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ウサギさん、一人きりの冒険5

 ウサギさんを放置して、兵士たちは先を急ぐように歩きだす。

 可愛らしい少女も少し考えつつも、兵士達に急かされ歩きだした。

 最後に一度だけ振り返り、俺を見る。


「あの、最後にお花、ありがとうウサギさん。立派に務め果たします」


 務めって、何さ?

 自然の掟、弱肉強食。そんな思いが湧きあがる。

 笑いながら涙を零した少女が去っていく。

 俺はただ、一期一会の少女の後ろ姿を、しばし見送るしかなかった。


 木の上に戻って移動を再開する。

 適当に移動しよう。

 何かもやもやするな。


 ……こっちに行くか。

 ああ、うん。別に彼らがどうなろうと知ったこっちゃない。

 どんな危険生物と出会うかわからないし、冒険中なのだ。下手なことに首突っ込んだってろくなことになりはしない。


 兵士さんも言ってただろ。

 リアたちが心配するから無茶なことはするなよって。

 だから、だから……


「こ、今回の生贄をお持ちしました。我が国の末永き繁栄を、お約束くだされ」


 小人の兵士長がお辞儀する。

 その目の前に居るのは、彼らにとっては巨人と思える存在だ。

 俺から見れば赤い帽子被ったゴブリンなんだけどな。


 赤い帽子に赤い瞳。子供くらいの背丈だけど両足は長く足長胴短の体躯。手もそれなりに長い。

 肌色は緑でかぎっ鼻。

 ステータスを確認すれば、ゴブリンじゃなかった。

 種族名称レッドキャップ。名前はまだない。


 レッドキャップは不快な笑い声を上げると、無造作に兵士の一体を掴み上げる。

 突然掴まれた兵士はパニックになり、他の兵士達は掴み上げられた兵士を見上げて慌ててレッドキャップに視線を向けた。


「や、止めてくれっ!」


「何をなさるっ!?」


 慌てる兵士達を下卑た笑いで見下しながら、レッドキャップは掴み上げた兵士を自身の口元へと持っていく。


「い、いやだ、やめろ、やめろぉぉぉ――――っぴぎっ?」


 あーぁ、踊り食いって奴か。

 鎧ごと行きやがった。

 レッドキャップにとっては食事だとはいえひでぇなこれは。


 ぎゃっぎゃと笑うレッドキャップ。今のは戯れだァ。というような感じで腹抱えて笑う。

 唖然としながらも道を開ける兵士達。

 そして、花を持ったままの少女が震えながら前に出る。


 自身の未来は今見せられた。

 彼女にとっての未来はあのレッドキャップの食料になることだ。

 それで彼女の生活していた小人の国は平穏を約束される。

 レッドキャップに喰い尽され滅亡することを避けられる。


 ぎゅっと目を瞑り、決意と共に目を開く。

 ウサギさん、私に力を。

 そんな思いと共に手にした花をぎゅっと握りしめた。


「……行くぞ」


 兵士達が去っていく。

 生贄となる少女だけを残し、何度か心配そうに彼女に振り向きながら……

 そして、レッドキャップの手が少女を摘まむ。


 小さな小さな小人の少女。

 レッドキャップにとっては腹の足しにすらない小さな生物だ。

 花を持って恐怖に震え、でも自身の使命を全うすべく懸命に相手を見つめる。


 ああ、神様……

 大きく開かれるレッドキャップの口。

 真上へと連れ上げられ、レッドキャップの口が真下にやってくる。

 落とされれば、それで終わる。

 彼女は生贄と成り、国が守られる。


 それが彼らにとっての全てであり、彼らの国は彼女を生贄に生き延びる道を選んだ。

 それは生物として群体として当然のことであり、生き残るためには必要な措置である。

 強者に蹂躙されることがないように、生贄を送ることで最小限の被害ですませる。


 彼女を摘まんでいた手が開かれる。

 自由落下が始まる。

 近づく大口。迫る絶望に、思わず目を瞑った。

 せめて恐怖を感じないように、知らぬ間に死ねるように。痛いのは最小限で済むように。


 ぱくり


 でも、突然のことだった。

 背中を何かに掴まれる感覚と共に落下が止まる。

 くんっと重力に逆らうような感覚に、首を服に押さえられて、えぅっと声が出た。

 慌てて目を開く。柱が目の前にあった。

 太い柱の出現に目を白黒させる。


「あ、え? なに……が?」


 その柱は地面に突き立っていた。

 ただ突き立つだけじゃない。

 レッドキャップの口を貫通し、地面に突き刺さっていたのだ。


 レッドキャップは正座状態から少し腰を浮かせた状態で口を槍に貫かれ、両腕をぷらんと垂らした状態で真上を見上げて絶命していた。

 きっと彼自身何が起こったのか理解できなかっただろう。

 何しろ、生贄の少女を喰い殺そうとしたら口に入って来たのは聖槍ロンギヌス様ですからな。


 少女の首根っこ喰わえたウサギさんは、ゆっくりと少女を地面に降ろし、絶命したレッドキャップをアイテム化するのであった。

 フッ。この世は弱肉強食の世界。だったらレッドキャップという弱者を喰ってしまっても、問題はあるまい?


