【おたのしみ】
【2014年2月27日深夜】
「ふう。食った食った」
自称金属生命体(外見は鞘の眼帯に銀髪美少女)の発言である。
ちなみに夕餉はハンバーグとシチュー。茹でたブロッコリーやニンジン。あとホカホカのご飯であった。
思いっきり有機物である。なんで金属生命体がこんなものを食べているのか。
「ほんと何なんだろうこの人」
まったくだ。
とツッコミを入れる者はいない。
「居候?」
「おーい」
「まあ冗談だ」
この金属生命体、やたら馴染んでいた。まるで住み慣れた我が家にいるかのような振る舞いである。
博人少年はあきれ顔。
「じゃあ、お風呂先にどうぞ」
「うむ。来るのを待ってるぞ」
「いやいいってば。出たら教えてね?」
―――うむ。とてとてと階段を上っていく姿も可愛いなあ。おっと。風呂は……先に誰かいる?
と、角禍が考える暇もなく、ガラガラと曇りガラスの引き戸が開く。
―――ほう。
「……ああ。お客さん?」
美しい。
先ほど顔を合わせた母親も美しかった。そして10代にしか見えないほど若々しかった。が、目の前にいる少女はそれ以上だ。
濡れたロングの黒髪が艶めかしい。
「なんなんだこの一家」
「口に出てるわよ」
機械のように整った容姿。凛々しさと艶やかさが同居しているような少女は、機嫌を悪くしたふうでもなくツッコミを入れた。
「母さんにも困ったものね。知り合ったばっかりの人をすぐ連れてくるんだもの」
発言からして、この少女は博人の姉なのだろうか?
そう推測しつつ、角禍は返答。
「いや。私は博人にくっついて来たのだが」
「あら。そうなの?」
少女は、体を隠すことすらせず楽しそうな面持ち。
「うむ。ところでお前は?」
「私?博人の姉ね。……血は繋がってないけど」
「ほう」
「私も母さんが連れてきたのよ」
「なるほどな。妙なものが惹かれるようだ」
「あなたも含めて?」
「ああ。私が最も妙だろうな」
「……弟に何かあったら、許さないから。心しておきなさい」
「それは無理だ。私は彼を殺すために来た」
「その時は、先に私があなたを殺すわ」
「ほう?それは楽しみだ。ふふふ」
「というわけで……お楽しみタイムだ」
「あのー。なんで僕の布団に」
「うむ。添い寝するためだが」
夜の寝室。
そこは博人少年の自室であった。床には布団が敷かれ、部屋の隅には本棚や小さなタンス。そして枕元にノートパソコンなどがある。万年床かもしれない。
少年は、自分の上に覆いかぶさっている少女に問うた。
「僕を殺しに来たんですよね?」
「勿論だ。
でもせっかくだし楽しまないとな?」
「何を楽しむっていうんですかぁ!?」
「いやせっかく初物のショタがおるし。
さぁて観音様の御開帳だぁ!ひゃっはー!!」
「ひぃっ!?やぁ~めぇ~てぇ~!?」
「おお。かわいいな。ほれほれ」
「やぁ~!?」
結論だけ言う。
ちっちゃかった。