12・終戦
「……シャーニッド」
「なんだい、ギルバート」
「あのアンノウンという奴……どう思う?」
シャーニッドは少し考えて
「……わかることは、恐ろしく強いこと、僕達二人でも勝てるかわからないということだね」
「同感だ……ただ、エリックが妙なことを言っていた」
「妙なこと?」
「あぁ、ま、それは後で考えればいい、か。とりあえず、今は試合に集中しよう」
「そうだね」
『始め!』
目の前には剣を中段で構えたアンノウン、動く気はなさそうだ。
ギルバートは二歩ほど後ろに下がり、詠唱を開始する。
そして、シャーニッドは小手調べという感じにアンノウンに突きを放つ。
勿論、アンノウンは剣を使い防ぐ。
二秒ほどの均衡状態が続いた。そして、ギルバートが魔法を完成させ……シャーニッドへ向かって魔法をかける。
途端、均衡していたのに変わり、シャーニッドが押し始める。
強化魔法___炎、水、土、風のどの属性にも当てはまらない魔法だが、魔法をかけられた者の身体能力を一時的に底上げする効果がある。
シャーニッドはそのまま刀で剣を切り落とそうとする。シャーニッドの刀は恐ろしい切れ味があるために、力の加え方によってはそれも可能にしていた。
が、しかし、アンノウンは甘くない。
自分の獲物を切られようとしてると直ぐに察知した瞬間、剣を離し、バランスを崩したシャーニッドに思い切り蹴りを放つ。
「っ、あぁ!!」
吹き飛んだシャーニッドは……詠唱中だったギルバートに直撃し、ギルバートの詠唱は中断されてしまった。
「っいてて……流石に甘くないね……」
「そうだな……さて、まあ、二人でやるしかないか」
「そうだね、っと!」
シャーニッドの言葉を合図にギルバートは右から、シャーニッドは左からアンノウンに対して攻撃を開始する。
しかし、大会で一番のコンビネーションをもつギルバートとシャーニッドの攻撃も……アンノウンは紙一重で避ける。
そう、剣撃だけなら。
「____奪えばとなる、雷の槍!」
ギルバートは剣を振りながら、ひたすら簡単な詠唱を行い、魔法を発動させ続けた。
二人の剣撃に近距離の魔法攻撃、アンノウンは次第に避けきれなくなっていく。
そして、ようやく一撃が手にかすった、その時、アンノウンが初めて口を開いた。
「……なるほど、あいつの忘れ形見に、異端と呼ばれた剣術使いか……悪くないな、が」
アンノウンの動きが、急激に早くなる。
「まだまだ未熟だな」
「な!」
シャーニッドは目で捉えられなかった、ただわかったのは、己の刀が真っ二つにされたという結果のみ。
「シャーニッド!」
ギルバートは驚き、一瞬手が止まる。
「チェックメイト」
「……クッ」
その隙を見逃すわけもなく、アンノウンはギルバートの剣をも綺麗に切り落とした。
「仲間になにがあっても動揺はするな。その一瞬の気の取られが、敗北に繋がる」
アンノウンはギルバートの剣の先端を拾いながら言った。
そんな何気ない動作が、昔、ギルバートは見覚えがあった。
「あんた……いや、貴方は!」
「お、ようやく気付いたか」
アンノウンはフードを脱ぎ捨てる……。
そこには、騎士科の生徒なら全員知っている顔があった。
「親父!?」
観客席に居るエリックが叫ぶ。
そう、そこに居たのは、エリックの父、こと、騎士団長その人だったのだ。




