4・開催再会
学園対抗戦、その本戦はこの学園で行われる。
それは、全3校の代表の選手が、この学園に集まるということ。
そして、現在、今、この瞬間、その60名が同じ空間に集った。
そう、開会式である。
「諸君! 学園で行われる代表戦をよくぞ勝ち上がってきた! それは諸君等が誇りに思ってよいことである! しかし、まだ……」
開会式といっても、大きなコロシアムの真ん中で、観客の視線を浴びながらどうでもいい学園長の激励を聞くだけなのだが。
俺は始終とても落ち着かない気分だった。
それは
「…………」
隣に立っている、赤髮の男子生徒がじー、とこちらを凝視しているのである。
(俺がなにかしたか? この赤髪とは全く関わったことないはず。いや、それ以前に他校とは関わってなかったのに……)
そんな考えが頭の中を駆け巡ったが、
しかし、真実は開会式が終わった直後に判明した。その赤髪自身が話しかけてきたのだ。
「おいあんた! おい、待てってば! ギルバート‼︎」
開会式が終わり、自分の待機場所となる部屋に向かおうとした瞬間、呼び止められた。
「……なんだ?」
「なんだ? じゃねーよ! 久しぶりの再開なのに‼︎ 水臭いぞ‼︎」
赤髪は人差し指で俺を差しながら叫ぶ。
「……すまない、いつ俺とお前は会った?」
正直、さっぱり覚えてない。
「おっ、お前なぁー……そうだな、お前はそうゆう奴だった、昔と変わらずってことか……」
昔……? 昔に俺は赤髪と会っているということか? それなりに親しくしていたような口振りだったが……いや、まて
「お前っ エリックか‼︎」
「やっと思い出したか‼︎」
そうだ、こいつの名前はエリック。
「ギルバート、この方は?」
先に行ったはずのシャーニッドが、遅い俺を不審に思ってここまで来た。
「ああ、こいつはエリック。 こうみえて、今の騎士団長の息子だ」
「こうみえては余計だろ‼︎」
エリックは俺に一々突っかかってくる。
「ふむ、把握しました。元騎士団長の息子であるギルバートと、その頃、副団長の息子であるエリックさんは少なからず交流があったということですね」
「ああ」
「そーゆーことだ、っと、別にエリックと呼び捨てしてくれて構わないぜ? そして、無理して敬語なんで使わなくてもいい、話しにくいだろ? ギルバートの友は、俺の友でもあるんだからな!」
エリックはシャーニッドに笑いかけながらそんな事を言った。
「わ、わかったよ。エリック、所で君はパートナーの元へ向かわなくていいのかい?」
シャーニッドは初め方こそ声をうわずらせたが、その後は普通の、友人用の言葉遣いになった。
(……驚いた、あのシャーニッドが敬語を解くなんてな)
「あぁ、まぁ、俺のパートナーはな、俺とは別の部屋だから、別にいいんだ」
「それはどういう」そうシャーニッドが聞こうとした瞬間、遠くから「エリック‼︎」と呼ぶ、少女の声が聞こえた。
「や、やべぇ! わりぃ、ちょっと俺、行かないと!
じゃあな! 次に会うときはコロシアムでだ!」
そう言い残して、彼は去って行った。
「台風のような人だね……」疲れた声のシャーニッドに俺は「そうだな」としか、返せなかった。