うさぎさん、手紙に憤慨する
所持品
ポイズンスネークの牙 蛇肉(毒)
ポイズンスネークの尾 緑の小さな鎌×2
虫肉×2 虫の羽×2
ゴブリンの肉×11 棍棒×11
臭い腰布×11 ホーンディアの角
鹿肉 ホーンディアの毛皮
オークの肉 鉄の槍
豚頭 ???からの手紙
なんかステータスとは違う薄いパネルが出現しました。
これは凄い。というか、回復アイテム常備させておいた方がいいな。
薬草見つけたらアイテムボックスに入れとこう。
草は幾らあっても問題は無いしな。
問題としては時間劣化があるかどうか、だよな。
取り出したら腐ってました、とか普通にありそうだ。
ま、まぁその辺りは調べてみればいいよな。雑草魂低い草使って試してみるか。
えーっとなになに、全部俺が手に入れたアイテムだな。
ゴブリンから手に入れたモノが多いようだ。
鉄の槍、オークが持っていたんだけど、コレ使えないよね?
ちょっと練習してみるかな?
この世界だし、幾らか練習すれば槍使えるウサギになりそうじゃないか?
ラビットランサー。ちょっとそそられる。
よし、やろう。暇な時間外で槍振るってみよう。
今使えそうなのはポイズンスネークの牙かな。相手を毒状態に出来るみたいだ。間違っても自分に刺したくは無いな。
棍棒くらいなら咥える事で使えるだろうか?
あとはホーンディアの角か。武器で使えそうなのはこれくらいだね。
肉は……俺草食動物だから食いません。
いや、ちょっと食べてみるか?
肉食兎というのもありでは? いや、胃が受け付けないかもしれない。
生肉とか食べる気にもならないし、いや、でもアイテムボックスに入ってる以上寄生虫の心配は無いのかな? じゃあ生肉でも……
そうだ。生肉をスライスして刺身とか……
生肉の刺身、ごくり。これはちょっと、試してみたくなるな。
あとタマネギとかは訓練すれば食えるようになるだろうか?
とりあえず寄生虫の有無から調べるべきだよな。
虫肉を一つ取り出す。
うわ、グロっ!? 気持ち悪っ。
取り出した瞬間地面にぐちゃりと落ちるドロドロの物体。
もはや調べる以前の危ない物品だった。
このままここに置いとくと発酵して変な動物寄ってきそうだから即座にアイテムボックスに入れることにする。
そして、気付く。
お肉の中からコンニチワ。
寄生虫らしき物体がみょこっと現れ、呼んだ? とばかりにこちらに鎌首をもたげる。
そのままにょろにょろと笛を吹かれたツボの中のコブラみたいに立ち上がってくるハリガネムシさん。
速攻アイテムボックスにブチ込む。
その内適当な場所に捨ててしまおう。そして寄生虫はアイテムボックス内に入れる、と。
となると内部で発酵しちゃうんだろうか?
そこが一番の問題だな。
……いや、待て、普通にスルーしそうになったけど、なんか手紙が混ざっとる。
俺はアイテムの手紙を手元に出すように念じる。
すると、やはりだ。予想通りアイテムが取り出された。
一枚の紙切れ。ただの紙切れのはずなのになんか持ってるのが恐れ多い。
この手紙はなんかいろんな意味でヤバそうだぞ。
ずももももっとばかりに怪しい気配を醸しだす手紙を睨む。
さすがにずっと放置していても手紙が動き出すことは無いので手紙を開くことにした。
そこに書かれていたのは……
なんぞコレ?
―― 初めまして、君の死に方があまりに面白かったんで我が世界に転生させてみました。望みのハーレムを作って暮らしてください(笑) ――
俺は手紙を破り捨てた。否、破ろうとしたら物凄い硬くて破れなかった。仕方無かったので丸めてポイ。丸めるのはできるのに破れないってどんな素材だよっ!?
って、消えた!? はっ。まさか……まさかっ!?
嫌な予感を覚え確認したら、アイテムボックスに再び手紙。どうやら捨てられないらしい。不幸の手紙か?
仕方無く手紙を再度取り出し続きを読む。
どうやらこの世界に付いていろいろ書いてくれていたらしい。
冒頭があまりにも酷かったから殆ど読まずに捨てる所だった。
コレによると、この世界はヘリザレクシアと呼ばれているらしい。
人間の他に亜人、魔族、魔物、動物などが住んでおり、ここは魔族と人族の領地の間に挟まれた人間寄りの土地。ドルアグスの森と言うらしい。
はて、ドルアグス? どっかで聞いた気が……あ、加護だ。ドルアグスの加護……え? 何、あのドルアグスはこのドルアグス!? まさか森の主様に出会ってたのか!?
ステータス表示の意思を持てばステータスが開け、アイテムボックスにはアイテムが入っている。という内容が書かれている。今更過ぎる。もっと早くに知りたかった。
アイテムボックス内では内部に入れたアイテムの時間が止まるので常に新鮮なドロップアイテムが取り出せるらしい。ホットな弁当も普通に持ち運べるそうだ。
検証する手間が省けたよ。
スキルはハーレム作りたいとか言ってたからそれ系のスキル入れといた。後のスキルは勝手に現地で覚えろとか書いてあったので手紙を踏みつけそうになったし、兎大好きって言ってたからわざわざ兎に転生させてやったぞいとか書いてあったから手紙相手に百烈ウサ拳を披露してしまったが、初めにアイテムボックス確認しないとこの手紙見付けられないのは不親切設計だろう。
御蔭で既に死にかけの連続だったちゅーねん。おっと、思わず変な語尾になっちまった。
さて、これから何しよう?
手紙を投げ捨てアイテムボックスに戻し、俺はこれからの事を考える。
とりあえず武器を扱う練習かな?
泉に入って匂いを消した俺はしばらく水泳を行ってから帰路についた。
潜水辺り覚えないかと頑張ったんだけどな。まだ覚えるには至らんらしい。
とりあえず、帰ったら武器を扱う練習をしてみよう。
きっとそれもこの世界なら出来るはずだ。
そして気付いた。
ウサギは武器を持つ体構造をしていない!
槍を両手で持った。指紋が無いので滑ります。手としての機能がないので持てません。
両手と脇で掴んでいる状態だけど全然武器になりません。
棍棒を咥えて攻撃の方がまだ威力がありそうだ。
それでも、きっと何とかなると必死に頑張る。
ウサギの巣穴の前で武器を相手に悪戦苦闘するウサギが一匹、その日の深夜まで踊り続けていた。