ウサギさん、ギルド長の苦労を知る
一瞬、君転生者だろ。と言われて焦った。
素知らぬウサギで通るべきか、それとも正直に名乗り出るべきか。
しばし迷って、でもバレたからどうって話でもないと結論付けて正直に名乗り出ることにした。
最悪シルクハットで逃げてもいいんだし。
リルハと会えなくなる可能性があるのは辛いが、姉さんの安全が確保できた以上、俺は別にここに住む必要はない。最悪ドルアグスの旦那のもとへ転がり込むのも……絶対嫌がるだろうなぁ。
でも、心配は杞憂だった。
俺の返事に視線を上に向けたギルド長は感動を惜しむようにしばし瞑目。
直ぐに視線を降ろし俺に向けて来た。
「実はの、今までの歴史の中でも転生者という存在がこの世界におるのだ。その中でも手酷い存在が何名か冒険者ギルドに登録に来ての。その中でもマシなのがお主のような魔物で意思を持った強力な個体なんじゃよ。まぁ、一部は最後には魔王になって勇者に討たれたがの」
え? 何ソレ怖い。
「儂も聞いた話でしかないんじゃがな。何でも受付嬢をナンパして断られるとスト―キングを始めたとか……」
最悪だな転生者。
「Fランクから開始だと言っても俺の力はSランクだろ。舐めてんのか。と叫びながら冒険者ギルドを破壊して死刑になったとか……」
ああ、俺強ェェェェチートしようとしてはっちゃけちゃったんだね。
「同じくギルドを破壊して、国一つ滅ぼしたことで魔王認定されて全国軍相手に喧嘩売って負けたとか……」
ヤバい、先代の転生者たちがやらかした過去が半端ねェ……
「とはいえ魔物に転生した転生者は結構物分かりがよくての。警戒こそされるんじゃが冒険者ギルドとしては将来の有望株と見させて貰っておる。安心したまえ」
転生者だからって変な目で見られたりはしないようだな。多分人として転生した奴のはっちゃけ度が魔物転生組より如実だったせいで相対的に魔物転生者=いい人という図式ができたようだ。
「ふむ。折角だ。この村や人間の歴史など知って行くかね? 転生者であるならば知識は必要だろう」
と、言いながら席を立ったギルド長。彼は応接室にある本棚に向かうと適当に蔵書を引っ張ってくる。
「ほれ、コレが世界地図。こっちは歴史書じゃ」
うおおおおお。地図は見たいが分厚い歴史よいらねぇ!?
「いやー、一度転生者と会ったらぜひぜひ教え教わりたかったんじゃよ。長生きはするもんじゃー」
なんだこのギルド長。さっきまでの威厳どうした!?
なんか凄いフレンドリーというか、俺を見る目がおかしい。
いや性的とかそういうおかしいではなくて、何と表現するべきか、今年やってきた不甲斐ない新人社員が自分と同じ趣味を持ってると知った時の社長みたいな態度の軟化である。
「ほれ、見てみ、コレが地図じゃ。ここがコーライ村での、ドルアグスの森がここ、アウレリスの森は南じゃ。この南の森を貫く形で道があっての、この道をずぅっと南に行くとロスタリス王国に向えるんじゃ。と言ってもほれ、ここの線が国境での、ロスタリスは隣の国だからギルド証があってもCランクになっとらんと門前払いじゃ」
え? 門前払い?
俺が眼を見開いたのに気付いたようで、ギルド長のテンションが高くなる。
「うむ。実はのギルドランクには別の意味があるんじゃ。Gランクは子供たちでFランクは見習い冒険者、Dランクからが本番、とかいわれたじゃろ」
こくり、頷くとギルド長もうんうんと頷く。
「実はな。Dランクが移動出来るのは登録した国内だけなんじゃ。Cランクになって初めて国外を探索できる」
ほほぅ、そんな決まりがあったのか。
「じゃから他国への定期便を護衛するのはCランク以上のパーティーになっとる。ちなみにBランクになると王国に保障されてクランを持つことが可能になるぞい」
クランを作るにはBランク以上か。まぁ、俺には関係の無い話だな。
Cランクでは正式なクランは作れないのでCランク以下のクラン長に誘われた場合はクランではなくただのパーティーメンバーだと思っておいた方が良いらしい。そういう冒険者は悪徳な者の可能性があるので見付けたら報告してほしいとのことだった。
「ん? Aランクか? あれはもうワールドクラスじゃからな。下手に縛らん方が良い。登録してある国の危機があった時呼び戻される以外は自由じゃな。基本AランクとSランクは異世界転生者が多いぞ」
そうなのか。んじゃあクロウ君とは話が会うのかな?
