ウサギさん、戦場を駆ける2
「ブゥアァァァァァッ!!」
ドルアグスがオーク殲滅しちゃうんじゃないか? と思った俺の予想は、その大声で覆った。
ドルアグス向けて振るわれたアックスに、ドルアグスが即座にバックステップ。
空を切ったアックスは目の前に居たオークの頭蓋をカチ割っていた。
『出たか』
そいつはオークたちよりも一回り巨大なオークだった。
ただデカいだけではない。威圧感と実力を備えたオークの中のオークだ。
あれが……オークキング。
ただ姿を見ただけで心の底から恐怖心が湧き上がる。
それほどに危険な存在に見える。
ありゃ初っ端に出会ったらオイラ即死レベルだわ。絶対に今の実力じゃ敵わん。
しかもドルアグスの旦那も実力は似たものなのか、先程までの無双はなりを潜め、オークキングのみに意識を向ける。
どうやら一騎打ちを始めるようだ。
代わりにアウレリスがその周辺に群がるオークたちを駆逐し始める。
そして、ゴブリン軍の方でも異変が起こっていた。
S級冒険者二人が無双を止めているのが理由だ。
なぜか、と言えばドルアグスと同じ状況だから、と言えるだろう。
つまり、クロウの前に立ちはだかるゴブリンキング、そして、ストナの元には巨大で筋肉質な胸のあるゴブリン。
どうやらあれはゴブリンマザーと呼べる存在のようだ。
二人が一騎打ちに時間を取られ出したためゴブリン族と人族の闘いも停滞が始ま……
「せぇや!」
「えいや!」
エフィカとリルハの二人がゴブリンを拳で一突き。なんかすっげぇ無双し始めた。
いや、今までも無双してたんだろう。
でも基本二人は肉体言語で倒しているので一振り十匹単位で殺すストナや、曲芸師の如く動きながら敵を屠るクロウにお株を奪われてたんだ。
それがなくなったせいで今まで隠れていた二人が注目を浴び出したのだろう。
流石だ二人ともレベルが上がり過ぎたことでゴブリン程度は拳一撃で倒せるんだね。
御蔭で徐々にだけどゴブリン軍団が減っている。
となると、オーク集団も減らさないと帳尻合わないか。
仕方無い。とぅりゃぁ!
木の上からジャンプ。っと見せ掛けて木をゆっくりと降りてアボガード達が整列する場所へと向かう。
さぁ、アボガード諸君。戦闘再開だ。全軍命がけの闘いになる。用意は良いかクソ野郎共ッ!
槍の柄を地面に着け、いつでも行けます。と整列するアボガードたち。
よし、良い表情だヒヨッコ共め。地獄への片道切符、行くぜ!!
アボガードの群れと共に突撃を開始する。
ヒィャッハー。行くぞ腐れ野郎ども。アボガード神槍部隊のお通りだぁ!!
槍を構えて300ものアボガードが一斉突撃を開始する。
停滞していたオークたちを纏めて地獄送りにしてやるぜ。
俺もまたロンギヌスを取り出し突撃。
おっと失敬、勢い余ってウルフさんぶっ殺しちまったぜ。めんご。
「ちょっとそこのウサギッ、また私の森の防衛機能低下させてるっ!」
え? こいつアウレリスの森のウルフさんだったの!? まじごめ~ん。
イラッと来るような謝り方しつつオークに槍を突き入れる。
追い付いて来たアボガードたちが一斉に槍を構えてファランクス突撃。
迫る槍衾にオークたちは逃げることすらできずに貫かれて行く。
「ブゥァ!!」
うおっ!? あっぶな。剣が突然突き出され、ぎりぎりで回避する。
ウサ耳が風圧で切れそうになって焦った。
相手を見れば、ナイトアーマー身に付けたオークさんが俺を睨みつけていた。
「ぶひっ」
調べてみればオークナイトだそうだ。
オークの上位種かよ。
そんなもん……一撃じゃぁゴルァ!!
ロンギヌスを一撃。
即座に受け流そうとするオークナイト。しかし神槍と普通のナイトソードでは耐久値が違い過ぎた。
受け流しをした筈の剣をバターのように溶かしオークナイトをやすやす貫いた。
マジで攻撃力高過ぎじゃないかこのロンギヌス。
っしゃ、敵が焦りだしたぜ。押せ押せアボガード。
神槍部隊の実力を見せてやれ!
アボガードたちは相手の攻撃を盾でガードし、隙を見て槍を突き入れるを繰り返す。
群れで闘うアボガードたちはあまりに硬く、ダメージもほぼ皆無。
少しでもダメージを受けると魔物の回復役が回復してくれるので皆が一斉に全快になり、まさに鉄壁な魔物達となる。
オークの攻撃はアボガード達に弾かれ、アボガードの攻撃はオークをたやすく撃破していく。
ふふ、これぞ最強の盾と矛! 行けーアボガード。オークをぶっ倒せー。
もはやアボガード達さえいれば充分な気がして来たので応援に回るウサギさん。
近くに居たクマさんの上に登って応援し始めるウサギさん。
オーク共が何故か俺を睨んで来るが、お前ら攻撃してるの俺じゃないぞ? 恨む相手間違ってない?




