5・鬼ごっこ②
俺とシャノンは今、フェルニー先生の研究室にいる。この場所には俺たちだけではなく、フェルニー先生、見知らぬ生徒が四人、そして、俺達を助けてくれたユリアナもいる。パートナーのエリックと一緒に参加していたのだろう。
「いやー、本当にごめんごめん」
フェルニー先生が頬をかく。
「ええーと、なんで急にここに集められたのですか?」魔法科の女子がおずおずと質問する。
「うん、この話を始めると長くなるんだけど、あんまり時間がないから簡単に言うね。そこにいるユリアナさんと一緒に来てもらっていた男子生徒が、間違ってエルトレスに攻撃しちゃったんだよね。
それの辺りどころが悪かったらしくてねぇ、案の定」
「暴走……」ポツリとシャノンが呟く。
「まあ、そういうこと! それで、このままだと学園が壊される勢いなので、騎士団を要請しておいたけど、早急にこの事態を収めたいので、ここにいるメンバーで暴走を止めましょう! ということです」
……エリックが蒔いた種は自分で刈れ、と言いたいがエリックはエルトレスの攻撃によって吹き飛ばされてしまった。
まあ、生きているだろう。
「さて! じゃあ、対エルトレスの作戦を説明するね。
と言っても単純だよ、騎士科の生徒にはまずエルトレスの動きを封じてもらう。具体的に言えば、足の裏、背中の真ん中、頭の後ろに空中制御のための魔法陣があるから、それにダメージを与えて。それで空は飛べなくなるから。
それから、魔法科の生徒は動きが止まったエルトレスに雷系統の魔法をシステムの中枢……頭を狙って全力で放つ!
エルトレスは基本的には物理攻撃はダメージを受けないし、魔法も雷以外はリザルトされるよ。
わかったかな? うん、じゃあ、わかれて!」
こうして、フェルニー先生の指揮の元、作戦が決行しようとしたのだが、一つ、問題があった。それは
「先生、俺とシャノンはどうすればいいでしょう?」
「おやおや、非戦闘員のシャノンさんはわかるが、ギルバート君は騎士科でしょ?」
「一応魔法も使えます」
「あぁ、そういう事……うーん、よし、こうしよう!
まず、シャノンさんには高いところからエルトレスの監視や魔法科の生徒達に指揮を取ってもらうね!
で、ギルバート君はその手伝いと護衛!
よろしく頼むよ?」
「はい、わかりました」
「あ、は、はい!」
俺に続いてシャノンも若干緊張気味に返事をした。
それから、俺とシャノンはマイクとイヤホンを貰い、全体を見渡せる場所……学園の中心にある時計塔に登った。
北西を俺、南東をシャノンと分けて監視を開始して五分、エルトレス初めてまだ見つからない、どこかに隠れているのだろうか……または?
「……オールクリア」
ボソッと呟いたが、どうやらシャノンには聞こえたらしく、咳払いをされた。
また、監視を初めて10分くらい経った頃だろうか、シャノンが「あっ」と声を上げた。
「エルトレスが見つかったのか⁉︎」
「ち、違うの!」
杞憂だったようだ。
「ただ、あの時のベンチを発見しただけだよ」
「あの時? ……あぁ」
俺とシャノンが出会うきっかけとなった『あの事件』、つい最近の出来事の筈だが、遠い昔のように感じる。
「……あれから半年もたってないとはな」
「本当に、なんか色んなことがあったね………………あっ!」
刹那、シャノンはマイクのスイッチを入れ、命令を出す。
「こちらシャノンです! 第三講義場の近くに標的確認!」
『了解!』
すぐに二つのグループのリーダーから返事が帰ってくる。
そうして、戦闘が開始された。




