プロローグ
前作からかなり時が経ってこんにちわ!
今回の作品はよりラノベっぽ感じに現代物の学園ファンタジーにしてみました。お楽しみ頂けたら幸いです。
昔公園だった名残がある錆びて壊れた遊具の置いてある場所。
青空の下のもとその場所で大きな爆発音と剣戟、衝撃音が響き渡っていた。
見ると、その場所で黒スーツに身を包んだ武器を持っている三人の少年少女と、彼らとは真逆の白い服を着た五人の男女が戦っていた。
黒服の方の好戦的な黒髪の少年は、黄色い瞳を輝かせながら剣を何度も何度も目の前の敵に向かって振り下ろしており、彼のその鬼気迫るデタラメな戦い方に応戦している白服の男は、盾で防ぎながらも完全におびえている。
「これが試験っていう話だが…… ぬるすぎだなぁおい!」
彼はそう不敵な笑みをしながら言うと、チラッと横目で周りを見て、突如として剣を振るのをやめる。
少年の周りにはもう二人の白服達が迫っており、全員彼に向かって斬りかかっていたのだ。
彼はそれを目で確認すると、剣の柄にあるスイッチみたいなものを自分の足に当てて押し、カチっという音が鳴った所で彼は剣を軽く振る。
すると、黒髪の少年の剣は柄の部分から一気に折れたように前へと倒れ、自動的に固定される。
少年はポケットの中に入れてあるリボルバーの弾を込めるシリンダーのようなものを取り出すと、それを素早く剣の中折れした部分にある突起にはめ込み、シリンダーを回した。
彼の剣はまるでリボルバー型の拳銃に早変わりし、少年は迫り来る二人に向けて、武器を構えて剣の鍔部分にあるトリガーを引く。
ドガン! ドガン!っという大きな破裂音を二度放ち、彼の剣先にある穴から弾が二発分発射される。
放った弾丸は狙った敵の足と、もうひとりは胸に当たり、男達は悲鳴をあげながら倒れる。
一人は足を、もう一方は胸を抑えて悶絶した。
「ハッハッハ! ゴム弾だけどかなり効くだろ? 骨折してたらごめんな!」
彼は余裕の態度でそう笑っていると、すっかり二人を相手にして、彼が忘れていた盾を持っている男からいきなり眉間へと銃を突きつけられ、少年はその笑った格好で表情はみるみる青くなった。
「阿呆が、油断はいつもするなと言っているだろうが」
そのようなため息混じりの声が聞こえたと思うと、同時に発砲音。
少年に銃を突きつけていた男の即頭部にゴム弾が飛来し、男は衝撃で地面に倒れ込んだ。
「おうサンクス、相棒! って、お前追われてるじゃねーか!」
見ると、助けてくれた青髪の少年は、スナイパーライフルを脇に抱えて後ろで鬼気として追いかけてくる女から顔は無表情だが全力で逃げていた。
「俺の計算だと狙撃手は居場所がバレると狙われやすい」
「いや、計算しなくても狙撃手を真っ先に狩るのは常識だろうが……って、突っ込んでる場合じゃねぇ! 待ってろ、今助け……」
「ここはあたしに任せなさい!」
少年が青髪の狙撃手を助けようとしたその刹那、彼の隣を何やら斧部分が異様に大きいハルバードを持った少女が駆け、少年を追い抜いてから狙撃手を追いかけている敵に向かって奇襲を仕掛ける。
少女はハルバートを振り、追いかけていた女に一撃を加えようとしたが白服の女はギリギリの所で彼女の存在に気づいて剣で防ぐ。
防がれた事に思わず少女は「ちっ!」っと舌打ちをし、そのまま鍔迫り合いをした。
「側面から襲ってくるなんて礼儀がなっていないわね、お嬢さん!」
「あら、それは御免あそばせ!」
彼女は柄を使って下から顎を狙って振るも、相手はそれをいなして、距離を取る。
その時、少女は持ち手の所にあるスイッチを押して、長く艶のある前髪を手で払い、不遜な態度で。
「さて、そろそろ終わらせましょうか」
っと、言った。
彼女の挑発に白服の女は少しイラっとし、少女の言葉に怒り混じりで返した。
「それはこっちの台詞よ!」
女はすぐに終わらせようと、服の内ポケットに事前に忍ばせていたのだろう、拳銃を取り出すや少女に向かって構える。
そして、引き金を引こうと指に力を入れる…… が…… その時、彼女はある事に気づいて、目を見開いてピタッと力を入れるのを止めてしまった。
何故なら少女のハルバードの斧部分が何故かすっぽ抜けたのか何なのか、すっかりと無くなっており、彼女が持っている武器がただの槍と化しているからだ。
一体、あの斧はどこに……?
そう思っていた時、女の背中に強い衝撃が走り、彼女はそのまま驚愕の表情で前へ倒れる。
何があったか分からず、彼女の方を痛みで視界がぶれながら見ていると、少女の前にゆっくりと小さなモノが浮遊しながら近づいてきており、少女はそれを手に取ると斧があった部分へはめ込んだ。
結局、わけがわからないまま女の視界は暗転し、気絶する。
そこで、試験終了のブザーが鳴り響いたのだった。