密結社みたいな通路にそこを闊歩するロボットたち。

 この世界からすれば数世代ぐらい科学が進歩しないと絶対に共存しえない遺跡の筈だ。

 この違和感、奥まで向えば分かるだろうか?


「あれ? そこに誰かいる?」


 びっくーん!? 冒険者の一人が俺の隠れている場所向けてゆっくりと近づいてくる。

 ど、どうする? これ、下手したらこいつ等に討伐される危険があるのでは……

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