始まりの綴り
私の技術ではこれぐらいが限界です。
しかしお楽しいいただけるのでしたら恐縮です
皆さんは『錬丹術』というものを知っているだろうか。
錬丹術は古代中国に置いて行われていた呪術の一つで、道教の長生術の一種だ。錬丹術には外丹と内丹という区分が存在し、一般的に錬丹術といえば外丹のことを指す事が多い。錬丹術の基本原理は究極的にいえば不老不死の肉体を手に入れることである。しかしながら、それを真に受けた古代の皇帝たちは硫化水銀や液金等でできた薬を服用し死に絶えたことも多かったと記録に残っている。この錬丹術は欧州における錬金術と比較されることが多いが、それはひとえに錬丹術もまた錬金術と同じように科学の発展に貢献したことも大きいだろう
しかして、本物の錬丹術の実態は史実に残っていいるものとはかけ離れいていいると言っていい。
しかしながら、最終目的とする不老不死に関しては、あながち間違いだとは言えない。
錬丹術の本来の目的は詰まるところ「人間の進化」、もっと突き詰めれば人間という存在の自然界における占める地位を生物学的な観点から上昇させることが目的で、無病剛体を得ることのできる薬というものが後世の時代に記録されているが、あれは実際のところ人体の免疫能力を活性化させる因子を体内に摂取させることにより感染症の発症と既に発症している病気の治りを早めるものなどが横流しされた結果だということがわかっている。「不老不死」という記録も錬丹術の行きつく最終到達地点とされていたもののひとつである。
それと誤解が存在することが多いのだが、錬丹術を含む現代では人間の想像によって作られたとされている技術は何かを消費して摩訶不思議な現象を起こすと言ったオカルトの類ではない。|魔素《マナ』、エーテル、呪力、神通力数限りない様々な呼称が使われてきたこの力の本日は物質を我々の次元とは別の次元からの圧力である。ここで言う次元とは2次元や3次元といった概念的なものではない。そもそも原子を構成している素量子自体この次元から生まれだされ、つなぎとめているのである。霊化元素とはその次元からのエネルギーが必要以上にかかられ余剰エネルギーが生じている原子を指す言葉で原子の同位体の様なものである。所謂力を持つと言った人間というものは要するにそういった霊化原子を体内に保有し、その余剰エネルギーを操るすべを取得している人間を指す言葉である。
そして錬丹術における外丹とは常人では感知することのできない霊化元素によって構成された物質を万物から抽出し、そのままの自然の状態では現実世界に干渉することができない霊力を加工することによって、薬剤に加工する技術であり、現代霊術の分類からすると造形魔法の分離・抽出術にカテゴリーされる技術である。水銀や金といった物質は原子量が大きくそれ自体は人体にとって有毒でしかないが、精錬術式を円滑に進めるための触媒としての利用が盛んに行われていて、もともと、錬丹術師たち事態忌み嫌われ迫害されて生きた歴史を持つため隠者として活動を続けていて、尚且つそれらの金属の買い付けの方が調薬の材料の調達より目立ってしまったが故にそれ自体が材料だと誤認されてしまい、それが結果的に中毒死多発につながってしまったというのが歴史の真相である。
実際問題、錬丹術の直接の原料には余程ものでもない限りそこまで大仰なものは必要ない。外傷を例に挙げて言えばねんざや打ち身といった軽傷を治療する程度のものならそこらに凡百の雑草の様なもので十分で、大規模な骨折や内臓の損傷といったものでもそこらの野山や水辺に行けば古今東西どんな場所で手に入れるのは容易である。まあ、例外を一つ上げると、老化現象を停止あるいは遅延させる類ものは、専門の山師や商人の類に頼まなければ調達は難しい。
これから語るのはそんな、本流である唐国式錬丹術の亜種である倭国式錬丹術後継者である男の物語である。
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