「ああ、残念じゃがクロウ君は数少ないこっちの人間じゃ。残念じゃったの」
ちぇっ。異世界人じゃなかったか。ま、まぁ会話しずらいっちゃしずらいんだよね潰しちゃった訳だし。
「地図はまぁ好きに見たまえ。それで、その、対価という訳ではないのじゃが、異世界の知識というのは、その……」
ああ、察したよ。じいちゃんが気になってたのは俺の異世界知識を知りたいってことね。
「実は魔法理論が、これ、なんじゃがな。どうにも後少し、足りんのじゃ」
はぁ、どれどれ?
役に立つかどうかは分からないけれど、俺はその魔法理論とやらが書かれた書類を覗き見るのだった。
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名前:うさしゃん
種族:サイキックラビット・シロウサギ
二つ名:雑草ハンター・ハイエナ・ヤリ逃げ犯・アホの子・人生の迷い子・暗殺兎/状態:発情
Lv:6 HP:283/283 MP:72/72 TP:70/70
所持ストロ:3962000
経験値ストック:5
技スキル:咆哮/連打/シュート/飛び蹴り/ドロップキック/回し蹴り/掌返し/疾風怒涛/魔素取り込み
マジックスキル:親指消えまーす/中の人消えまーす!/ステッキから花/貫通しまーす/隠すと増えます/何処からでも出ます/連なって出ます/人体切断マジック/ボックスマジック/浮き上がる杖/空飛ぶウサさん/脱出
魔法スキル:魔力弾/魔力盾
盗技スキル:盗む/強奪/魔法で盗む/マジックスティール/乱れ盗む/連続盗み/HPを盗む/MPを盗む/TPを盗む/心を盗む/パンツ盗む/ブラを盗む/知能を盗む/視界を盗む/気力を盗む/状態異常を盗む/スキルを盗む/お金を盗む/
常用スキル:ステータス表示(Lv2)/変身/索敵(Lv1)/根性/身代わり/不退転/勝利の雄たけび/魔力視/魔力吸収/魔力変換/身体強化/拉致(Lv2)/経験値手動割り振り
耐性スキル:毒耐性(Lv2)/麻痺耐性(Lv1)/腐食耐性(Lv1)/魔力耐性(Lv1)
常時スキル:危険察知(Lv2)/忍びの一撃/雑草魂(Lv2)/死者への誓い/くいしばり/魔力回復・極小/水泳/浮上/木登り(Lv1)/壁昇り(Lv1)/着地上手/テクニシャン/絶倫/異種間性交・可/生殖器最適化/人族特攻/巨人殺し/黄金玉宝破壊
種族スキル:粗食耐性/脱兎/病気弱点/ぷにぽよん/擬態
加護:麒麟の加護/系統樹確認
不要:カードスラッシュ/スプーン曲げ・微/カードを切る/飛び跳ねる/百面相/予告状/破壊音波
所持品
草類
薬草×74、薬草(毒)×58、薬草(麻痺)×59、薬草(沈黙)×77、薬草(腐食)×23、薬草(狂化)×47
毒消草×85、麻痺取草×84、雑草×208、即死草×51、たんぽぽ×20、ヘンルーダ×30、宝石草×5、虫下し草×17、エリ草ぁ×142
マキノコ×104、サルノコツカケ×76、笑い茸×66、パラライマッシュルーム×27、マジックマッシュ×5、梅茸×2、ドクササコ×41、カエンタケ×3
肉類
蛇肉(毒)、虫肉×8、ゴブリンの肉×27、鹿肉
オークの肉、豚頭、犬肉、豹肉、熊の手、熊肉
毛皮類
ホーンディアの毛皮、グリズリーの毛皮、豹の毛皮、コボルトの毛皮、ブラックコボルトの毛皮、
臭い腰布×21、綺麗な腰布×2
武具類
緑の小さな鎌×8、棍棒×25、ホーンディアの角、青銅の槍
装飾品
熊耳カチューシャ、豹柄Tシャツ、タキシード、蝶ネクタイ、シルクハット、ステッキ、赤いハンカチ
その他
魔石×2、魔石・極大、ポイズンスネークの尾、進化の種、退化の種×999、ミニチュアハウス
ゴミ
虫の羽×8、???からの手紙




