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ウサギさん、ゴブリンオーク対策会議に出席2

「で、では今回の作戦に付いて説明したく思う」


 ギルド長がうぉっほんと咳をワザとらしくして会話を途切れさすと、落ち着こうと無理矢理落ち付けた声で告げた。

 普段の自信溢れる姿が微塵も無いギルド長に、周囲の冒険者がたちがざわめいているんだけど、大丈夫かギルド長。


「今回戦場となるのはドルアグスの森を抜けた先にある魔族領の一角だ」


 言葉を引き継ぐようにクロウ君が告げる。

 もはやギルド長には任せられねぇと仕方なく交渉の表舞台に立つようだ。


「魔族領、ですか。それで、魔族からクレームは入って来ませんか? もしくは横槍などは?」


「事前に連絡は付けてある。ドルアグスが今回は協力してくれるからな。森を守るためといわれれば向こうも黙らざるをえなかったようだ。下手に手を出して森の魔物が怒り狂ったモンスターパレードは向こうも辟易しているようだしな。今回のオークとゴブリンについては向こうも危機感を募らせていたようだし、人間側で処理してくれるならそれに越したことは無いと言っていたよ。一応見届け人として数人見学に来るそうだ」


 ふむふむ。魔族が居て、人族とは仲が悪いのかな。でも今回は緊急事態だそうなので自領に入られても黙認するようだ。

 しかし、この期に魔族領の秘密などを手に入れようとする人族が出ないとも限らない。なので監視役を向かわせるのだろう。


「戦略としてだが、ドルアグス率いる魔物軍がオークを、俺達人族軍はゴブリンをターゲットにして突撃するつもりだ。異論はあるか」


「ふむ。別に人族がオークを倒してもいいのだろう?」


「もちろん……構わないよな?」


『問題無い。やるべきことはオークとゴブリンの殲滅だ。ただし、調子に乗ってこちらの魔物を殺されては困るな』


「ふむ。まぁその辺りは個人個人にしっかりと告げておくべきところだな。クロウ、ギルド長の仕事になるか」


「俺も入るの?」


「あたりまえだろう現役冒険者の最高峰」


 まじかよっと頭を抱えるクロウ。名前通りに苦労人のようだ。頑張れ!

 人間の方は二人に任せればいいので放置だ。

 会議って言っても事実を確認するだけだしな。この辺りで終わりでいいんだろう。


「さて、とりあえずどういう感じなのかは儂も理解した。冒険者達も聞いていた以上理解できているだろう。ただ、冒険者とて全員が向う訳にも行くまい?」


「うむ、村の防衛としてD級以下の冒険者は護衛として村に残すつもりだ」


「問題は暗殺ギルドの方だな」


 闇ギルドか。冒険者ギルドのすぐ隣にあるギルドですね。そっちのメンバーも一応物珍しさから見学に来てるけど、なーんか嫌な予感するんだよなぁ。

 アウレリス、気を付けて。


『あそこにいる者たちか?』


「ああ。あいつらは村の掟に縛られたりはしないんだ。ならず者たちだからな。下手したらお前達が留守中の森で狩りを行うかもしれねぇ」


『だったら今のうちに殺してしまえばいいんじゃない』


 アウレリス、思考回路がヤバ過ぎです。


「まぁ、そういわないでくれ。ああいうのでも居た方が良いんだ汚れ仕事を請け負ってくれるしな。それに本当にヤバい奴は一握りだ。そういうのは……」


「ヒャハッ!」


 唐突に、民衆を掻き分け一人の男が飛びだした。

 黒装束の男は両手にナイフを構えアウレリスに向い飛びかかる。

 刹那、不可視の風弾が男の顔を吹っ飛ばす。


 悲鳴が一瞬で湧き上がった。事態に即座に反応したのはアウレリス。

 ウサギさんの元へ駆けて口で首根っこ引っ掴むと、死体となった黒装束向けて投げつける。

 アイテム回収しろってことかな?


「お、おいっ!?」


『言ったはずだ。我々から攻撃はせん。しかし攻撃を仕掛けるモノに容赦はしないと』


「そ、そりゃそうなんだが、せめてもう少し観衆に見えないようにとか……」


『そなたらの都合など知らん。そこまで人間よりの思考ではないのでな』


 そりゃそうか……とクロウは溜息を吐く。


「ったく、早速暴走しやがったよあいつら。マジ潰しといた方がいいのかね?」


『まぁいいわ。ウチの森には守護特化の奴もいるし』


『そうだな。カバ共に任せてみるか。これが上手くこなせるならばまた泉を使わせてやらんでもないが……』


 カバさんたち、泉に糞を撒き散らすから出禁になったらしい。御愁傷様である。


「ん? なんだなんだ? クロウ、これは一体何の騒ぎだ?」


 そして人垣を掻き分け、藤色の綺麗なストレートヘアを揺らす女性が現れた。

 装備しているのは翡翠色の軽鎧。なんか機能性よりも煌びやかさを重視したような鎧である。


「あー、このタイミングで来たのかよ……ドルアグス、アウレリス。紹介しとくわ、こいつは俺と同じS級冒険者、ストナだ」


「む? いきなり私の自己紹介? 相手は魔物じゃない? しかも麒麟にペガサス!? ちょっとクロウ、上級魔獣、いえ、神獣に近い聖獣が何でこんな場所に!?」


「いいから自己紹介くらいしろよ。お前の方がいっつも言ってんだろ」


「……むぅ。クロウの癖に生意気ね。失礼、えーっと麒麟さんとペガサスさん? 私はストナ、ストナ=エルレインよ。よろしく?」


 魔物相手に何やってるんだろ私? みたいな顔を浮かべながらクロウの後隣に移動するストナさん。めっちゃ美人です。胸は無いけ……ひぃっ!? 今なんか凄い殺気飛んで来た!?

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