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勧、警戒する

 中井出勧はラコステという街へと辿りついた。

 ここは王国の中でもラコステ伯爵の支配地といってもよく、ラコステ領全てをラコステ伯爵が牛耳っており王国もおいそれと手を出せないようだ。


 御蔭で街に入るだけでも身分証の提示など面倒な手続きが多い。

 だが、そのおかげで門番の働きというものを知られたので勧的には問題は無い。

 ただ、木下麗佳が長すぎる入領手続きに焦れていたが、それを諌められるメンバーはここにはいない。

 火に油を注ぐだけならジョセフィーヌ・ラングウッドに頼めばいいのだが、流石にそれはマズいので勧と瀬尾祷が必死に宥める。

 その間にジョセフィーヌことジョゼが戸塚葉桐と共に手続きを行ってくれていた。


 やはり、麗佳を連れて来たのは失敗だっただろうか? 勧はそんな事を思ったが、既に後の祭りである。

 麗佳を宥めることしばし、葉桐とジョゼが進みましょうと告げたことで勧の苦労は終わりを告げた。

 歩をすすめ、領内へと足を踏み入れる。


 石畳の大通り、二階建ての木造建築。屋根は殆どが赤やオレンジで西洋風の建築物だ。

 行き交う人にとは通りの真ん中を通ることは無く右端を通り、露店の人たちに声を掛けられながら無視して立ち去っている。

 しばらくすると、後方から馬車がやって来て道の中央を進んでいく。

 どうやら馬車二台分が行き来できるスペースを初めから開けて人々が端を進んでいるようだ。


「なんだか日本の国道みたいね」


「交通はしやすいから自然とこうなったんだろうね」


「どうでもいいからそろそろ休みたいですわね」


「じゃあまずは宿屋を探そう」


 店と思しき場所には建物の一階上部辺りにプレートが取り付けられ、風に揺れている。

 ベッドのマークがあるところを見付け、一先ず相談。勧と葉桐で周辺に聞き込みを行い、マシそうな宿屋へと辿りついた。


「アイザックさんは宿屋とか知らないんですね」


「え、ええ」


 護衛騎士として付いて来たのは若い兵士でアイザックといった。

 彼は護衛騎士として戦闘はそれなりにできるものの、段取りについては下の下であった。

 ラコステに行くと分かっていたのに宿屋は何処が安全かの下調べもしておらず、領主との面会も前触れを出すことすら知識になかったのである。

 御蔭で領主は勇者がこの領地に来ていることすら知らないらしい。


 まぁ、勧としては下手な歓待を受けて時間を奪われるよりはとラコステ領主にはこのまま会わないことに決めたのであった。

 適当に選んだ宿屋は手揉みする怪しい店主と筋の細いおばさん。ぷるぷるしているせいで、いつくたばるのだろうかと不安になってしまう。


 泊まるだけでも銀貨1枚取られ、部屋に案内される。

 食事はここではなく別の店で行うことに決めて宿だけ取った。流石にここであのおばさんが腕に縒りをかけた料理を食べたくなかったのだ。

 胡散臭い宿屋なのでどんな毒物を入れられても不思議はないし。


 疑うことに長けた勧は部屋から出る際も荷物全てを持って出ることを説明し、この寝床では気を抜かないようにとパーティーメンバーにしっかりと告げるのだった。

 一先ず宿のカビ臭いベッドで仮眠を取る。

 まずは祷、ジョゼ、アイザックに1時間寝て貰い、勧、麗佳、葉桐の三人が後から1時間眠る。

 途中で店主がノックもせずに入ってきたが、起きてるメンバーを見て、食事は本当に要りませんか? などと告げて来たらしい。


 やはりここはあまり良い宿屋じゃないようだ。

 全員で部屋を出る時に幾つか細工を行っておく。

 さて、これでどれだけ信用に足る宿屋か分かるのだが……


 一先ず宿屋からでて食事処を探す。

 食事処は人に聞けば直ぐに見付かった。

 食堂街という場所に軒を連ねているのでそこで適当に選べばいいようだ。


 食堂に向かい周囲の人に聞いたところ、ここは外れが無いという店に入って昼食を取る。

 肉々しい料理ばかりだったが、それなりに美味しかった。

 この周辺は濃い味付けが好まれるようだ。


 食堂を後にした面々は皆揃って街中を探索する。

 下手に別れるといろいろと問題がでそうなので、一固まりになることにしたのだ。効率は落ちるがこの町に付いて安全に調べるならこの方法が一番だ。


 夕方近くまで歩きまわった後再び食堂に向かって食事を行い、宿屋に戻る。

 揉み手の親父が少し残念そうにしていたので、勧は明日からは宿を変えることに決めた。

 案の定。部屋に戻ると、まずドアに仕込んでおいた紙が落下しており、誰かの侵入が容易に分かった。


 部屋の中に設置されていたドアや戸は全て一度開かれており、設置していた紙は全て落とされている。

 どうやら家探しされたのは確からしい。

 全く、やってくれたよこの宿屋。

 おそらく何も知らずにここに来た冒険者は身ぐるみ剥がされるんだろう。


 周辺の人々に紹介されたんだけどな。皆グルだったのだろうか?

 全員に気を付けるようにして仮眠時と同じように見張りを立てて眠ることにする勧だった。

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