 ----------------------------------------


 名前:うさしゃん

 種族:サイキックラビット・シロウサギ

 二つ名:雑草ハンター・ハイエナ・ヤリ逃げ犯・アホの子・人生の迷い子・暗殺兎・スピードファイター、詐欺師、噂の亡霊/状態:発情

 女性被害者:2人 動物被害者:2匹

 Lv:6  HP:283/283 MP:72/72 TP:70/70

 所持ストロ:3728000

 経験値ストック:982+125×1(戦闘継続中に付き)

 技スキル:咆哮/連打/シュート/飛び蹴り/ドロップキック/回し蹴り/掌返し/疾風怒涛/魔素取り込み

 マジックスキル:親指消えまーす/中の人消えまーす!/ステッキから花/貫通しまーす/隠すと増えます/何処からでも出ます/連なって出ます/人体切断マジック/ボックスマジック/浮き上がる杖/空飛ぶウサさん/脱出

 魔法スキル:魔力弾/魔力盾

 盗技スキル:盗む/強奪/魔法で盗む/マジックスティール/乱れ盗む/連続盗み/HPを盗む/MPを盗む/TPを盗む/心を盗む/パンツ盗む/ブラを盗む/知能を盗む/視界を盗む/気力を盗む/状態異常を盗む/スキルを盗む/お金を盗む/

 常用スキル:ステータス表示(Lv2)/変身/索敵(Lv1)/根性/身代わり/不退転/勝利の雄たけび/魔力視/魔力吸収/魔力変換/身体強化/拉致(Lv2)/経験値手動割り振り

 耐性スキル:毒耐性(Lv2)/麻痺耐性(Lv1)/腐食耐性(Lv1)/魔力耐性(Lv1)

 常時スキル:危険察知(Lv2)/忍びの一撃/雑草魂(Lv2)/死者への誓い/くいしばり/魔力回復・極小/水泳/浮上/木登り(Lv1)/壁昇り(Lv1)/着地上手/テクニシャン/絶倫/異種間性交・可/生殖器最適化/人族特攻/巨人殺しジャイアントキリング黄金玉宝破壊ナッツクラッシャー

 種族スキル:粗食耐性/脱兎/病気弱点/ぷにぽよん/擬態

 加護:麒麟の加護/系統樹確認

 不要:カードスラッシュ/スプーン曲げ・微/カードを切る/飛び跳ねる/百面相/予告状/破壊音波

 絆システム:ベッツ0%、ザイン1%、ガロン0%、リルハ0%、エフィカ0%、リア5%、アーマードスカンク( )1%


所持品

草類

 薬草×74、薬草(毒)×58、薬草(麻痺)×59、薬草(沈黙)×77、薬草(腐食)×23、薬草(狂化)×47

 毒消草×85、麻痺取草×84、雑草×208、即死草×51、たんぽぽ×20、ヘンルーダ×30、宝石草×5、虫下し草×17、エリ草ぁ×142

 マキノコ×104、サルノコツカケ×76、笑い茸×66、パラライマッシュルーム×27、マジックマッシュ×5、梅茸×2、ドクササコ×41、カエンタケ×3

肉類

 蛇肉(毒)、虫肉×8、ゴブリンの肉×27、鹿肉

 高級豚肉、キンツル、オークの肉×6、豚頭×7、犬肉、豹肉、熊の手、熊肉

毛皮類

 ホーンディアの毛皮、グリズリーの毛皮、豹の毛皮、コボルトの毛皮、ブラックコボルトの毛皮、臭い腰布×20、綺麗な腰布×2

武具類

 緑の小さな鎌×8、棍棒×25、ホーンディアの角、青銅の槍×5、シルバーナイフ×2、ひのきの木剣、木斧、ウッドスタッフ、物干し竿、銀の胸当て、シルバーヘルム、ナイトブローバ―、魔法調節付き胸当て、魔法調節付きフルプレートメイル、ララリリク、アームダガー、ジャミール・アパティ、聖剣タラコクチビル、聖剣ベルファウル、魔剣クリップ、宝剣グリルガウディ、神剣ヘリザレクス、聖槍ミホロバ、神槍ロンギヌス。神弓イチイバル

装飾品

 熊耳カチューシャ、豹柄Tシャツ、タキシード、蝶ネクタイ、シルクハット、ステッキ、赤いハンカチ

その他

 魔石×5、魔石・大、魔石・極大、ポイズンスネークの尾、進化の種、退化の種×999、ミニチュアハウス、MP回復薬×8

ゴミ

 虫の羽×8、???からの手紙

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