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ウサギさん、決起集会に出る

 俺は戦慄していた。

 そこはドルアグスの森にある唯一無二の泉。

 ドルアグスさん曰く自然に湧き出る泉は異界に通じているのだとか。それ、噂ですよね?

 確かに泉の中には変な魚沢山泳いでたけど……


 泉の中央に立つドルアグス。アウレリスは自身の眷族に話を行うためにここにはおらず、ウサギさんはドルアグスの背中に乗せられてます。

 そして見回せば、周りをぐるりと取り囲んだ魔物の群れ。

 クマにアーマードスカンク、大蛇にウサギ……ウサギ、だと!? か、母さん、兄弟、お前達今までどこに……って、お、おおお!? ウサギが1羽、2羽……それといっぱい。

 いや、普通に数百単位でウサギが居るし、これどう見てもこの森に住むウサギ全員がいるよね。

 一部ウサギは角生えてたり色が赤色だったりするし、シロウサギ以外のウサギもいる。ウサギってこの森だけでも結構居たんだなぁ。


 スカンク、イタチにリス、様々なまものや動物が一斉に集まった。

 げっ。あそこに居るのってオコジョの娘!? あ、見付かった!?

 めっちゃぐるぐる唸りだしたんだけど、ドルアグスさん助けてくださいっ!


『ふむ。これで全員か』


 カバたちが所在無げに隅っこ暮らししている。

 その隣には巨大な……なんだあれ。えーっと、種族名ジャイアントモア?

 羽根を失った鳥みたいな生物がカバたちの隣に居た。

 3メートル越えの巨大生物だ。


 どうやらこの生物軍がドルアグスの最大勢力っぽいかな。

 あ、違う、もっとデカイのいたよ。ジャイアントモアの倍近い生物が寝そべっており、そこに無数の鳥たちが羽を休めていた。そのせいで見逃しかけたが、ステータス表示が捉えてくれた。

 種族名グランドメガテリウム。6メートル越えの巨大生物だ。残念ながらこいつは1匹しか見当たらない。


 おそらくドルアグスにとっての最大戦力だろう。

 ただ、たしかメガテリウムは現代世界じゃ滅んだ生物じゃなかったかな。グランドって付いてるし多分地属性のメガテリウムだろう。


 全員が揃ったと見たドルアグスによるお話が始まった。

 基本的には人間と共同で闘うことになったから全員よろしく。

 ということらしい。


 しかし、ただ闘うだけだと多くの血が流れるんだよなー。待てよ。だったら最初の奇襲で一気に敵を殲滅出来れば結構楽になるんじゃ?

 で、その方法なんだけど……アイツ見てたら思いついちまったぜ。

 でも、これにはもう一軍、必要になる。


『ん? どうした小さき者よ』


 旦那、先陣を飾りたく思いやす。つきましては二つの軍勢をお借りしたい。

 その軍勢は……

 俺は思いついた作戦をドルアグスに伝えてみた。

 一瞬驚いたドルアグスだったが、ククと笑みを浮かべる。


『さすがだ小さき者よ。そのメンバーでどうするのか見てみたい。やってみるといい。アウレリスの許可はいるがな』


 アウレリスならなんとかなるだろ。

 戦闘は明日なので一度皆を解散。ただし、俺に指定された一軍だけが残される。

 ドルアグスが空へと飛び立ちアウレリスの森へと向かった。

 俺はこの場に残り、残された一軍に一計を授ける。

 しっかりと打ち合わせをし終えると、ドルアグスが戻ってきた。


『向こうも問題ないそうだ。今から会うか?』


 いえいえ、明日までに移動して来るんでしょう。だったら明日会った時でいいっす。俺にも用意がありますんで。

 確か、奴らは300体くらい居たよな。んじゃあそれだけ作っとかないとな。

 まずは魔力回復薬を飲みながらアレを量産しないとな。


 ククク。これは俺が1軍率いて闘えるチャンス。装備は全身甲冑うささん状態のがカッコイイかな? ドルアグスの旦那乗せてくんないかな?

 いや、白馬の騎士だったらアウレリスに乗った方が良いのか。


 ごっきゅごっきゅと魔力回復薬を飲む。クロウから貰った超回復のお薬である。

 こいつの量も量産しながら、一日徹夜で俺も動き出す。

 本当なら宿に帰って寝たいんだけど、そんな余裕ある位ならまず複製スキル使いまくった方がより多くできるし。


 森が夕焼けに染まり、闇夜のヴェールに包まれる。

 ドルアグスも明日に備えて眠るということで、泉から去ってしまい、俺は突っかかってきたオコジョさんを返り討ちしながらコピーをし続けるのだった。

 あとはまぁ、眠くなったら寝る感じで?


 早朝、俺はついに最後の一本を出現させた。

 ふはは、ついに最後の一本徹夜明けに完成。太陽が黄色い気がするぜ。

 ふふ、ははは。眠い……


 オコジョさんに密着して眠る。

 意識が落ちかけた瞬間。ばっしゃーんという音と共に全身が水没した。

 パニックになりながら顔を出せば、憤慨した様子のオコジョが立ち去って行くところであった。

 鬼か貴様はっ。


 泉から這い出てぷるぷるっと水気をはらう。びっくりして眠気が飛んだ。

 チクショウ、寝そびれた……

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